WECとELMSのLMP2クラスにタイヤを供給しているグッドイヤーは、FIAやACOとの話し合いを経て、この4月からタイヤウォーマー禁止というシナリオに向け動いている。
グッドイヤーはエストリル、アラゴン、ポルティマオ、ヘレス、シルバーストンなどのサーキットで、タイヤウォーマーなしのテストを実施。アラゴンでは夜間走行が行われ、ここにはプロフェッショナルではないドライバーも参加している。
JOTA、ユナイテッド・オートスポーツ、チームWRT、アルガルベ・プロ・レーシング、ベクター・スポーツなど、いくつかのチームが新しい手順を試している。
耐久レースプログラムマネージャーのマイク・マクレガーによれば、グッドイヤーはLMP2タイヤに変更を加えず、来シーズンも「そのまま」継続する計画であるという。
「唯一考えられるのは、最低空気圧と最大キャンバー角を検討することだ」と彼は言う。
「ドライバーとチームの幅広いスキームでテストを行い、さまざまなサーキットでさまざまなデータをインプットし、エネルギー評価といったものを確かめてきた」
「最もチャレンジングなサーキットはスパになるだろう。コースの性質とスパの天候のあり方は、ドライバーがグリップレベルを得られるスピードにアップする上で、最も困難なものになるだろう」
「最終的には、我々はFIAとACOがやろうとしていることをサポートし、最善の方法を見つけようとしている」

マクレガーは、『イーグルF1スーパースポーツ』が温められることを前提に設計されているため、当初グッドイヤーはLMP2用タイヤの変更を考えていたが、来季も現行モデルのまま進めると説明した。
しかし、「各チームがセットアップやキャンバーなどに関して賢明である限り、大きなドラマはないだろう」と、彼は言う。
「来年に向けた最大の課題は、ドライバーがいつ、どれだけプッシュできるかというメンタリティーを変えること、そしてタイヤをオーバードライブさせないことだと思う」
「我々が行ったすべてのテストでは、平均して2、3周でグリップレベルはそこそこのところに達した」
「ただひとつ、ピットレーンからのスタート方法だけは考え直さなければならないかもしれない。IMSAのようなやり方にまでする必要はないが、もう少しホイールスピンさせて温度を上げられるようにした方がいいかもしれない(※現在、WECではピットボックスを離れる際のホイールスピンは禁止)」
「ドライバーのメンタリティの問題になるだろうし、タイヤの扱い方を理解するというのが1年目の大きな課題になるだろう」
■“コールドタイヤで走るアマ”に「寄り添う」とミシュラン
WECのGTEアマ・チームも同様のアプローチで、今年と同じスペックのミシュランタイヤを使用するが、タイヤウォーマーは使用できないことになる。
来季よりLMP2のプロ/アマクラスが廃止される見通しであることを考えると、GTEアマはブロンズにレーティングされるドライバーの起用が義務づけられるWEC唯一のクラスとなる。
ミシュランのアルベスは、GTEアマのドライバーはニュータイヤでのスティントをどのように始めるかについて、「異なる考え方」を採用する必要があるというマグレガーの意見に同調した。
「タイヤ(表面)は熱くなるが、空気圧がまだ適切でないために、1周目の最初には困難があることが、いくつかのレーストラックで見受けらた」
「ドライバーの視点に立ったタイヤマネジメントが、より必要になってくる」
「我々は彼らに寄り添う。我々の技術者はエンジニアやドライバーと密接に協力して、タイヤについて何をすべきか、何をしてはいけないかを説明していく」
