更新日: 2022.11.17 13:02
D’station Racing 2022 WEC世界耐久選手権第6戦バーレーン レースレポート
D’station Racing
Race Report – 2022.11.17
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2022 FIA World Endurance Championship
Round.6 Bapco 8 Hours of Bahrain (BAH)
November. 10 – 12 Qualify :13th / Race:10th
長丁場の一戦をノーミスで乗り切るも展開に恵まれず
2021年からFIA WEC世界耐久選手権に参戦を開始し、初めて迎えた母国レースの第5戦富士で、嬉しい今季初表彰台を獲得したD’station Racing。そんな喜びとともに迎えた第6戦の舞台は、中東のバーレーン。今季最終戦であり、長丁場の8時間で争われるレースだ。
シーズンの締めくくりを良い形で終えるべく、星野敏/藤井誠暢/チャーリー・ファグの3人のドライバーたちは11月9日(水)にサーキットに入り、10日(木)から始まったフリープラクティスに臨んだ。初日は2回の走行が行われたが、3人のドライバーたちが交代しながらセットアップを進めていく。ただ、このバーレーンは長いストレートとタイトなコーナーが組み合わされた、いわゆるストップ・アンド・ゴーのコースレイアウトをもつ。こういったコースで強いのは、重いエンジンが車体後方にあるクルマ。FRレイアウトをもつアストンマーティン・ヴァンテージAMR GTEにとっては少々不利にあたる。今回の性能調整ではカバーしきれておらず、タイムの面でライバルたちに先行を許すことがフリープラクティスを通じて理解できた。こうなっては、決勝レースでのロングランのペースを良いものにするのがベターだ。特に今回は8時間とふだんよりも長い。
D’station Racingは走行2日目の11日(金)のフリープラクティス3まで、決勝ペースを意識したロングラン、燃費とブレーキのマネージメントに焦点を当てセットアップを進めた。
迎えた11月11日(金)の午後4時50分からの予選。今回もアタッカーを務めるのは星野だ。富士ではタイム抹消があったものの、好走をみせただけに今回もその再現が期待されたが、3周目に2分01秒730というタイムを記録するも、その後「ブレーキングで攻めきれなかった」とタイムを伸ばすことができず、13番手という結果となった。D’station Racingは今季最終戦を、最後尾から追い上げることになった。
11月12日(土)の決勝は、午後2時にスタートを迎えた。8時間レースのためフィニッシュの時間は午後10時。夜間走行があることから、ふだん藤井がスタートドライバーを務め追い上げをみせるD’station Racingは、今季初めての作戦を組んだ。陽があるうちに星野の走行を終わらせ、残りのスティントを藤井とファグで走るという作戦だ。必然的に星野がスタートを務め、さらに8時間レースのうち、ブロンズドライバーが走らなければならない時間を終わらせるため、2時間20分以上もの時間を一気に走ろうというものだ。
11月とはいえ、砂漠にあるバーレーン。気温33度以上という酷暑のなか、星野は追い上げを期し長いスティントに臨んだ。スタート直後、混乱に乗じポジションを上げた後、少しずつ抜かれていくものの、10〜11番手に踏みとどまり、77周を走り、ファグにステアリングを託した。
この星野の頑張りにしっかりと応えようと、ファグ、そして続く藤井ともに3スティントをこなしながらラップを重ねていく。7〜8番手をうかがえる戦いを展開していたが、その後二度に渡って投入されたフルコースイエローのタイミングが悪く、最後はファグがドライブしフィニッシュしたものの、結果は10位となった。
展開には残念ながら恵まれなかったが、今季何度かトラブルに見舞われていたD’station Racingは、第5戦富士に続き、しっかりとノーミスでレースを終えることになった。特に今回は長い8時間。戦えるスピードがあるときにこの走りを展開することができれば、表彰台でフィニッシュすることも十分可能であることを証明してみせた。
悲喜こもごものシーズンとなった2022年もこれで幕を閉じた。D’station Racingにとっての2年目の挑戦もこれで完結となる。チームは、たしかな成長を感じシーズンを終えることになった。WEC世界耐久選手権は変革の時期を迎えている。3年目、さらに強くなってシーズンを迎えるべく、チームは雌伏の冬を迎えることになる。
COMMENTS:
Driver:Satoshi HOSHINO
「個人的には予選ではブレーキングで攻めきれず、予想よりもタイムを伸ばすことができなかったのが残念でした。決勝ではWECで初めてのスタートを担当しましたが、夜間走行の前に消化時間を終えるべく、スタートから3スティント走行に挑戦しました。暑いなか過酷でしたが、走り切ることができたのは収穫でした。FCYのタイミングが悪い方向にいってしまい、ノーミスで戦えた割に結果が10位というのは残念でしたが、2年目のWECを戦い終え、昨年以上に収穫があったと感じています。来季のことはまだ分かりませんが、D’station Racingとして戦闘力を上げていけるよう、オフも頑張っていきたいと思います。今季もたくさんのご声援ありがとうございました」
Driver:Tomonobu FUJII
「バーレーンでは10位という結果となりました。コースレイアウト含め、あまり好結果が望めないサーキットではありましたが、最後尾スタートからチーム全員が力を合わせ、ノーミスで戦いきることができたと思います。特に星野選手が2時間20分、約3スティントという乗車時間があるなか、WECで初めてのスタートからノーミスで良い走りをしてもらえました。順位としてはFCYのタイミングなど、あまり作戦が的中しなかったので良い結果ではありませんでしたが、内容は良かったと思います。今季は富士で表彰台を獲れましたし、モンツァで速さをみせられましたが、ル・マンでのリタイアが悔しかったですね。来季も今季の経験を活かし戦っていきたいと思います」
Driver:Charles FAGG
「今シーズン最後のレースだったけれど、最終的には10位という結果で、すごくタフなレースになったね。だけど今回、チームメイトの星野サンがスタートからトリプルスティントという素晴らしい仕事をやってのけてくれたのは良かった。だけど残念ながらフルコースイエローのタイミングが僕たちには恵まれず、順位を落とすことになってしまった。今シーズンを振り返ってみると、ハイライトはなんと言っても富士で獲得した表彰台だ。ファンタスティックな経験をすることができたと思う。今シーズン、D’station Racingの一員として戦うことができてハッピーだったし、チームメイト、そして応援してくれた皆さんに感謝しているよ。本当にありがとう」
Team Director:Tom FERRIER
「走り出しから性能調整の影響もあってポルシェ勢が速く、アストンマーティン勢としては苦しい印象があった週末だった。予選では後方になってしまったが、今回は星野サンが初めてのスタートという仕事を、この暑さのなかでしっかりとクリアしてくれた。作戦の面では、FCYのタイミングであまり良いところがなく終わってしまったが、チームとしては8時間という長いレースをミスなく戦い抜いたことを誇りに思うよ。今季は富士で表彰台を得ることができたのは良かったし、他にも速さをみせられたが、トラブルが出てしまったり、ル・マンでのリタイアが残念だった。来季はシリーズを通じてもっと安定した結果を残していきたいね」
Chief Engineer:Jonathan LYNN
「バーレーンの8時間レースは結果としては10位となった。セットアップには満足しているが、性能調整も含め、比較的FRのアストンマーティンにとってこのコースはあまり相性が良くなかったように感じている。ドライバーは3人ともに素晴らしい仕事をしてくれたが、結果的にFCYのタイミングがうまくいかず、ロスが増えてしまった。戦略で稼ぐことができなかったのは残念だね。シーズンを振り返ってみると、富士で好結果が出せたこと、モンツァで速さを示せたことは良かったね。ル・マンでも速さをみせられたが、リタイアしてしまった。ドライバー、スタッフ、頑張ってくれたみんなに感謝しているし、来季も一緒に戦えればと思っている」