アルピーヌのエンジンダイノ試験は、少なくとも今年6月から行われていることが知られており、同時にシミュレーターテストも実施されている。
フランスのブランドは、LMDhエンジンのレイアウトもまだ明らかにしていないが、ロードカーの搭載ユニットと連動したものではなく、特注のパワーユニットに傾注しているようだ。
アルピーヌの現在のフラッグシップ・スポーツカーである『A110』は1.8リッター直列4気筒エンジンを搭載している。しかし、これはLMDhを走らせるにはチューンをしても充分なパワーを生み出すことが難しいと考えられる。
ファミンは、アルピーヌがボッシュの電気モーター、ウイリアムズのバッテリー、Xトラック社のギアボックスの使用を義務付けるLMDhのハイブリッドシステムを、ブランドのマーケティング・メッセージとしてもっとも重要な技術要素と考えていると説明した。
「技術的なレギュレーションは、非常に規範的だ」と同氏。
「つまり、500kW以上の出力が必要だということだ。そのためには(パワートレインを)クルマに最適な形で組み込んでいく必要がある」
「ハイブリッドであること、そして電動化がアルピーヌの未来のキーワードであることから、私たちはこの分野に踏み切ったんだ」
「その後のICE(内燃機関)そのもののスペックはまた別の話となる。必要最低限のパワーを出す必要があるからね」
「ハイブリッドシステムによる電動化は、F1での経験による付加価値とノウハウを投入できる場所だ」
「これは将来の標準的なロードカーにリンクするものであり、そこで学んだものはアルピーヌのロードカーに搭載されるより良いパワートレインを開発することにも活かされている」
「モータースポーツを通じて、アルピーヌというブランドを技術的に発展させ、我々のブランドを世界中に広く知られるようにするという戦略だ」
ファミンは、たとえ全車が共通の電動化ユニットを使用するとしても、アルピーヌがハイブリッドシステムの統合と運用に、F1チームのノウハウの一部を活用できることを示唆した。
エンジン側でのF1の関与の度合いについて尋ねると、ファミンは次のように答えた。「もちろん、ICEもそうだ」
「ICEにはF1の技術がかなり入っている。例えば主に燃焼室がそうだ。F1のノウハウがあるからこそ最適化できるんだ」
