前述の問題の後、98号車BMWは他のプロクラス車両から大きく順位を落として走行することになった。
「僕はクルマがピットレーンを出るたびにいつも祈っていた。なぜならスティント開始から20分以内にFCYが出れば、僕らにとっては“毒”だったからだ」とエング。
「幸運にもそれは起きなかった。だから、僕たちはいつも(他車と)ピットイン・シークエンスが完全に違っていたんだ。そして、最後のFCYが出たとき、みんながひとつになった」
ローヴェ・レーシングは17時間目の終盤に短いFCYが出されたときにピットインした唯一のプロカーだった。このイエローはオー・ルージュで立ち往生したメルセデスAMG GT3を回収するために出されたものだったが、当該車両は皮肉にも総合2位となったアコーディスASPチーム88号車メルセデスAMG GT3の姉妹車だった。
イェロリーはショートFCYの間に98号車をピットに入れた決定について、「いい判断だったと思う」と語った。
「僕たちが望んでいたものを完全に得たとは思わないけど、僕の理解している限りでは5秒は稼げたと思う」
「30秒のトラックリミット・ペナルティもあったので、あらゆるチャンスでできる限りのことをする必要があった」
約1時間後、同じBMW陣営のワーケンホルスト・モータースポーツの車両がコース上でストップしたため、このレースでの最後のSCが出動した。
このとき主要なプロクラスのコンテンダーがすべてピットインしたため、ローヴェがとってきた他車と異なる戦略は転換され、他と同じシークエンスに。このタイミングで98号車はDTMドイツ・ツーリングカー選手権の2冠王者ウィットマンにステアリングが託され、レースをリードして状態で再スタートを切った。
「それは非常にうまくいった」とイェロリー。
「僕の理解では、もしもSCが入らなければ、良いペースと燃費の数値があったのでレースはもっと簡単だったかもしれない」
「でもFCYとSCによってトップ集団は元に戻された。そんななかマルコ(・ウィットマン)は素晴らしい仕事で後続を引き離してくれた。また、フィリップ(・エング)は僕たちの仕事を仕上げてくれたんだ」

