そのGTカテゴリーの“GT3化”にあたっては、Dステーションはひとつの岐路に立たされている。既報のとおり、TFスポーツは来季よりシボレー・コルベットC8.Rを走らせることを発表したからだ。
来季、ハイパーカーとLMGT3という2クラス構成になるWECでは、ハイパーカー参戦マニュファクチャラーにLMGT3の優先的な参戦権が与えられることになっており、1メーカーあたり最大2台に制限される。そしてマニュファクチャラーが、LMGT3への参戦チームを指定することとなっている。
アストンマーティンはハイパーカークラスに参戦していないが、ACO管轄のシリーズにおけるこれまでの参戦実績を考慮すると、グリッドが用意される可能性は高い。
Dステーションとしては新たな提携先を探してアストンマーティン・バンテージGT3でWECへの参戦を続けることを最優先に、準備や交渉を続けているという。
「たとえばプロドライブというのがひとつの選択肢としてあります。また、もうひとつイギリスに拠点を置く方法も考えています」と藤井。
長年積み上げてきたアストンマーティン・レーシングとの関係性もあってマシンを“転がす”ことの障壁は高くないようで、あくまでも問題は“エントリー枠”となりそうだ。アストンマーティン陣営としてはDステーションのほか、アメリカのハート・オブ・レーシングチームがLMGT3クラス参戦を狙っている。このあたりはアストンマーティンに対して用意される枠が1台か、2台かによっても、状況が変わることとなりそうだ。
「いまはもう、やれることは全部やっていますし、あとは待つだけです。WEC富士くらいの時期になれば、いろいろと“雲行き”が見えてくるのではないでしょうか」
Dステーション・レーシングとしての4年目、そしてWECの“GT3元年”にゼッケン777のバンテージGT3がグリッドにつけるかどうかは、向こう数カ月で決定しそうな雰囲気だ。
