更新日: 2023.08.31 15:13
【WEC俺の相方“キャラ”紹介(1)ポルシェ編】ロッテラーも感心する“グルテンフリーを貫く男”
続いては6号車勢。最初日本に来た時は20歳そこそこだったが、今やトリオの中でも最年長の41歳となったドイツ人のロッテラーに、年下のチームメイト、ケビン・エストーレとローレンス・ファントールを紹介してもらった。
エストーレはフランス・リヨン出身の34歳。レーシングカートでは、2001年に仏カデット選手権のチャンピオン、2004年にはヨーロピアンICAのチャンピオンに輝き、4輪にステップアップしてからも、フォーミュラ・キャンパス・バイ・ルノー&エルフのデビュー戦で勝ったかと思えば、チャンピオンも獲得。F1まっしぐら、という才能だ。
しかし2007年、仏フォーミュラ・ルノーでシリーズ9位となった後、スポーツカーに転向。フランスやドイツのポルシェ・カレラ・カップやスーパーカップをはじめ、FIA GT、アメリカン・ル・マンシリーズのGTDクラスなど、多くのGTカテゴリーレースに出場して来た。2014年からはIMSA、2015年からはWECに参戦を開始。2017年からは、GTE Proクラスで一貫してポルシェのファクトリーチームでステアリングを握り、今年はハイパーカーにステップアップしている。
一方のファントールは、ベルギー出身の32歳。カートで活躍した後は、いきなり大幅ステップアップでドイツF3に参戦したのだが、ここでシリーズ4位となり、ベルギーのナショナルチームメンバーに入る。また、フォルクスワーゲンも彼をオフィシャルドライバーに抜擢した。翌年にはドイツF3タイトルを獲得。続いてF3ユーロシリーズにステップアップして2年間戦ったが、ここでは勝利することができなかった。翌2012年には、スポーツカーに転向し、FIA GTに参戦。2013年からはアウディのファクトリードライバーとなり、ブランパンシリーズやマカオGTカップ、ニュルブルクリンク24時間レースなど各種のGTレースに参戦している。
そして、2017年にはポルシェに移籍。2018年には、エストーレ&クリステンセンとともに、ル・マンでクラス優勝を果たした。エストーレ同様、今年はハイパーカーにステップアップし、ロッテラーとトリオを組んでいる。
さて、ロッテラーにとっては後輩ドライバーにあたるこのふたり。それぞれどんなドライバーなのだろう?
「まず今年、富士に戻れて僕はとてもハッピーだよ。日本が恋しくて仕方がなかったからね」
「ということで、僕の新しいチームメイトを紹介しよう。ケビンは、フランス人でとてもいいヤツだ。ドライバーとしては、プッシュしてアタックしてって言うのが大好きだね。それと同時に、とてもフレンドリーでもある」
「レースに対する決定の場に関わることも好きだし、サインガードに行って、エンジニアリングチームやマネージメントと一緒にストラテジーなど意思決定をするのも好きなんだ。とても情熱的なレーサーだよ。また、彼はとても家庭的なんだ。息子と娘がいると思うけど、よく家族と子どもの面倒も見ているよね。すごく家族思いだよ」
「ローレンスは、ベルギー出身だから、ずっと昔から知っているんだよね。アウディのGT3でレースをしていたし、僕がアウディに所属していた時代は、同じイベントでよく顔を合わせた」
「彼は、とにかく食べ物に関して特別なところがあるんだ。グルテンを取ることを極端に嫌がっていて、いつもグルテンフリーの食事をしているんだよ。牛乳も飲まないし、とても食べ物に対して難しいところがあるんだ。だから、一緒に食事ができるいいレストランを見つけるのが、とても大変なんだよね。彼は、フィットネスや睡眠時間の管理、また血糖値に関して、ものすごくプロフェッショナル。常に、グルコースの値を計測しているしね。ベッドに行くのもものすごく早いんだよ。でも、チームメイトとしては素晴らしいし、一緒にレースできることを楽しんでいるよ」
ちなみに、このグルテンフリーに関しての話は、ファントール自身にも聞いてみた。すると、「昔はなんでも食べていたけど、レースの時に腹痛が起きたり、体調がすぐれない時があったんだ。だからアレルギーなどを調べて、グルテンが合わないと分かった。食べなくなってからは、すこぶる快調になったよ」とのこと。
ロッテラーのコメントにもあるように、右腕につけたセンサーで、常に血糖値も確認。黒いパッドの中に短い針が入っていて、数値を常にスマホで見られるんだそう。グルテンフリーを貫いているということで、ひょっとして主食は米? だとしたら、日本では食べるものに困らないはず。御殿場では、そろそろコシヒカリの新米も出回る頃だし、美味しい米を食べて帰ってほしいところである。