更新日: 2023.09.11 01:08
主導権奪還で地元ラウンド完全制覇。小林可夢偉の7号車完勝でトヨタが1-2達成【WEC第6戦富士決勝レポート】
レースは残り約2時間。ここで完全にタイヤのライフも尽きた6号車はドライバー交代のため予定どおりピットへ。エストーレからアンドレ・ロッテラーにスイッチし、2周後にはターン13に続き1コーナーのブレーキングでも止まり切れずにいた7号車もピットへ向かい、ここで満を持して“最速チーム代表”可夢偉が乗り込む。
続いて8号車もハートレーがチェッカードライバーを引き継ぐと、このルーティン作業完了をもってTGR陣営が6号車の逆転に成功。これで最終スティントに向け盤石のワン・ツー体制を築き上げる。
時刻が15時を回ったところでは、ヘアピンを立ち上がった2号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・レーシング)から白煙が上がり、ハブのスプライン損傷か左フロントホイールが脱落するトラブルが発生。しかしアール・バンバーがなんとか3輪走行でマシンをピットまで運び、そのまま修復作業のためガレージインとなる。
同じくルーティンを控えていた93号車プジョー9X8(プジョー・トタルエナジーズ)は、ダンロップコーナーからの立ち上がりでアイアン・デイムスの85号車ポルシェ911 RSR-19にヒットされスピン。さらに5号車ポルシェ963はADRセンサー不調というまさかのトラブルでボックスに格納され、ここから長期の作業を強いられてしまう。
その後も1分31秒台で快調に周回を重ねるGR010ハイブリッドの2台は、15時20分と残り約1時間半強を残した165周時点で、ホームストレートを駆け抜けた7号車可夢偉がハートレーに先行。これで前後を入れ替えての隊列とする。
16時を境にした最終ルーティンでも左側2本交換を無事に終えた首位7号車は、姉妹車8号車を従えて残り1時間を快走。残り20分でのデブリによるFCY(フルコースイエロー)も乗り越え、燃費的な面でも反撃の余力が残っていなかった6号車ポルシェ963のロッテラーを3位に従えることに。
スタートから6時間後、終盤に1分30秒780のファステストも記録した可夢偉が、凱旋ラウンドを完全制覇するポール・トゥ・ウイン。これでワン・ツー・フィニッシュを決めたトヨタは地元富士スピードウェイでのマニュファクチャラータイトルを確定させるパーフェクトな週末となった。
■LMP2クラスも終盤は白熱の表彰台争いが勃発
白熱のLMP2は、前半戦を支配したユナイテッド・オートスポーツ陣営に対し、チームWRTの41号車オレカ・ギブソン(ルイ・アンドラーデ/ロバート・クビサ/ルイ・デレトラズ組)が挑む構図となり、スタートから4時間を過ぎたところからユナイテッド23号車のベン・ハンリーに対し、41号車のステアリングを握ったクビサが逆襲。残り約1時間20分のターン1でオーバーテイクを決め、ふたたびの首位奪還を果たす。
さらに、ユナイテッド・オートスポーツの僚友22号車を駆るフィリペ・アルバカーキにも先行された23号車は上位2台からジリジリと離され、最後の1時間は元F1ドライバーvsIMSAデイトナ24時間覇者の直接対決に。
ここでは最終的にサイド・バイ・サイドの攻防も耐え凌いだクビサが独走に持ち込み、残り12分でヒタヒタと迫ってきたチームWRTのもう1台、ロビン・フラインス駆る31号車がダンロップコーナーで決死のブレーキングを見せアルバカーキを打倒。しかし、直後に意地を見せた22号車がポジションを奪い返し、チームWRTのワン・ツーを阻止している。