更新日: 2024.01.25 22:03
世界と日本の女性ドライバー11名がWEC富士で交流「モチベーションや志の差を感じた」と刺激に
続いて三浦からは、「今の夢や目標は何ですか」という質問が飛ぶ。こちらにはガッティンが即座に「ル・マンに出場すること」と反応して続けた。
「2019年に、私は初めて夢だったル・マン24時間レースに出走することができた。そこからはアイアンデイムスに移ってルマンに出続けることができたから、ひとつ夢は叶ったんだ」そうコメントしたガッティンはおもむろに左腕の袖をまくり、ル・マン24時間レースとスパ・フランコルシャンのロゴのタトゥーを見せてその愛を伝えて見せた。
ボビーも続いて「私も夢はル・マンに行くことだった」と語る。
「いまでは、このアイアン・デイムスと一緒に3回も走ることができた。今度の目標は、ル・マン24時間レースに勝つことだね。今年は行けると思っていたんだけれど、惜しくも敵わなかった。来年には必ず成し遂げてみせるよ」と、実際にル・マン24時間レースに挑戦を続けている女性ドライバーとして力強いコメントを残した
最後に回答したフレイは、「20年前の私の夢はF1ドライバーだった」と明かす。
「最初はやっぱりF1を目指していたのだけれど、実際のモータースポーツの世界は少し違っていた。大きなチームやスポンサーも関わってくるし、運転技術のみの問題ではなく複雑で難しかった」
「だから、その時は夢をアジャストする必要があった。けど、やっぱり大きな夢は持たないといけないと思う。それとね、そうやって状況も変わると見えるものも新しくなってくるものなんだ」と、参加した日本人にはいとけないドライバーも居ただけに若い選手にも勇気を与える大人なコメントを残した。
■「体力的に整うと、徐々にメンタルも整ってくる」
ここで、現在はLMP2クラスにプレマ・レーシングから参戦し、過去にはアイアン・デイムスの一員としてミシュラン・ル・マン カップやフェラーリ・チャレンジ・ヨーロッパに参戦したこともあるドリアーヌ・パンが話を聞きつけて合流。急遽の参加ではあったが、最年少10歳の高橋からの「フィジカルやメンタルのトレーニングはどうしているのか」という質問に答えた。
「私は普段からトレーニングプログラムを組んでいる。メニューとしては、ブレーキを強く何度も踏むための踏力や、長時間運転を続けるための持久力を中心に鍛えるようにしている」
「あとメンタル面については、フィジカルコーチがメンタルコーチの役割も担ってくれていて、トレーニングを重ねて体力的に整ってくると徐々にメンタルも整ってくると思っている」と返答。この質問については、参加したドライバーの誰しもが気になっていたようで、アイアン・デイムスの3人も感心する様子を見せた。
以上で対話会は終了となり、日本人ドライバーらからお礼の品が贈呈され、一同は記念撮影へ。
ここで会はお開きとなる予定だったが、パンの図らいによりプレマ・レーシングのガレージも見学できることになった。ガレージ向かうと、リヤカウルが外されジャッキアップされたオレカ07・ギブソンがお出迎え。そしてパンは実際にマシンへの乗り方を説明しながら乗り込んで見せ、一同はLMP2マシンで戦うその姿を実感しながら見守った。
パンが実演する様子を見届けて対面会を終えた三浦愛は、「特に若い女性ドライバーたちにこういった機会を与えてくださって嬉しいです。私がもっと若いころにはこういった試みはありませんでしたが、最近は女性ドライバーの取り組みに対す期待や注目度が上がってきていたりしていると感じています」とコメント。
「今回初めて、WECで戦う女性ドライバーたちと会話をして、やっぱり彼女たちの世界を見ているモチベーションや志の差を感じました。私もチームを持ち、女性ドライバーを育てていく立場にあるので、その子たちにどんどん世界を見せていきたいし、自分自身も国内にとどまらず世界に目を向けてチャンスを見つけていきたいなと思いました」
また女性としてのレースキャリアについての質問を投げかけた猪爪は、「私は自動車運転免許を取得してからレースを始めました。若い選手たちがどんどん増えてきたなかでプレッシャーを感じていたのも事実ですが、今日は彼女たちの話を聞いて、夢を追い続ける限りは第一戦で活躍することができると感じました。運転免許を取得してからレースを始めた人たちにとっての“希望の星”になれたらと、勇気をもらいました」と感想を語った。