TGM Grand Prix 2023スーパーフォーミュラ第8戦&第9戦鈴鹿 レースレポート
2023スーパーフォーミュラRound8&9
鈴鹿サーキット(5.807km)
2023年10月28日/29日
●53号車代役参戦の大草りき選手、第8戦18番手、第9戦13番手でフィニッシュ、堂々たるデビュー戦を披露
●55号車ジェム・ブリュックバシェ選手、第8戦20番手、第9戦15番手でチェッカーを受け、学びの多かったルーキーイヤーをフィニッシュ
第8戦 10月28日(土)
カー# | ドライバー | 予選(10/28) | 決勝(10/28) |
---|---|---|---|
#53 | 大草りき | P17 1’38.797 | P18 |
#55 | ジェム・ブリュックバシェ | P14 1’38.576 | P20 |
第9戦 10月29日(日)
カー# | ドライバー | 予選(10/29) | 決勝(10/29) |
---|---|---|---|
#53 | 大草りき | P18 1’38.643 | P13 |
#55 | ジェム・ブリュックバシェ | P17 1’38.370 | P15 |
10月28-29日、三重県の鈴鹿サーキットで2023年全日本スーパーフォーミュラ選手権の今季ファイナルとなる第8ー9戦が開催されました。TGM Grand Prixの53号車は大湯都史樹選手の欠場にあたり、急遽代役としてSF未経験の大草りき選手を抜擢、チームは準備で慌ただしいなかでの鈴鹿入りとなりました。
2レース制の今大会ではフリープラクティスは金曜日の90分1回のみなので、土曜日の第8戦でSF車両への習熟を深めたうえで日曜日の第9戦に挑む、という計画だったところが、第8戦は4周目に入ったところで発生したクラッシュにより赤旗中断、そのままレース終了に。
ロングランを経験しないまま第9戦を迎えた大草選手は、決勝は18番グリッドからスタートし、これといったミスのない力強い走りでオーバーテイクも披露しながら周回をかさね、迎えたファイナルラップでも、さらに1つポジションをあげ、31周のレースを13番手でフィニッシュ。国内フォーミュラのトップカテゴリーでのデビュー戦という大舞台を堂々と戦い抜いてみせてくれました。
一方、55号車のジェム・ブリュックバシェ選手は、第8戦の予選ではQ2進出にはとどきませんでしたが、好タイムをマーク。レースそのものは4周完了時点で終了、3周を終えた時点での順位が最終結果となったため、ブリュックバシェ選手は20位という結果に。
翌日曜日の第9戦予選ではQ1突破に期待が寄せられましたが、前日第8戦予選のような好タイムを出すことができず、決勝は17番手からスタート。マシンの振動に悩まされながらも懸命にポジションを維持、セカンドスティントではしっかりオーバーテイク決めるなど随所で好パフォーマンスをみせながら15番手でチェッカーを受け、ルーキーイヤーを終えました。
2023年ドライバーズチャンピオンシップでは、ブリュックバシェ選手は合計5ポイントを獲得、18位となりました。また、チームとしては合計20ポイントを獲得し、8位でシーズンを終えました。
◆53号車ドライバー 大草りき選手のコメント
「土曜日は、初めての予選・決勝ということで、予選に関しては、まだまだ荒削りな部分があり、アタックに入るときのタイヤの温度とか、詰めきれていなかったところがたくさんあり、自分の中で課題として残っていましたが、そのなかでもセクター2で、気合で走れた部分で、しっかり全体ベストを出せたというのは、とても自信に繋がりました」
「その一方で、自分に対して他のセクターはどうしたんだ?とがっくりくらい車は決まっていたので、僕が頑張れば予選は絶対いける、という気持ちでした。土曜日の決勝は序盤で赤旗中断から終了となったためにロングランができず、日曜日に向けての不安要素として残りましたが、スタートも決まって、あとは本当にウォームアップでのタイヤの温め方とか、もう少し勉強すれば絶対戦えると思いました」
「日曜日のレースでは、多少改善すべき点はありましたが、何台もオーバーテイクでき、自分としては、初めてにしては、けっこういいレースができたのかな、と思う反面、まだまだ、前を走っている人たちに追いつけるレベルには程遠いと思うので、さらに頑張りたいと思います」
◆53号車エンジニア 上城直也のコメント
「最終戦に急遽大草選手が乗ることになり、SFは初めということで、フォーミュラのキャリア的に本人も不安があったと思いますし、僕らにしても、どれくらい乗れるドライバーなのか全く未知数だなぁというのはありましたが、GT300などは、ポンと乗ってポンと速いタイム出してくるようなドライバーなので、不安半分わくわく半分ぐらいの感じで鈴鹿にやってきました」
「しっかりシミュレーターにも乗ってもらってできる限りの準備はしてきましたが、まさにSF初ドライブの金曜日のFP1は90分だけしかなく、フォーミュラのトップカテゴリーに慣れるまでに時間がかかってしまったことと、持ち越しタイヤの関係でニュータイヤは金曜日で1セットしか使えなかったこともあり、土、日と、予選に関しては本人も少し悔しい気持ちがあったと思います」
「ただ車自体はいいと言ってくれたので、そこはエンジニアとしては自信が持てたところで、また、大草選手本人も昨日から今日にかけて予選の走り方で改善できているところもあり、まだまだ成長中のドライバーではありますが、ちゃんと光るところを見せてくれたと思います。本来であれば土曜日のレースを走り切って、しっかり習熟した上で、日曜の予選に臨んで、日曜の決勝、というのが望ましかったのですが、土曜日の決勝が序盤で終わってしまったので仕方ありませんでした」
「日曜日の予選もQ1突破はできませんでしたが、決勝では、周回重ねながら大草選手の習熟がどんどん進み、特にペースを落とすこともなく、むしろ、どんどんレース中に成長していくような感じでタイムを上げてくれて、ピットイン後、セカンドスティントでもどんどん前の車を抜いてくれる良い走りをしてくれて、最後は大嶋選手とのバトルがずっと続いていましたが、ファイナルラップの130R内側からしっかり抜いてくれて、最後の最後にもう1つポジションアップしてくれたことは、僕らにとっても嬉しいことでした。土曜日のレースはほぼなかったも同然なので、まさにデビューレースであることを考えれば、ポイントのつく順位ではありませんが、大健闘だったと思います」
「また、今シーズンを通してペースアップという車の方での課題がありましたが、第9戦ではフルスティント、ペースを落とすことなく走り切れたので、そこは僕らとしても少し見えてきた部分があり、今回のデータ分析を来シーズンに繋げていけるので、大草選手の走りも、僕らの力になったのかなと思っています。良い最終戦でした」
◆55号車ドライバー ジェム・ブリュックバシェ選手のコメント
「今週末の最終戦に対しては、もっとうまくやれるのではないかと思っていたのですが、残念ながら期待どおりにはいきませんでした。僕らのレースペースは、良いと思えるときもありましたが、結果的には思うほど良くはなく、僕もうまくまとめることができませんでした。第9戦について言えば、マシンの振動がひどくて、とにかくトラブルなしで31周回のレースを終えることを目指して走りました」
「今シーズンは、日本での初シーズン、SF初シーズン、そしてTGM Grand Prixで戦った初シーズンでもありました。総合的に素晴らしいシーズンでした。多くの経験とともに、多くの学びがありました」
◆55号車エンジニア 岡島慎太郎のコメント
「今週は2連戦ということで、2カ月間インターバルがあった中でしっかりセットも詰めてきたのですが、公式練習はかなりコンディションが悪くグリップ感も強いなか、なかなかそのコンディションに合わせこむことできずに、金曜日は難しい展開になりました」
「土曜日はコンディションが変わることが予想できていたので、焦らずそのコンディションに合わせてセットしました。特に高速セクションでのアンダーステアが問題になっていたのですが、その辺もうまくコンディションに合わせることができ、第8戦の予選を迎えました。結果はQ1突破にコンマ2秒足りなかったのですが、これまで走ってきたなかではかなりバランスもグリップ感も高いところでいけたので、土曜日の予選はまずまずだったと思います。決勝レースに関しては数周しか走っていないので評価が難しいところですが、おそらく長く走るためには、少しパフォーマンスが低かったかもしれません」
「日曜日はコンディションが土曜日よりもさらに上がったなかで、かなり大きなセット変更をしなければならず、バランス面とかは悪くなかったのですが、予選Q1でパフォーマンスを出し切れませんでした。Q1上位の36秒台というタイムはなかなか見えづらい状況だったので、来年に向けてはショートランのパフォーマンスについても今年1年を振り返り、分析をしなければなりません」
「日曜日の第9戦のレースではペースがあまり良くなく、ドライバーは車のフィーリングに違和感があり、ファーストスティント、セカンドスティント、ともにペースアップするのが難しかったと思います。それでも、セカンドスティントではきっちりオーバーテイクしたり、結果としての順位以上に随所で良いパフォーマンスも見せてもらいました」
「今シーズンについてしっかり分析と振り返りを実行し、また来年良いパフォーマンスでレースできるようにしたいと思います」
2023年全日本スーパーフォーミュラ選手権は、今鈴鹿大会で終了となりました。今季TGM Grand Prixをご支援いただいたご協賛各社様、熱い声援を送り続けてくださったファンの皆様、そしてさまざまな面で支えてくださった関係者の皆様、ありがとうございました。チーム一同、厚く御礼申し上げます。
また、ともに戦ってくださった大湯都史樹選手、ジェム・ブリュックバシェ選手、大津弘樹選手、そして大草りき選手に、深く感謝いたします。