Kazushi Nakano / autosport web

「結構大きな違いになる」「あんまり変わらないかな」

 共通ダンパーがデリバリーされて初の走行機会となった鈴鹿サーキットでの合同/ルーキーテスト(12月6〜8日)の現場では、各チームがこのオーリンズ製ダンパーを懸命に理解しようとしていた。

 冒頭のように共通ダンパーに関するインプレッションはさまざまだったが、取材した範囲では後者、つまり「思いのほか変わらない」といった類のコメントが、ドライバーやエンジニアからは多く聞かれた。

■6wayでできたことと、あえて「使わなかった」理由

 改めて状況を整理しておくと、スーパーフォーミュラでは2024年シーズンからオーリンズ製の共通ダンパー(コーナーダンパーおよびサードエレメント)が導入される。JRP(日本レースプロモーション)はこれについて「ドライバーのスキルが発揮されるレース」を目指したものであり、「部品代の高騰を抑制し、チームの参戦コストを低減」する目的があるとしている。

 これまではオーリンズ、ザックス、マルチマチック、ペンスキーといったメーカーのダンパーが使用されてきたようで、各チームが独自にチューンできるセットアップアイテムとして、マシンのキャラクターづけに少なからず作用してきた。

 しかし今回の共通化で、コーナーダンパーは4way(縮み/伸びをそれぞれ高速/低速で調整可能)での減衰力調整機構を持つアイテムが採用されたことで、一部チームが装着していた『6way』のダンパーは使用することができなくなった。

 加えて前後のサードエレメントに関しては、これまで多くの陣営が振動を打ち消すイナーター機構を持つダンパーを使用していたと見られるが、この部分は今回の共通化で『スライダー』と呼ばれるシンプルな構造のものが採用。イナーターや減衰機能が備わらなくなったことにより、マシンのピッチ方向の姿勢制御が、より難しくなることが予想されていた。

 そんななか共通ダンパー使用開始となった今回の鈴鹿テストで、明らかに大きな変化があると口にし、悩んでいる様子の陣営があった。野尻智紀と岩佐歩夢というドライバーラインアップが確定しているTEAM MUGENである。

「これははっきりと書いてもらった方がいいと思うのですが」

 そう前置きして説明を始めたのは、これまで高価とされる6wayダンパーを使用してきたTEAM MUGENの小池智彦エンジニア(2023年にリアム・ローソンを担当。今回のテストでは岩佐車担当)だ。

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