投稿日: 2024.06.26 12:30
更新日: 2024.06.26 12:47

“スポンジバリアNG”のFIA新基準。スーパーフォーミュラ開催直前にSUGOで行われた大規模作業と今後の課題


スーパーフォーミュラ | “スポンジバリアNG”のFIA新基準。スーパーフォーミュラ開催直前にSUGOで行われた大規模作業と今後の課題

 この報告として、6月22日付けで大会組織委員会より『SUGOインターナショナルレーシングコース改善工事完了報告について』というインフォメーションが発行され、タイヤバリアおよびガードレール前に設置してあるウレタンパッドの撤去とT1、T7(ハイポイントコーナー)、T9(馬の背コーナー)、T12(最終コーナー前半)のタイヤバリア増設をFIAの指示どおりに実施した旨が、公式にアナウンスされた。

 なお、今回クラッシュが多発した最終コーナー後半についてはバリアの設置場所が少なくなっているというドライバー側からの指摘もあったが、サーキット側は「あそこに関しては、もともと飛び出しが少ない箇所でしたが、『良かれ』と思ってプラスアルファで置いていた部分もありました。今回については(FIAからの)指摘どおりになっていました」とのこと。ただ、今回の件を踏まえて「今後の増設については検討する」とした。

 これで一件落着かと思われるのだが、SUGO側では別の深刻な問題も発生している。今後に対するウレタンバリアの管理だ。スポーツランドSUGOでは全日本ロードレース選手権をはじめ2輪のレースも頻繁に開催される。2輪レースの国際統括をするFIMでは別の規定もあり、こちらではウレタンバリアが必要となるのだ。

「もし、今回指摘されたもので今後も運用していかないといけなくなると、(ウレタンバリアを)設置しなければいけないレースと外さなければいけないレースが混在してくることになります。それにひとつひとつ対応するとなると毎回費用もかかってくるし、サーキット側の負担は大きくなります……」とSUGO担当者。

 ちなみに撤去した数百個のウレタンバリアは、サーキットの敷地内では収まりきらず、サーキットと付き合いのある方の私有地に一時的に置かせてもらったとのこと。10トン車で数往復してウレタンバリアを運んだという。前述のとおり2輪レース開催時にはウレタンバリアが必要になるため、今度は逆にサーキットへ運び込む作業も発生することになるのだ。これらにかかる費用と労力が莫大なものになることは、想像に難くない。

 7月頭には、今回レンタルしたタイヤバリアを返却しなければならず、そこを補填する新しいタイヤバリアを購入・設置する作業も待っている。9月にスーパーGTとFIA F4の開催も控えているため時間的猶予も限られている状態だ。「具体的な本数は言えないですが、相当な量のタイヤバリアを買わないといけません……」と、サーキット側も頭を抱えている様子だった。

山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING)
ウォームアップ走行の最終コーナーでクラッシュした山本尚貴のマシン


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