投稿日: 2024.07.26 00:37
更新日: 2024.07.26 00:45

docomo business ROOKIE 2024スーパーフォーミュラ第4戦富士 レースレポート


スーパーフォーミュラ | docomo business ROOKIE 2024スーパーフォーミュラ第4戦富士 レースレポート

全日本スーパーフォーミュラ選手権2024 第4戦

2024年7月20日(土)~21日(日)
富士スピードウェイ(静岡県)

■フリー走行

7月20日(土) 天候:晴れ 路面:ドライ

 宮城県のスポーツランドSUGOで行われた第3戦では、目標のひとつであったQ2進出を果たすなど公式予選まで好調な戦いぶりをみせたdocomo business ROOKIEと大嶋和也。ただ荒天となった決勝レースでは思わぬクラッシュに見舞われ、車両の大がかりな修復が必要となっていた。

 チームは7月7~8日に富士スピードウェイで行われた合同テストに向け車両を修復。大嶋は2日間に渡るテストでさまざまなメニューに取り組んでいった。ただ、この段階では大嶋にとっては「それほどフィーリングは悪いわけではないけれど、フロントもリヤもグリップが足りない」と気持ち良く走ることができない状況だった。

 時折良いヒントも見出すことができ、多くのメニューを得たチームは、地元である富士スピードウェイでの第4戦に向け準備を進めていった。今回の第4戦は、三笠宮家の瑶子女王殿下の賜杯をいただく栄誉ある大会となり、否が応でも気合が入る一戦だ。

 そんなレースウイークの幕開けとなる7月20日(土)は、早朝こそ雲が多かったものの、午前9時20分からのフリー走行は気温30度/路面温度35度という7月らしい暑さのなかで始まった。大嶋は3~4周ほどのショートランを繰り返しながらセットアップを進めていったが、「バランスが合っていればチャンスはあるかと思いましたが、やはり100Rなどが遅い状況でした」といまひとつなフィーリングだった。

 赤旗中断などもなく、大嶋は1時間30分のセッションをしっかりと使いながらセット変更に取り組んでいき、最後はアタックシミュレーションを行ったものの、1分24秒469というベストタイムで17番手となった。上位陣は1分22秒台をうかがうタイムが記録しており、第3戦SUGOのような気持ち良さと速さがない。

 チームは午後の公式予選に向けて、インターバルの間で少しでも大嶋がグリップ感を得られるようにするべく、セットアップの改善を続けていくことになった。

■公式予選

7月20日(土) 天候:曇り 路面:ドライ

 午後になり雲が増えたものの、気温32度/路面温度48度と酷暑のなかで迎えた公式予選。大嶋はQ1のB組からQ2進出へ向けて出走することになった。

 コースイン後、大嶋は一度ピットに戻った後、再度コースイン。アタックラップに入っていった。「午前のフリー走行のフィーリングではリヤのグリップが特に足りなかったので、かなりリヤ寄りにセットアップを振ったのですが、予選では少しアンダーステアっぽいところが出てしまった。100Rではオーバーステアだったし……」とやはりバランスに苦しみ、結果的に1分23秒808までタイムを伸ばしたものの、結果は9番手。Q2進出を果たし沸いた第3戦の予選の再現はならなかった。

 この富士スピードウェイはオーバーテイクがしやすく、追い上げも期待したいところではあったが、大嶋は「ダウンフォースが今も多めなんです」とこぼした。ダウンフォースが多ければ、メインストレートでライバルに先行を許してしまう。チームと大嶋の悩みは決勝に向けても深い様子を感じさせた。とはいえ、黙ってばかりもいられない。チームはさらなる改善に向け、居残りで作業を続けていった。

docomo business ROOKIE 2024スーパーフォーミュラ第4戦富士 レースレポート
2024スーパーフォーミュラ第4戦富士 docomo business ROOKIE

■決勝レース

7月21日(日) 天候:晴れ 路面:ドライ

 公式予選まではいまひとつパフォーマンスがないままこのレースウイークを送っていたdocomo business ROOKIEと大嶋和也だが、予選後、レースでのパフォーマンスアップを目指してセットアップの改善に取り組んだ。

 迎えた7月21日(日)の決勝日は、朝から晴天に恵まれ、気温31度/路面温度39度という暑さのなか午前9時20分からフリー走行がスタートした。大嶋はこのフリー走行で、大きくフィーリングが良くなっていることを感じ取った。

 大嶋は1分25~26秒台のタイムを並べ、追い上げが充分可能であることを感じさせた。ただ、15時からの決勝レースを前に、思わぬトラブルが発生してしまう。車体下面のフロアと呼ばれる部分が大きく破損していたのだ。チームはグリッド上で応急処置を施すが、空力性能に大きく影響する部分だけに、パフォーマンスの低下は避けられない。石浦宏明監督をはじめチームは一時リタイアも検討した。

 ただ、大嶋は応急処置の状態ながら戦うことを決断する。スタート後、ストップ車両もあったことなどもあり、大嶋は17番手にポジションアップを果たす。10周を終えピットウインドウがオープンすると、大嶋はピットイン。チームは迅速な作業で送り出し、追い上げを目指していった。

 しかしフロアの応急処置は周回を重ねていくと、走行の負担に耐えられず剥がれてしまう。この影響もあり、大嶋のペースは1分27秒ほどになってしまった。またタイヤ交換後にはオーバーテイクの際に危険な挙動を示すクルマもおり、大嶋は苦しいレースを強いられてしまうことになった。

 セーフティカー等も発生せず、レースはそのまま推移していく。大嶋は苦しい状況ながら粘りのレースを続け、37周目には前を走っていた#4 小高一斗をオーバーテイク。ポジションを上げるなど戦う姿勢を崩さなかった。

 最終的に41周のレースを終え、大嶋は16位でフィニッシュすることになった。18番手スタートから順位は上がっていたが、フロアのトラブルがなければもっと大きく順位を上げられた可能性は高かった。

 フロアのトラブルへの対応は正解だったのかも含め、チームにとっても多くの教訓を得るものとなった。しかしそんななかでも、フリー走行で見出したパフォーマンス、そして大嶋の頑張りはチームを勇気づけた。

 第3戦SUGOのようなパフォーマンスは出せなかったが、ポイント圏内を見据えるリカバリーをレースウイーク中に出せたことも事実だ。シーズンは残り5戦。ふたたび富士スピードウェイでのレースも10月にある。docomo business ROOKIEは目標のポイント獲得、そして何よりも大事な大嶋が気持ち良く戦うというターゲットに向けて、次戦モビリティリゾートもてぎでのレースに臨む。

■ドライバー/監督コメント

●DRIVER  大嶋和也 Kazuya OSHIMA

「SUGOでは良いクルマがありながらクラッシュしてしまって、合同テストでしっかりチームが修復してくれましたが、悪い印象ではないものの100Rなどで動きが良くなく、今週末もその印象が抜けませんでした。公式予選でもその症状が解消されなかったのですが、決勝日のフリー走行ではセットアップが良くなっていて、タイムも改善されていました」

「残念ながらトラブルによりそのポテンシャルは発揮できませんでしたが、そのクルマでレースができたら良かったです。ポテンシャルが充分発揮できない状況のなかでのレースとなりましたが、そのなかでこの結果が残せたので、僕としては頑張ることができたと思います。ネガティブにならず次のレースに臨めるのではないでしょうか。次戦のもてぎも頑張っていきたいと思います」

●DIRECTOR 石浦宏明 Hiroaki ISHIURA

「合同テストからセクター2での速さが出せず、公式予選でもそれを改善することがなかなかできませんでした。ただ、決勝に向けてエンジニアが頑張ってくれたおかげで、フリー走行からは良いペースで走れており、追い上げのレースができると思っていたのですが、スタート前にフロアの損傷が見つかってしまいました」

「応急処置をしたものの本来のパフォーマンスが出せない状況で戦わざるを得ず、ドライバーに気持ち良くレースを戦わせてあげられなかったので、その点はチームとして大きな反省点だと思います。リタイアも考えたのですが、大嶋選手が諦めず最後まで頑張ってくれたので、その点は救いでした。次回はもてぎですが、真夏のレースで厳しい一戦になると思います。そういう時こそチャンスがあると思うので、頑張っていきたいですね」


関連のニュース

スーパーフォーミュラ 関連ドライバー

スーパーフォーミュラ 関連チーム