更新日: 2024.08.28 19:06
docomo business ROOKIE 2024スーパーフォーミュラ第5戦もてぎ レースレポート
全日本スーパーフォーミュラ選手権2024 第5戦
2024年8月24日(土)〜25日(日)
モビリティリゾートもてぎ(栃木県)
All Photographs by Noriaki MITSUHASHI / N-RAK PHOTO AGENCY
フリー走行
8月24日(土) 天候:晴れ 路面:ドライ
チームの地元である富士スピードウェイでの第4戦は、車両のフロアにダメージを抱え、せっかくの好パフォーマンスを活かすことができなかったdocomo business ROOKIEと大嶋和也。今シーズンは間違いなく高いポテンシャルを示しており、Q2進出という目標こそ実現しているが、なかなかポイント獲得というもうひとつの目標に届いていない。
今回こそポイントを、そして大嶋に気持ち良い走りをしてもらいたいというチーム一丸の思いとともに迎えた第5戦の舞台は、栃木県のモビリティリゾートもてぎ。ブレーキに非常に厳しいコースであるとともに、例年8月の開催で、酷暑も堪えるレースだ。チームメンバーは8月23日(金)から大粒の汗をかきながら、週末に向けた準備を進めた。
迎えた8月24日(土)の予選日のもてぎは、雲が多いものの夏の日射しが注ぎ、気温もグングン上昇。湿度も高い厳しい状況のなかで、午前8時55分からフリー走行がスタートした。
大嶋は開始後しばらくしてからコースインすると、ピットアウト〜インを繰り返しながら午後の公式予選に向けたセットアップを確認していった。この走行ではアクシデント等による赤旗中断はなく、大嶋は18周目に1分32秒953というベストタイムを記録。10番手でフリー走行を終えた。トップとの差はややあるものの、上位陣は僅差だ。
「調子は悪くないのですが、もう少しうまく“曲げたい”ところです。ただ曲げようとするとリヤがなくなる。しかし今年のなかではいちばん手ごたえがあります」と大嶋はフリー走行後、上々の手ごたえを語っていた。午後の公式予選Q2進出へ向け期待がかかる。
ただ、この日のもてぎは午後には雷雨の天気予報も出ていた。コンディションの変化には臨機応変に対応する必要があるのは間違いなさそうだった。docomo business ROOKIEは、フリー走行後の長いインターバルを使ってセットアップの改良と、予選への対応を進めていった。
公式予選
8月24日(土) 天候:晴れ 路面:ドライ
午前のフリー走行の後ももてぎは酷暑が続き、午後には雲が増えたものの気温35度/路面温度46度という厳しい暑さのなか、午後2時45分からの公式予選を迎えた。
A組に出走した大嶋は、一度ピットに戻った後、再度コースに戻りチェッカーラップに向けてアタックを行っていく。記録されたベストタイムは1分32秒960。午前のフリー走行よりタイムを伸ばすことができず、結果的に大嶋の順位は8番手。Q2進出を果たすことができなかった。
予選後、大嶋は「午前のフリー走行に比べて、タイヤのウォームアップの温度の上がり方がゆっくりになってしまいました。タイヤの内圧設定をもう少し上げておかなければならなかったのか……」とタイムを上げきることができなかった理由を明かした。
また大嶋は「1コーナー、3コーナーのブレーキングでロスをしていたので、もったいなかったです」とアタックを振り返ったが、とはいえクルマの状況が悪いわけではない。
「クルマはここ最近フィーリングが良いので、なんとかポイントを獲りにいきたいですね」と大嶋はしっかりと前を見据え、決勝レースでの巻き返しを誓った。
決勝レース
8月25日(日) 天候:晴れ 路面:ドライ
迎えた8月25日(日)の決勝日。前日の夜には洪水警報が出るほどの雷雨に見舞われたもてぎだが、この日は薄曇りのなか迎えた。午前9時10分から行われたフリー走行では、大嶋は「悪くはないと思いますけど、リヤのグリップダウンが大きい」という手ごたえ。とはいえフィーリングは良好で、レースに向けた自信をみせていた。
この日ももてぎには雷雨の予報が出ていたが、午後2時40分からの決勝レースまでに心配された雨は降らず、晴天、そしてドライコンディションで37周のレースを迎えることになった。雨はなかったが、逆に暑さが厳しい。気温33度/路面温度37度というコンディションのもと決勝の火ぶたが切って落とされた。
大嶋は15番手グリッドから好スタートを切ることができ、前を行く車両をかわしていくが、1コーナーへの進入で前の集団に接触があり、アウト側に避けざるを得ない展開となってしまった。
さらに1周目、抜きどころである90度コーナーでの攻防のなかで、後方から迫った#12 三宅淳詞との戦いのなかで被せられるかたちとなってしまい、大嶋は一時引いたものの、接触しフロントウイングにダメージを受けてしまった。
接触で空力バランスが変化してしまった大嶋だが、それでもペースは悪くない。ただバランスが崩れたままでは悪影響があるのは間違いない。チームは10周を終えたミニマムのタイミングで大嶋をピットに呼び戻したが、このタイミングでタイヤ交換とともにフロントノーズ交換を行った。
この作業で15秒ほどのタイムロスがあったものの、交換作業のなかでは抜群に速い。これまでチームが準備してきた練習の成果が発揮された。
そんなクルーたちの頑張りに応えるかのように、大嶋は13周目に#53 Jujuをかわすと、コンスタントなラップでレースを戦っていった。ペースとしては、早めのピット作業を終えたグループのなかのトップ車両と同等のものだった。
17周目にストップ車両があったことから大嶋は18番手にポジションを上げると、そこからひとつずつ順位を上げていく。ただ、ノーズ交換のタイムロスが響き、前を走る集団に食い込んでいくものの、もてぎはオーバーテイクがしづらいコースのひとつ。
ペースの良さがなかなか活かされないままレースはチェッカーを迎え、最終的に大嶋は14位でフィニッシュすることになった。ポイント圏内となる10位争いの集団のなかにはいただけに、悔しい結果となってしまった。
間違いなくポテンシャルは上がっていたものの、予選での内圧設定、決勝序盤の接触など、このもてぎでの一戦はいまひとつ噛みあわないレースウイークとなってしまった。地元富士で迎える次戦に向け、チームはこのポテンシャルを活かすべく、一丸となっていく。
ドライバー/監督コメント
DRIVER 大嶋和也
「スタートは悪くなく順位を上げることができましたが、1コーナーで前の集団に接触があり、そこでの位置取りが良くありませんでした。そこでイン側に入られてしまいましたね。その後、三宅選手との接触もありフロントウイングにダメージを受けてしまったのですが、タイムは悪くなかったと思います。ピットインした後にフロントを修復しましたが、その後のペースも良かったと思います」
「ここ数戦、ずっとクルマの調子は良いのでなんとか結果に繋げたいと思っていましたが、今回は予選や、スタート直後の接触、ピットでのフロント交換作業もありました。それがなければ5〜6位くらいに入ることができるペースはあったと思います。悔しいですが、今シーズンの残り4戦でしっかりとまとめたいと思っています」
DIRECTOR 石浦宏明
「決勝日のフリー走行ではタイムも出ていたのですが、もう少しペースが欲しいと思っていました。結果的にトップと同じペースで走れていたので、決勝ペースはすごく良かったと思います。そこはひとつ大きな収穫でした。ただレースでは、12号車との接触で15〜16秒ほど失ってしまっていたので、それがなければポイント圏内には十分入れていたと思います」
「今回も噛みあわない週末となってしまいましたが、レースペース、そして事前に練習していたフロント交換とタイヤ交換を同時に行う作業もシミュレーションどおりにできましたし、やってきたことが間違っていないことを確認することができました。自分たちが正しい方向に進んでいると感じたので、続けていけば結果が残るだろう、という手ごたえを感じた週末でした」