更新日: 2024.11.10 07:16
【SF Mix Voices 第8戦“事件簿”】「発進した瞬間に」「130Rも曲がれない」「効いたり抜けたり」
■大津弘樹(TGM Grand Prix):ステアリングトラブルでリタイア
19番手からスタートした大津だが、序盤からペースが上がらず。15周目にガレージにマシンを入れてしまった。その後20分弱ほど作業をしてピットアウトしたが、2周して再びピットへ戻り、そのままリタイアとなった。
「とにかくクルマが真っ直ぐに走らなくて……」と大津。どうやら、きっかけは10月の富士大会まで遡るようだ。
「前回の富士のスタートで大湯(都史樹)選手と当たったんですよ。そのあとペースが一気に落ちて苦戦しました。そこからいろいろ見直して今回来たのですけど、昨日の走り出しから真っ直ぐに走らなかったです」
「ハンドルを軽く握ったら、すぐに左側に取られてしまうくらい。アライメントはしっかり取ってもらったのですけど『おかしい』となりました」
そこから打てる手は打ってみたようだが状況は改善せず。「トルクセンサーのセンターが結構ズレていたようで、それも直してもらったのですけど、感じ取れるフィーリングが全然自分の思いどおりじゃなくて……コーナーひとつ曲がっているなかでも、アシストが効いたり抜けたり。決勝でもピットに戻ってECUもバッテリーも変えたのですけど、症状は直っていませんでした」と語った。
■平良響(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL):ピットアウト後に右リヤタイヤ脱輪
今回がスーパーフォーミュラ3レース目となる平良も序盤からさまざまなハプニングに見舞われていた。
「スタートでアンチストールが入ってしまって、その場で止まってしまいました」と平良。大きくポジションを落として後方から挽回していく。
「序盤は野田選手(Juju/TGM Grand Prix)がいたなかで、後ろにつくとダウンフォースが抜ける場面があって、すぐにオーバーテイクできなかったんですけど、前に出てからは『やっぱり』という感じでペースが良くて、前の木村(偉織)選手に追いつく状況でした」
その後は順調に走っていた平良だが、次なるハプニングが彼を襲う。18周を終えたところでタイヤ交換を済ませたが、ピットアウトした瞬間に右リヤタイヤが外れて走行不能となってしまった。
なお、外れたタイヤはコース上のレコードラインを転がっていき、2コーナーのクリッピングポイントで停止。これが原因でセーフティカーが導入された。
「アクセル全開でピットリミッターを切ったら恐いので、(アクセル開度を)真ん中くらいにしてリミッターを切りました。その瞬間にリヤがスライドして『タイヤが全然温まっていない! 怖いな」と思いながら走ったら、タイヤが外れていました」
「(原因については)検証中です」と平良。最後まで走れなかった残念さもあるが、予選と決勝のペースについて課題を感じている模様。
「ステイアウトしていた坪井選手や大湯選手のタイムも聞いていましたけど、(ふたりと比べると)全然良い方で、決勝の良さと予選の悪さのギャップがあるので、その要因をちゃんと整理整頓しないと本当の強さにつながらないなと思います」と語った。
■笹原右京(VANTELIN TEAM TOM’S)と大嶋和也(docomo business ROOKIE):スプーンカーブで接触
2コーナーのタイヤが撤去されてセーフティカーが解除されたが、24周目のスプーンカーブで大嶋と笹原が交錯するアクシデントがあった。
「OTS(オーバーテイク・システム)を使ってスプーンの外側から追い抜こうと思っていました。ちょうどタイヤも交換した後だったので、自分のグリップを信じて『もうちょっといけるかな?』と思っていきました」
そう語るのはオーバーテイクを仕掛けた笹原。スプーンひとつ目で追い抜けたかに見えたが、「(追い抜いた時に)接触はなかったのですけど、僕が思ったより外のラインにいて、ラインと縁石に弾かれてしまってコントロールを失ってしまいました」とのこと。
「なんとか立て直そうとした際に接触してしまいました。そこは完全に僕のミスだったと思います」と落ち込んだ様子だった。
その後、ピットに戻ってフロントノーズを交換し戦列に復帰。トップから1周遅れの15位でレースを終えた。
一方の大嶋は、当時の状況をこのように説明している。
「笹原選手がヘアピン立ち上がりからOTを押してスリップに入って並びかけてきました。僕はその時OTが押せない状況でしたし、向こうはタイヤが新しかったので、抑えるには厳しいかなと思っていました」
「そうしたら向こうが外側で姿勢を乱していたので『スピンするな』というのが分かって、内側にラインをずらしました。避け切れたかなと思ったんですけど、後ろが当たって駆動がつながらなくなってしまいました」
駆動がかからなかったこともあり、大嶋は西ストレート脇にマシンを止めてリタイア。今季初ポイントのチャンスが見えていただけに、落胆の様子だった。
こうして最初から最後まで波乱続きとなった第8戦決勝。日曜日の第9戦は、シーズンを締めくくるレースに相応しい波乱の少ないクリーンな展開になることを切に願いたい。