更新日: 2024.11.11 13:57
TOYOTA GAZOO Racing 2024スーパーフォーミュラ第8戦&第9戦 レースレポート
2024年全日本スーパーフォーミュラ選手権第8・9戦鈴鹿
坪井が悲願のドライバーズチャンピオン獲得!
坪井は第8戦、第9戦で2位表彰台。第9戦では福住が3位
11月9日(土)10日(日)の両日、鈴鹿サーキットでスーパーフォーミュラの第8・9戦が1大会2レース制で行われ、坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)が第8戦、第9戦ともに2位表彰台を獲得して念願のドライバーズチャンピオンを獲得しました。福住仁嶺(Kids com Team KCMG)が第9戦で3位表彰台を獲得しました。
11月9日(土)と10日(日)の両日、三重県の鈴鹿サーキットで全日本スーパーフォーミュラ選手権第8、9戦『第23回JAF鈴鹿グランプリ』が行われました。
2024年シーズンの同シリーズも最終大会を迎えました。今大会も2レース制で実施され、タイトルを賭けた最終決戦が繰り広げられました。TOYOTA GAZOO Racing(TGR)勢は、坪井が今季の富士での3戦をすべて制し、2回の3位と合わせ、5回の表彰台という活躍でランキング首位に浮上しました。この結果、ランキングで2位に14.5ポイント差をつけ、初めてのチャンピオン獲得へ向け最後の2戦に挑みました。
また、第7戦で2位表彰台を獲得した福住がランキング5位、第1戦鈴鹿と第5戦もてぎで2位表彰台を獲得している山下健太(KONDO RACING)がランキング6位で、逆転チャンピオンの可能性を残してこの最終大会を迎えることとなりました。
ITOCHU ENEX TEAM IMPULの19号車は、TGR-DC(TGRドライバー・チャレンジ・プログラム)の支援ドライバー、平良響が第3戦、第4戦に続きステアリングを握ります。
秋晴れの好天に恵まれたこの週末、熱く盛り上がる最終決戦を見守るべく、多くのモータースポーツファンの皆さまがサーキットに集まりました。コース上では無人車両による自律走行レース、A2RLのデモンストレーションレースが実施され、大きな注目を集めました。
また、ゲストとしてWRCドライバーの勝田貴元が来場。トークショーやサイン会でファンの皆さまとの交流を楽しみ、トヨタGRヤリス・ラリー1も展示され、再来週に迫ったラリージャパンをPRしました。他にも恒例のOut of KidZania in SUPER FORMULAなどさまざまなコンテンツが数多く実施され、多くのモータースポーツファンの皆さまがサーキットでの特別な時間を満喫していました。
■第8戦予選
9日(土)は朝から雲ひとつない快晴となりました。気温15度、路面温度18度と言うコンディションで朝9時よりノックアウト方式の予選が開始されました。
Q1は2グループに分け、それぞれの上位6台がQ2へと進出。
Q1のA組では、阪口晴南(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)が4番手タイム。笹原右京(VANTELIN TEAM TOM’S)が5番手、福住が6番手でQ2へと進出。国本雄資(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)は7番手、小高一斗(KONDO RACING)が8番手となりました。
B組では、各車がアタックに入っていた、セッション残り1分を切ったところでコースアウト車両があり赤旗中断。車両排除後、残り3分で再開されることとなりました。全車コースインして翌周の一発アタックとなるなか、坪井がトップタイムをマーク。山下が4番手、大湯都史樹(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)が5番手、大嶋和也(docomo business ROOKIE)が6番手でQ2進出。小林可夢偉(Kids com Team KCMG)は8番手、平良は9番手に終わりました。
Q2では、最終ラップで目まぐるしく順位が入れ替わるなか、坪井がTGR勢最上位となる5番手グリッドを獲得。阪口が7番手、福住8番手、大湯が9番手、笹原10番手、大嶋11番手、山下はトラックリミット違反を取られ12番手。山下はこの予選でポールポジション獲得が逆転タイトルへの条件だったため、ここでタイトル争いからは脱落することとなってしまいました。
■第8戦決勝
予選の後、4時間半ほどのインターバルを経て、14時40分、気温21度、路面温度31度のコンディションで、31周で争われる第8戦決勝のスタートが切られました。
スタートでは、3番手グリッドの岩佐歩夢(TEAM MUGEN)が遅れたことで、5番手スタートの坪井以下はひとつずつポジションアップ。5周目には6位の阪口が山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING)をかわし5番手へ。4番手の坪井も前を行く牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)を1秒以内で追い、序盤から僅差の争いが各所で繰り広げられました。
ピットでのタイヤ交換義務を消化できる10周を過ぎると、阪口、福住、大嶋とともに、坪井とタイトルを争っている牧野、野尻智紀(TEAM MUGEN)らがミニマムでのピットイン。坪井はこの翌周にピットインし、それまで先行していた牧野の前でのコース復帰に成功しました。
ピットアウト直後で温まっていないタイヤの坪井は、牧野からの猛追を受けますが、これを凌ぎ切り、その後は後続との差を広げることとなりました。
18周目、ピットインを遅らせていた平良がピットへ向かい、タイヤを交換。コースへ復帰しようとしましたが、ピットレーンを出たところで左リヤタイヤが脱落。そのタイヤがコース上に停まったことで、セーフティカーが導入されました。
ここで残りの車両もピットへ向かい、全車がピットを終えると、坪井は2番手へと浮上。セーフティカー導入により各車のマージンが無くなり、22周目から残り9周での再スタートとなりました。
再スタート後、9番手を走行していた大嶋に、スプーンで追い抜きをかけようとした笹原がスピンし接触。大嶋はバックストレートで車両を停め、レースを終えることとなってしまいました。
このアクシデントでふたたびセーフティカーが出され、レースは29周目、残り3周で再開。各車、残っていたオーバーテイクシステムを使い切る激しいバトルが最後まで繰り広げられ、坪井は2位のポジションを守り切ってチェッカー。阪口が4位、福住が6位、山下が8位、大湯が10位でポイント獲得を果たしました。
坪井はライバルの牧野(3位)、野尻(5位)の前でフィニッシュしたことで、タイトル争いでのポイント差をさらに拡大。ここで野尻と福住も逆転タイトルの目はなくなり、最終戦のタイトル争いは坪井と18.5ポイント差の牧野の一騎打ちとなりました。
■第9戦予選
10日(日)は曇り気味の空模様。気温17度、路面温度19度のコンディションのなか、9時15分よりノックアウト方式の予選が行われました。
Q1のA組では、前日の第8戦で4位フィニッシュを果たした阪口が3番手タイムをマーク。笹原が4番手、福住が5番手でQ2へと進出。国本は惜しくも7番手、小高が8番手、大嶋は9番手となりました。
B組では、坪井が圧巻の速さを見せトップタイム。山下が4番手、大湯が6番手でQ2へと進出。小林が9番手、平良は10番手に終わりました。
Q2では、阪口、福住が1分37秒フラットに近い好タイムをマークも、坪井は1分36秒台に突入。トップの野尻のタイムには届かなかったものの2番手でタイトル確定なるかと思われましたが、終盤太田のタイムが上回り、坪井はTGR勢最上位の3番手グリッドを獲得。福住が5番手、阪口6番手、笹原7番手、山下が8番手、大湯が12番手。
坪井は予選3番手で貴重な1ポイントを追加したことにより、決勝を10位以内でフィニッシュすればチャンピオン決定という、さらに優位な状況で最終戦の決勝を迎えることとなりました。
■第9戦決勝
予選の後、雲の残る空の下、気温20度、路面温度25度のコンディションで午後2時半より31周で争われる今季最終戦の決勝レースがスタートしました。
スタートはクリーンな展開で、3番手グリッドの坪井は3番手をキープ。5番手グリッドの福住が4番手へとひとつポジションを上げました。
10番手以内、そのままのポジションでもチャンピオンは決まる坪井でしたが、序盤から猛プッシュを見せ、2周目には前を行く野尻をパスして、2番手に浮上。守りに入らず、攻めの姿勢を見せる坪井のオーバーテイクはグランドスタンドを埋め尽くした観客を沸かせました。福住も2周目のシケインで野尻をパスし、3番手へ浮上しました。
ピットでのタイヤ交換義務を消化できる10周を終えると、福住、阪口、笹原、国本らがピットイン。翌周には坪井がピットへ。その翌周、首位を行く太田がピットインし、コースへ復帰すると、タイヤが温まった坪井が猛プッシュをかけ、タイヤがまだ冷えている太田を激しく攻めましたが、惜しくも逆転には至らず。
22周目に最後の車両がピットへ向かったことで、坪井は2番手、福住は3番手へと復帰。後方では、小林、山下らが入賞圏内をかけてのバトルを展開しました。
坪井は2位を守ったままチェッカー。この鈴鹿ラウンドで2レースともに2位表彰台を獲得し、スーパーフォーミュラ参戦6年目にして、悲願のドライバーズチャンピオンを獲得しました。TGRとトムスチーム、そして36号車にとっては昨年の宮田莉朋に続き、2年連続でのドライバーズタイトルとなりました。
福住は3位でフィニッシュし、第7戦に続き今季2度目の表彰台。山下は終盤小林からの追撃を受けるも逃げ切り9位。小林は10位でチェッカーを受け、ポイント獲得を果たしました。
■コメント
●VANTELIN TEAM TOM’S 36号車 坪井翔
「これだけたくさんのお客さんの前でチャンピオン決めることができて嬉しいです。僕にとって6シーズン目にしてやっと獲れたチャンピオンです。ここまで本当に長かったし、この鈴鹿に来るまでの2週間、本当に生きた心地もしなくてつらかったのですが、それだけに本当に取れて良かったです。ライバルがいたからこその緊張感だったと思います」
「最後までチャンピオンシップを争った野尻選手、牧野選手、その他のライバル勢、スーパーフォーミュラを戦っているドライバーはみんな一流のドライバーなので、その中でしのぎを削って、最後の最後でこの場に立つことができて本当に良かったです」
「今年はチームを移籍することになって、送り出してくれたセルモも、迎え入れてくれたトムスに対しても、何が何でもチャンピオンを取らなきゃいけないという本当に強い気持ちを持って戦ってきました。開幕戦ノーポイントからのスタートでしたが、最終的にここに立つことができました」
「たくさんの方の応援のおかげですし、このスーパーフォーミュラが今年、本当にどんどん盛り上がっているのを肌で感じながらレースを戦ってきました。本当に嬉しいしか言葉にならないですが、支えてくれた皆さんのおかげでチャンピオンをとることができました。1年間応援ありがとうございました」
●TOYOTA GAZOO Racing オーナー 豊田章男
「坪井、チャンピオンおめでとう!」
「移籍してチャンピオンカーに乗るプレッシャーを乗り越えて、富士で3勝を挙げ、夫婦同時優勝も果たし、スーパーフォーミュラのチャンピオンを獲って……『最高のシーズンだったね!おめでとう!』と言ってあげたいけど、まだ、もうひとつ仕事が残ってる!」
「もう一回、鈴鹿で最高の笑顔を頼みます。その時に、また改めてメッセージを贈りたいと思います」
「トムスの皆さんもおめでとうございます。ですが、坪井のために、もう一回よろしくお願いします。ヤマケンも頼むね。タイトル目指してがんばれ!」