「いや、泣いてないっすよ。本当に。泣いてない、泣いてない」
10月10日、スーパーフォーミュラ第9戦鈴鹿。午前中の予選Q1・Aグループで山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING)がトップタイムを記録してセッションを終えると、直後に公式映像に映し出されたのはサインガードに座り、無線で交信する伊沢拓也監督の姿だった。その目は少し潤んでいるようにも見え、テレビカメラを遮るかのように左手で表情を隠したが、レース後に話を向けると、即座に涙を否定した。
「ただもう、『らしいな』と。そういう、何かがかかっているときに強さを発揮するドライバーなんですよ。無線でも『山本らしいな』と言いました」