Jujuを擁して新規チームとして参戦するHAZAMA ANDO Triple Tree Racingでは、急ピッチで勧められたチームの体制づくりに話題が集中。かつてJujuの父・野田英樹監督がフォーミュラ・ニッポン時代に組んでいた笠井昭則エンジニアの就任も、大きなトピックとなった。
父と組んでいたエンジニアとの仕事について問われたJujuは「(笠井氏と)コミュニケーションを取っていて、データを見たりしているなかで、『なんか、お父さんと似てるなぁ』と言われたりして、『そうだったんだなぁ』という感覚もあります」と返答。
「父の現役時代は、話では聞くのですが、現役の時に担当していたエンジニアさんと話したりするというのは笠井さん以外にはないので、新鮮で勉強になります。そこはまた違った意味での楽しさもありつつ、スーパーフォーミュラで上を目指すなかではベテランのエンジニアの方と一緒にやれることもすごく楽しみです。いろいろ勉強させていただきたいと思っています」
と、ここまでJujuが答えたところで進行は次の質問に移ろうとしたのだが、笠井エンジニアがマイクを手に取り、「『親父と一緒』っていうのは、別に褒めてるわけじゃないかもよ?」とボソッと発し、会場は爆笑。これには野田監督も「それなに? 喧嘩っ早いってこと?」と応戦し、笑いを取っていた。

■阪口さん、メール見てますか?
SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGINGはドライバーふたりのラインアップは変更なしだが、大湯都史樹車のエンジニアには、昨季パフォーマンスエンジニアを務めていた岡島慎太郎氏が就任。阪口晴南車のエンジニアは引き続き渡邊信太郎氏が務めることから、『Wしんたろう』体制が整った。
阪口は昨年の開幕戦でポールポジションを獲得するなど速さを見せたが、決勝ではトラブルに見舞われることも多く、なかなか結果につながらないもどかしいシーズンとなった。今季こそは優勝を目指すことになるが、ここで渡邊エンジニアが密かな野望を口にした。
「いまふと思ったんですが……晴南さんの叔父さんにあたる阪口良平さんのGT初優勝のときは僕がエンジニアだったので、晴南さんでも初優勝して、阪口家から表彰されたい、というのが今年の目標です」
なお、このSANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGINGの取材セッションで一番の盛り上がり(?)を見せたのは、鈴鹿サーキット東コースの路面改修に話題が及んだときのこと。
「それ、さっき知ったんですけど。富士の1(TGR)コーナーの改修の件はメール来てたんですが、鈴鹿は来てなくて……」と口にする阪口に、「いやいやそんなことない、絶対メール行ってる」と口々に反論するチームメンバーたち。「俺だけcc付け忘れとかじゃないですか?」と食い下がった阪口だったが、チームからの「送っています」との冷徹なダメ押しに「失礼しました」と最後は平謝りだった。

■変革へ向け、一年目
2台ともにドライバー、そしてエンジニアが変更されただけでなく、マシンカラーリングも一新して「変革の年」(星野一樹監督)を迎えるITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL。
一樹監督は「生まれ変わって、常勝インパルをまた目指していく最初の年。必ず優勝して、トップ戦線に返り咲きたいと思っています」と決意を語った。
大きな体制変更となったことについては、「ドライバー、エンジニアにスポットライトが当たりがちですけど、すべてを本当に良くして行っている。人間だけではなく、(仕事の)やり方の部分も含めて本当にゼロから見直そう、と」と、かつてない大改革であることを強調した。
「ウチには御大(星野一義総監督)がいて、後ろから“蹴り”がいつも飛んできますので(苦笑)……これは記事にできないかもしれないですけど(※編註:すみません、記事にしました)、蹴りの回数が減るように頑張っていきたいと思います(笑)」
なお、20号車のドライバーとして加入する高星明誠は、JRPの開発ドライバーとして、今季スペックが改められるヨコハマのタイヤ開発にも携わってきた。今季参戦する現役ドライバーでは、その特性を知るのはただひとりとあって、記者からはその優位性を問う質問が飛んだが、高星は「あんまりないと思います」と即答。これには期待を外された一樹監督も「おい!」と“全開魂”のこもったツッコミを入れ、会場には笑いが漏れていた。
