Tomohiro Yoshita

 今回変更になっているのはタイヤだけではない。開幕ラウンドの第1・2戦と最終ラウンドの第11・12戦の舞台となる鈴鹿サーキットの東コース路面が、シーズンオフ中に新しく張り替えられた。1日目のメディアミックスゾーンでは、この新舗装に関する話題で持ちきりとなっていた。

 全体的にまとめると、バンピーなところが何箇所かあるようで「ピーキーだ」と表現するドライバーも少なくなかった。新舗装での違いを把握している途中でコースオフを喫したドライバーもおり、そのひとりがセッション1終盤にNIPPOコーナーで飛び出した坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)だ。

「新しい舗装のバンプでスピンしてしまいました。みんなも僕がスピンしたことで『あそこはヤバい』と認識を持ったと思います」と坪井。振り返ると彼がスーパーフォーミュラの単独走行でコースオフを喫する場面というのは珍しいこともあり、午後のセッション2では「けっこうビビっていました」と走りに守りが入っていた模様。

 また、バンプの影響で車体下面についているスキッドブロックにハッキリと分かるような痕がついていたとのこと。「スーパーフォーミュラのダウンフォースであれだけバンプすると、結構恐ろしいです。コースオフしたところもそうですし、S字のひとつ目もそうです。どのカテゴリーもそうですけど、スピードが速ければ速いほど危ないので、そこは検証してほしいなと思います」と語っていた。

坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)
2025スーパーフォーミュラ鈴鹿公式テスト 坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)

 その他にも聞こえてきたのが、1〜2コーナー。セッション1でスピンを喫した大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)も「鈴鹿のコース改修で(1コーナーが)ちょっとバンピーになっているのに加えて、タイヤが変わっているというところで、今までと比べて『ここはグリップしていたはず』という感覚と違っていました。その時のセットアップも相まって、リヤが流れやすくなっていたという感じでした」と状況を振り返っていた。

大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)
2025スーパーフォーミュラ鈴鹿公式テスト 2コーナーでスピンを喫した大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)

 同じように1〜2コーナーで苦戦していたというのが太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)だ。「路面は新しい方がグリップしますし、実際にグリップの向上は感じられました。そこは嬉しいです」と語るものの、各所の変化を感じ取っていた。

「風の影響なのか路面が変わったことによるものなのか、僕も原因をつかめていないですが……とにかく1〜2コーナーがめちゃくちゃ難しい。僕の感覚ではベストの状態からコンマ3秒以上(1〜2コーナーで)ロスっていたイメージです」

「風の影響もあると思いますが、(鈴鹿テストでは)いつも風は強かったので、そうすると路面の影響があるのかなと。あとはターン7(NIPPOコーナー)でアクセルを踏んでいかなければところがトリッキーになっています」

 太田は事前に新舗装に関する情報を得ていたとのこと。「一昨日にスポーツ走行で走った人から(NIPPOコーナーの状況を)聞いていましたが『FJとかの車両でそうなるということは、僕たちのクルマだったら、どうなるんだ?』と思って走ったら……『確かにな』となりました」

 その他にも「あとはデグナーふたつ目立ち上がりの縁石も変わりましたけど、テストは基本的にマージンをとって走っているので、緑色のところは1回も踏んでいないですね」と、鈴鹿サーキットの改修された部分に対して理解を深めている最中という様子だった。

太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
2025スーパーフォーミュラ鈴鹿公式テスト 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

 また、風の影響については小林可夢偉(Kids com Team KCMG)も言及しており「多分1〜2コーナーに関しては風だと思います。すごいテールウインド(追い風)でしたからね」とのことだが、「ターン7はヤバいです」とも話していた。

 1日目が寒波の影響で低温かつ風が強いコンディション。さらに全車が新しい仕様のタイヤを初めて履いて、コースの路面改修と、“今までとは違う要素が多くすぎた”という、ある意味で特殊な状況だったのかもしれない。

 加えて、2日目が雪でキャンセルとなり、各陣営ともに充分なデータがそろっておらず、現時点で「タイヤや路面を理解できた」と言うには程遠い状況にある。今季はレースフォーマットも変更され、一部レースではピットウインドウの制約も撤廃されるが、戦略面への影響について各陣営からは「すべては新しいタイヤのロングラン性能次第」という声が事前から聞かれていた。そこがテストで充分に検証できないなかで迎える3月の開幕戦は、過去数年以上に予想のつかない展開や勢力図が待ち構えていそうだ。

2025スーパーフォーミュラ鈴鹿公式テスト 
2月19日朝の鈴鹿サーキットの様子。この後、2セッションのキャンセルが決まった

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