ROOKIE Racing プレスリリース

全日本スーパーフォーミュラ選手権
2025年第1戦/第2戦 鈴鹿サーキット
3月7日(金)〜9日(日)

フリー走行

3月7日(金)天候:曇り/路面:ドライ

 速さをみせながらも思うように結果がともなわず、悔しいシーズンとなった2024年から短いオフを経て、全日本スーパーフォーミュラ選手権は2025年の開幕を迎えた。

 ROOKIE Racingは、今季もdocomo businessをはじめとした各社のサポートを得て、チームとともに6年目の挑戦となる大嶋和也を擁し戦う。もちろん狙いは大嶋に気持ち良くレースを戦ってもらい、予選Q2進出、そしてポイント獲得、表彰台を目指すことだ。

 そんなシーズンに向け、チームは2月に鈴鹿サーキットで行われた公式テストに臨んだが、このテストは1日目こそ走行できたものの気温が低く、2日目は降雪のため走行すらできなかった。今オフ、鈴鹿はコースの路面補修があったほか、タイヤの性質も変更されていた。データが足りない状況で臨んだ開幕戦だった。

 今季は1大会2レース制が多いスーパーフォーミュラだが、開幕大会の鈴鹿も3月7日(金)に2回のフリー走行が行われるスケジュール。まだ肌寒いコンディションのなか、午前11時から専有走行1回目がスタートした。

 大嶋はまずアウトラップから1周を走るが、パワーステアリングにトラブルがあるようで、チームはピットで30分の修復作業を強いられた。公式テスト時から発生していた症状で、他のドライバーが訴える症状とも違う。確認を進めながら1回目はセッションを終えることになったが、走行はわずか8周。貴重な走行時間を失うことになってしまった。

 午後3時30分から行われた専有走行2回目でも、「ガラッといろいろ変えたけれど、直っていない」という状況。序盤に18分間ピットに入り調整を進めた結果、「メチャクチャステアリングは重いけどふらつきは抑えられるようになりました」という状態までは改善された。

 走行時間はもう30分ほどしかない。大嶋はなんとか重いステアリングと格闘しながら1分37秒377というベストタイムを記録したが、トラブルがある状況ながら17番手。フィーリングは悪いわけではなさそうだった。

 とはいえ、翌日にはもう予選がやってくる。ステアリングの修復とセットアップの確認を行い、docomo business ROOKIEは走行初日を終えた。

第1戦 公式予選

3月8日(土) 天候:曇り/路面:ドライ

 迎えた第1戦の予選/決勝日である3月8日(土)は曇り空のもと迎えた。午前9時50分からの公式予選は気温8度/路面温度11度というこの時季らしいコンディションとなった。

 大嶋は予選Q1のB組から出走し、コースイン後、一度ピットに戻ることなくタイヤをウォームアップさせ、5周目にアタックを展開していく。ただ、1分38秒706というベストタイムで9番手に留まってしまった。コンディションの影響もあるとはいえ、前日の専有走行でのベストタイムにも届いていない。

 この日の鈴鹿は曇天で、風も強い状況だった。「風の影響もあったと思いますし、前日からセットアップを変更したので、それが思った以上に影響があったかもしれません。ぜんぜんグリップ感が変わってしまっていた」と大嶋は予選を振り返った。

 結果的に大嶋は第1戦を17番手から戦うことになった。後方からのスタートはやや苦しいが、前日から悩まされてきたステアリングの問題は「違和感が少しあるくらいまでには戻すことができました」と解決に向かっていた。チームは午後の決勝までの短いインターバルで作業を進めた。

第1戦 決勝レース

3月8日(土) 天候:曇り/路面:ドライ

 今シーズンの開幕戦ということもあり、1万4500人の観衆が訪れ賑やかな雰囲気のなか迎えた午後2時45分からの決勝レース。午前中同様曇り空で、気温13度/路面温度21度というコンディションのなかフォーメーションラップがスタートした。

 大嶋は17番手から「悪いものではなかった」というスタートを切り、1周目をポジションどおりで進めるが、デグナーカーブで#12 三宅淳詞がクラッシュ。レースは1周目からセーフティカーランとなってしまう。混戦のなかで大嶋はポジションを上げ14番手につけていく。

 しばらく続いたセーフティカーランは5周目に解除されるが、混乱はまだ続く。今度は10番手を争っていた#39 大湯都史樹と#28 小高一斗がS字で接触。2台がストップしたことで、レースは二度目のセーフティカーランとなる。これがピットウインドウがオープンする10周に重なり、コース上にいた全車が一斉にピットインする異例のレース展開となった。

 大嶋も他車に続きピット作業を行うことになるのだが、このレースの大きなターニングポイントとなった。2台体制で参戦するチームは、後にピットインした車両が“待ち”になってしまいタイムロスを喫してしまう。しかしdocomo business ROOKIEは大嶋のみに集中できる。チームは迅速な作業でタイヤ交換を行い、大嶋を送り出した。

 ただ、ファーストピットレーンには序盤からトラブルを抱えていた隣のピットの#50 小出峻が差しかかっていた。ピットアウトする大嶋と進路が重なり、2台は一時停止することになってしまう。

 それでも大嶋は1台体制の利を活かし大幅にジャンプアップ。13周目のリスタート後にはAstemoシケインでのアクシデントで再度セーフティカーが入る荒れたレース展開のなか、9番手につけレース後半を戦っていった。

「特にフロントのグリップが薄くて、力強い走りはすることができなかった」という大嶋はさらなるジャンプアップこそすることができなかったが、このまま戦っていけば、喉から手が出るほど欲しかったポイントが手に入る。大嶋は粘りのレースを進めていった。

 しかし、そんな大嶋に対し、レース後結果に10秒を加算するペナルティが下る。ピットアウト時の安全確認違反というもので、ポイント圏内を走っていた大嶋にとっては辛い裁定となってしまった。

 大嶋は9位でゴールしたが、10秒加算で結果は13位。悔しい開幕戦となったが、「専有走行でまったくまともに走ることができなかった状況から、普通にレースを戦うところまで来られましたから。前向きに捉えていくしかないと思っています」とレース後、大嶋は力強く顔を上げた。

 パワーステアリングのトラブル、レース時のペナルティ。このままドタバタしたレースを続けては、噛みあわなかった昨年の二の舞だ。docomo business ROOKIEは翌日の第2戦での逆襲を目指した。

第2戦 公式予選

3月9日(日) 天候:晴れ/路面:ドライ

 第1戦から一夜明けた鈴鹿サーキットは晴天に恵まれたが、やや風が強い状況。気温11度/路面温度18度というコンディションのもと、第1戦よりもやや時間が遅い午前10時15分から第2戦の公式予選が行われた。

 大嶋はこの日も公式予選Q1のB組から出走した。前日までにステアリングのトラブルも解消。走行初日の専有走行でのフィーリングを活かし、セットアップを元に戻す方向に修正したところ、大嶋が望む手ごたえが得られた。4周目、1分37秒260を記録し、4番手に。2025年初のQ1突破を果たしてみせた。さらに、インターバルの後迎えたQ2でも大嶋の好感触は続く。1分36秒694というベストタイムで10番手というグリッドを獲得した。

「優勝したようなものです(笑)。公式テストからずっとステアリングがおかしい状態で走っていたので、ようやくちゃんと走れたことも嬉しいです。少し気が楽になりましたね!」と大嶋も笑顔をみせた。

 10番手と言えど、1台体制でのこの順位は大嶋が言うように殊勲のグリッドと言える。この好位置を活かすべく、チームは念入りに午後の決勝へ準備を進めた。

第2戦 決勝レース

3月9日(日) 天候:晴れ/路面:ドライ

 この第1大会の最後の走行となる第2戦は、午後2時40分に決勝レースの火ぶたが切って落とされた。気温15度という状況だが風があり、路面温度は38度という数字となっていた。

 そんな第2戦だが、第1戦とは異なる部分があった。今シーズンから導入された規定により、レース距離が若干異なり、1周目からタイヤ交換を行うことができる。トラフィックを避ければそれだけゲインがあるが、終盤はタイヤが厳しくなる。レース中盤にピットインする作戦もあり、今回は初めてのレースで、各チーム戦略が分かれることになった。

 スタート直後、大嶋は11番手につけると即座にピットインする戦略を採った。他にも5台が1周目に、さらに2周目にもピットインを行うライバルがおり、順位はガラリと変化していくことになった。

 今回も迅速な作業でチームは大嶋を送り出していき、スタート直後にピットインした陣営のなかでは4番手につける。あとはライバルたちがどの位置でピットアウトしてくるかだ。

 大嶋のペースは悪くなく、12周目にピットアウトしてきた#39 大湯都史樹と#7 小林可夢偉の集団に食い込み、2台を追いながらレースを展開。後方からはスーパーGTのチームメイトである#8 福住仁嶺が続くオーダーとなった。

 そんななか、16周目に上位争いのなかでアクシデントが。#15 岩佐歩夢と#6 太田格之進がバトルを展開し、#6 太田がコースオフ。そのまま前に出るかたちとなった。これが結果的に走路外走行と判定され、#6 太田はトップ争いの末2番手につけていたものの、競技結果に5秒が加算されることになった。

 第1戦と異なりアクシデントが少なく、セーフティカーランが一度もないまま迎えたレース終盤、全車がピット作業を終え順位が整理されると、大嶋の順位は11番手。ポイント獲得まであとひとつという順位につけた。

 そんななか、28周目に2コーナーでアクシデントが起きた。レースはセーフティカーランとなったが、31周のフィニッシュまで解除されそうもない。#6 太田は3番手以下に対し5秒差を稼ぎ出したかったが、5秒がセーフティカーランで失われることになった。そしてその5秒が、粘りの走りを続けていた大嶋にとって幸運となった。

 ゴール間際、セーフティカーが退去し全車がフィニッシュラインに殺到したが、大嶋はそのなかで11位でフィニッシュ。#6 太田のペナルティで、大嶋の順位は10位に繰り上がった。待望のポイントゲットだ。

 チームにとっても嬉しい1ポイントは、予想外のラッキーで転がり落ちてくることになった。しかし、そのラッキーをつかむ位置にいなければ得点はやってこない。

 docomo business ROOKIEは、開幕大会にして目標としていたQ2進出、そしてポイント獲得をクリアした。もちろん、さらに目指すはその先。チームがさらなる高みを狙うためにも幸先良いレースとなった。

ドライバー/監督コメント

ドライバー 大嶋和也

「第2戦はラッキーもありましたが、ポイント獲得することができて良かったです。今回はスタート直後にピットインしなかった組のペースが思ったよりも良かったので、戦略としてはスタート直後に入らない方が得だったかもしれませんが、厳しい展開のなかでしっかりと戦うことができたので、良いレースだったかなと思っています」

「今週は最初のパワーステアリングの問題から始まりセットアップを進めることができませんでしたが、持ち込みセットを外していなかったですし、良い戦いができました。次戦に向けた良いヒントが見えてきましたし、すごく期待がもてるクルマになっていると思います。次回のもてぎの方がコースの特性は合っていると思うので、良いクルマを作っていきたいですね」

監督 石浦宏明

「第2戦では予選から良い戦いができました。Q1ではTGR勢のトップでしたし、Q2でも良い位置で戦えたことは大きかったです。今まで鈴鹿はあまり成績が残せていませんでしたが、こういう戦いができたので、今シーズンに向けてすごくポジティブですね。スタートも第1戦、第2戦とも良かったです」

「第2戦の戦略はあまり正解だったとは言えませんが、その中でも、大嶋選手がしっかり戦って順位を守ってくれたので、それが1ポイントに繋がったと思っています。ドライバーの頑張りに助けられましたし、最後は他チームにも話をしにいったりしたので、総力戦で掴んだポイントでした。第1戦でもペナルティがあったとはいえ、ポイント圏内でゴールしているので、良い第1大会になったと思います」

大嶋和也(docomo business ROOKIE)
大嶋和也(docomo business ROOKIE)/2025スーパーフォーミュラ第1戦&第2戦鈴鹿

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