牧野&太田がワン・ツー。オオムラ・フラガが3戦目で初表彰台

 栃木県のモビリティリゾートもてぎで開催された、全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)第3戦決勝で、牧野任祐がポール・トゥ・ウインを遂げました。2位に太田格之進が続き、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGが2012年以来となるワン・ツー・フィニッシュを飾りました。3位にはSFルーキーのイゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)が入り、参戦3レース目にして初表彰台を獲得しました。

 4月18日(金)~20日(日)、モビリティリゾートもてぎで2025年度全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズ第2大会(第3戦及び第4戦)が開催されました。今大会のホンダ/M-TECユーザーの顔ぶれは開幕大会と変わりなく、#5 牧野、 #6 太田、#10 Juju(HAZAMA ANDO Triple Tree Racing)、#12 三宅淳詞(ThreeBond Racing)、#15 岩佐歩夢(TEAM MUGEN)、#16 野尻智紀(TEAM MUGEN)、#50 小出峻(San-Ei Gen with B-Max)、#64 佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)、#65 イゴール・オオムラ・フラガの、6チーム計9人が出走しました。

■第3戦予選

 今大会は、金曜日に2回のフリープラクティス、土曜日に第3戦の公式予選及び決勝、日曜日に第4戦の公式予選及び決勝が実施される、1大会2レース制となります。昨年まで、もてぎ大会は真夏の8月に開催されていましたが、今シーズンは4月の開催。各チームともに、蓄積したデータの見直し作業を進めながらの走り出しとなりました。

 18日(土)9時20分、快晴の空の下で気温23度、路面温度30度と予想以上の暑さのなか、第3戦の公式予選が行われました。Q1 A組では#5 牧野が、B組では#65 オオムラ・フラガがトップタイムをマークし、#6 太田、#15 岩佐、#16 野尻、#64 佐藤とともに6台がQ2に進出しました。

 7分間のQ2タイムアタック合戦が始まり、#5 牧野が1分31秒172を記録しポールポジションを獲得。そこに第1戦ウイナーの#6 太田、#65 オオムラ・フラガが並び、ホンダ/M-TECユーザーがワン・ツー・スリー・グリッドを固めました。6番手には総合ランキングトップに立つ#15 岩佐、8番手には#16 野尻、9番手には#64 佐藤が続きました。

■第3戦決勝

 決勝レースを前に気温と路面温度は上がり、それぞれ30度、41度に達しました。春開催に変わり、低温コンディションも想定されていましたが、真夏のような気候となりました。

 14時50分、決勝レースがスタート。2列目の外側から#65 オオムラ・フラガが抜群の加速でフロントローの#6 太田をかわし、そのままスピードに乗って#5 牧野のアウト側に並びかけました。しかし#5 牧野は巧みなライン取りでこれを抑え、トップを守りきります。その後方では、9番手スタートの#64 佐藤が第1コーナー進入時に、後続車から右リアタイヤに接触されたかたちとなりコースオフ。ここでレースを終えました。

2025スーパーフォーミュラ第3戦もてぎ
2025スーパーフォーミュラ第3戦もてぎのスタートシーン

 このアクシデントにより、オープニングラップからセーフティカー(SC)が導入されました。この時点での順位は#5 牧野、# 65 オオムラ・フラガ、#6 太田、そして順位を上げた#15 岩佐と、ホンダ/M-TECユーザーはワン・ツー・スリー・フォー態勢を築いていました。

 4周目にレースが再開されると、#5 牧野はじりじりと#65 オオムラ・フラガとの間隔を広げ始めました。一方3番手の#6 太田は、#65 オオムラ・フラガと同等のペースで走っていましたが、空気流の影響を受けて容易に接近することができず、ピットウインドウが開いた10周目でいち早くピットインしてタイヤ交換を行い、アンダーカット作戦を採りました。#16 野尻も同じタイミングでタイヤ交換を行いました。

 トップを走る#5 牧野と#65 オオムラ・フラガはピットインを遅らせて、後半をよりフレッシュなタイヤで走る戦略を予定していました。しかし、タイヤ交換を終えた#6 太田が#5 牧野を上回るペースで周回を始めたのを見て、まず#65 オオムラ・フラガが17周を終えてピットイン。タイヤ交換を行いますが、#6 太田がアンダーカットに成功し、#65 オオムラ・フラガの前に出ました。

 トップを走る#5 牧野も18周目にピットに入りタイヤ交換を行いますが、ここでも#6 太田のアンダーカット作戦が効力を発揮します。#5 牧野はコースに復帰した直後の第1コーナーで#6 太田に並びかけられ、充分に温まっていないタイヤでは抵抗が難しく、#6 太田がトップに立ちます。

 しかし、ニュータイヤを装着した#5 牧野はペースを上げて#6 太田に迫り、接触スレスレのテール・トゥ・ノーズに持ち込むと、22周目の第1コーナーから第2コーナーで#6 太田をかわし、トップの座を奪還しました。また、#65 オオムラ・フラガも、前をいく#6 太田との間隔を縮めますが、2セット目のタイヤで思うようにラップタイムが伸ばせず、#6 太田にオーバーテイクをしかけるどころか、後方の#15 岩佐に迫られます。

 周回数25周を過ぎて終盤に差しかかると、2~4番手の#6 太田、#65 オオムラ・フラガ、#15 岩佐が約1秒の間隔で集団となり、トップの#5 牧野を追いかける展開となりました。ところが28周目、#15 岩佐のマシンにトラブルが発生。#15 岩佐はV字コーナー手前のコースサイドにマシンを止め、レースを終えました。

 #5 牧野は、後続#6 太田とのギャップを最終的に約2.6秒に広げてチェッカーフラッグを受け、第2戦に続く連勝を飾りました。2位には#6 太田が入り、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGにとって13年ぶりとなる1-2フィニッシュを成し遂げました。3位にはSFデビュー3戦目の#65 オオムラ・フラガが入り、初めての表彰台に立ちました。#16 野尻も9位でフィニッシュし、選手権ポイントを重ねました。

 シリーズランキングでは、2勝目を挙げた#5 牧野が、リタイアに終わった#15 岩佐を上回りトップに浮上。2番手に#6 太田、4番手に#15 岩佐、5番手に#16 野尻、6番手に#65 オオムラ・フラガ、7番手に#64 佐藤が続いています。

太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)/2025スーパーフォーミュラ第3戦&第4戦もてぎ

●牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

「トップで1周目を終えた時点では、タイヤ交換を引っ張る作戦を考えてタイヤマネジメントに気をつけて走っていましたが、イゴール(オオムラ・フラガ)選手のピットインが想定よりも早かったので、自分もピットインせざるを得ませんでした。ミニマム(10周)でタイヤを替えた選手に対するアドバンテージが減ってしまうので、「『まずいな』と焦りました。本当は、あと5、6周引っ張れたらよかったですね。それでも勝ててよかったです。まだ3戦しか終了していませんが、いいかたちでシーズンを進められていると思います」

ホンダ勢が2戦連続で表彰台独占! 太田の完璧なレース運びで、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGが開幕4連勝

 4月19日(土)の第3戦に続き開催された全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)第4戦は、2番手スタートの#6 太田格之進が優勝、2位には#5 牧野任祐と、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGが2戦連続ワン・ツー・フィニッシュ、さらに#15 岩佐歩夢(TEAM MUGEN)が3位入賞し、ホンダ/M-TECユーザーが2戦連続でワン・ツー・スリー・フィニッシュを成し遂げました。

■第4戦予選

 4月20日(日)のモビリティリゾートもてぎは朝から曇天となり、夏日となった前日から変わり気温20度、路面温度24度の春らしい陽気となりました。9時10分に始まったQ1 A組では、#6 太田がトップタイムを記録。#65 イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)が2番手、#16 野尻智紀(TEAM MUGEN)が4番手、#50 小出峻(San-Ei Gen with B-Max)が5番手でQ2セッション進出を決めました。Q1 B組では、#5 牧野と#15 岩佐が上位2タイムを叩き出し、Q2セッションに臨むことになりました。

 上位12台のスターティンググリッドを決めるQ2セッションは、9時45分から7分間で競われ、#6 太田が2番手、#5 牧野が3番手、#65 オオムラ・フラガが6番手、#16 野尻が7番手、#15 岩佐が9番手、#50 小出が12番手から決勝を迎えます。

■第4戦決勝

 20日(日)、14時55分、気温26度、路面温度32度というコンディションの下、第4戦決勝レース(37周/75分)がスタートしました。この第4戦は、前日の第3戦より4周多い周回数(第3戦は33周)、かつ第2戦(鈴鹿)と同様に、ピットインのタイミング(ピットウインドウ)に制限がなく、戦略の幅が広がるレースフォーマットで実施されます。

 スタート直後、第1コーナーに進入した後方集団でアクシデントが発生。第3戦に続き、オープニングラップでセーフティカー(SC)が導入され、これにより、すぐさまピットインを選択しタイヤ交換を行う車両と、ステイアウトする車両に分かれます。

 2番手からスタートした#6 太田は、ポールポジションからスタートした#3 山下健太(トヨタ)に続いてピットに向かいます。大半のマシンがピットインし混乱するピットレーンの中、迅速なピット作業により#6 太田は#3 山下の前に出ることに成功。一方で3番手を走っていた#5 牧野は、前を走るチームメートがピットインを選択したこともあり、戦略を分けることになりました。9番手スタートの#15 岩佐とともにステイアウトを選択し、トップグループとして周回を重ねます。

 レースは6周目に再開となります。コース上のトップには#5 牧野が立ち、2番手には#15 岩佐が続きます。#5 牧野は23周までピットインのタイミングを延ばしますが、ターゲットとする#6 太田とのギャップは約16秒。#5 牧野は#6 太田の5番手後方から追い上げを図り、27周目には#6 太田の真後ろにつけます。

太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
ピットインしていないドライバーをパスしていく太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)/2025スーパーフォーミュラ第3戦&第4戦もてぎ

 もうひとり、ステイアウトを選択した#15 岩佐は、周回を重ねても1分36秒台のラップタイムを安定して刻み続け、28周にピットに入りました。#15 岩佐は#6 太田の後ろでコースに復帰したものの、23周目にピットインしタイヤが温まっている#5 牧野に先行を許し、3番手からポジションアップを狙います。

 フレッシュタイヤの#5 牧野に対し、1周目にタイヤ交換を行っている#6 太田はタイヤの消耗が進んでいるはずです。しかし#6 太田は、ラップタイムを落とすことなくトップを走り続けます。思うようにはギャップを縮められない#5 牧野は逆に、5周分タイヤが新しい#15 岩佐に迫られる状況に。ファイナルラップまで激しい2番手争いが繰り広げられましたが、トップ3台の順位は入れ替わることなく37周を終え、チェッカーフラッグが振られました。

 #6 太田は今季2勝目を挙げ、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGは今シーズン開幕からチームとして4連勝を記録しました。#65 オオムラ・フラガが9位、#16 野尻が10位に入賞し、選手権ポイントを獲得しています。

太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
ワン・ツー・フィニッシュを飾ったDOCOMO TEAM DANDELION RACINGの(左から)牧野任祐、村岡潔チームプリンシパル、優勝の太田格之進

●太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

「前日第3戦のチーム・ワン・ツーという結果はうれしかったのですが、いちドライバーとして勝てなかった悔しさもありました。それを今日、リベンジではないですが優勝できてうれしいです。1周目にピットインしてレースが再スタートしてからは、タイヤのマネジメントを心がけました。最後に追いつかれた時のことを考えながらも、高い次元でのラップタイムを、タイヤをセーブしながら実現できました。正直、ドライビングとしてのエラーは1回もなかったかなと思うので、完璧な仕事ができたと思います。ファイナルラップに(自己)ベストラップを出せましたしね。しかしなによりも、チームが作ってくれたマシンが最高でした!」

本日のレースクイーン

葉月美優はづきみう
2025年 / スーパーGT
NGK SPARK PLUGS Ambassador
  • auto sport ch by autosport web

    RA272とMP4/5の生音はマニア垂涎。ホンダF1オートサロン特別イベントの舞台裏に完全密着

    RA272とMP4/5の生音はマニア垂涎。ホンダF1オートサロン特別イベントの舞台裏に完全密着

  • auto sport

    auto sport 2025年6月号 No.1608

    [特集]レッドブル 角田裕毅
    5つの進化論

  • asweb shop

    STANLEY TEAM KUNIMITSUグッズに御朱印帳が登場!
    細かい繊細な織りで表現された豪華な仕上げ

    3,000円