最終的に、どのレースがポイントになったか。

「第4戦のもてぎだと思います。去年もそうでしたがタイヤの2スペック制が導入されて、今シーズンのレースは見ているファンの方にも見応えがあるレースだったでしょうし、僕らにとっても難しくもあり、戦略の幅が広かったレースでした。(もてぎのレースでは)一時19番手まで下がったのですが、そこから3位表彰台が目の前という4位でゴールしました。自分たちもそこまで上がっていけると予想してはなかった」

「今シーズン、予選のポールは岡山の1回だけでしたが、決勝レースで強いクルマをエンジニアが作ってくれたので、レースで這い上がって行けた。前回チャンピオンを獲った時は予選で速さを出せたので、今シーズンは悩んでいましたが、もてぎだけでなく他のレースでも決勝で順位を上げることができた。2015年はオーバーテイクをした記憶があまりないのですが、今シーズンはオーバーテイクをたくさんできたので、自分のなかでも課題としていたところにチャレンジできた1年でした」

 今回で2度目のタイトル獲得。来年以降、3回目、4回目のタイトル獲得は視野に入っているか。

「(今日のグランドスタンド裏での)トークショーで同い年のアンドレ(ロッテラー)が『おじいちゃんになるまでスーパーフォーミュラに乗る』と言っていたので(笑)。僕も速いクルマに乗っているのはすごく楽しいし、特にSF14になってから乗っていて楽しくて攻めがいがある。このクルマになったタイミング(2014年)に僕がスーパーフォーミュラに復帰して、チームと速いクルマを一緒に仕上げて、良いシーズンを送れるようになった。今日、次期車両のSF19の概要が発表されましたが、タイトルを2回でやめるつもりはないので、3度目のタイトルを狙って、今のようにしっかり戦えるように僕もチームに貢献していきたいなという気持ちでいます」

 突然のタイトル決定に驚きながらも、クールにメディアの質問に答える石浦。2度目のタイトル、さすがベテランということもあるもあるが、会見で一瞬、タイトル争いの感情を表に出した瞬間があった。先に会見場に入り席に座った石浦に、あとから登壇したガスリーが石浦に手を差し伸べ、石浦のタイトルを祝福した瞬間、石浦の目頭から一瞬、涙がこぼれそうになったように見えた。

 驚異のルーキーであり、現役F1ドライバーでもあるガスリーと実質、一騎打ちの状態でこの鈴鹿を迎えた石浦。その背景で抱えていたプレッシャーと、ベテランでありタイトル経験者、日本育ちのドライバーとしての意地、そしてガスリーとの戦いに勝った喜び・・・さまざまな感情が、同じドライバーでもあるライバルからの祝福で解き放たれた瞬間だったように感じた。

0.5ポイント差という僅差で迎えた最終決戦。石浦とガスリー、ドライバー同士にしか理解できない重圧があったに違いない。

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