■「やるからには表彰台に上って、優勝を目指す」
「全日本F3のチャンピオンを獲得して以降、トップフォーミュラに出る縁が今までずっとなかったので、同世代のドライバーが活躍する一方で、自分はずっとGT500で頑張る方に集中してきました」というのは、ほんの1時間ほど前にスーパーフォーミュラ参戦決定を告げられた千代だ。
「B-MAX Racing TeamとはF3の頃から関係があって、気にかけてくださっていた。今までの自分の予定では『スーパーフォーミュラに乗る』というのは想像できる状況ではなかったですが、こうしてチャンスをいただいたのは、B-MAX Racing Teamの組田代表をはじめ、本山監督の後押しもあってのことだと思うので、この機会をくださった皆さんに感謝したいです」
千代によれば、テスト参加の話が決まったのは3週間前。「戸惑いもあった」というが、時間の許す限りトレーニングを積み、スーパーフォーミュラのドライブに向けて準備を進めてきたという。迎えた午後の走行では、1分39秒392で18番手となったものの、SFの速さには慣れた様子だ。
「自分が今まで乗ったレーシングカーのなかで、間違いなく最速のものでした。体験したことのないGを経験したし、すごく驚きました。スピードも速く、目が慣れないところもありましたが、2時間のテストで慣れることができました」
「僕は今までGTカーに乗る機会が多く、GTのトップを目指していたので、フォーミュラはあきらめていたところもあります。ただスピードを追い求める、ドライビングを極めるという意味で、日本のトップカテゴリーであるスーパーフォーミュラで、ライバルたちがたくさん戦っているのを意識しないのは無理な話でした。興味はずっとありました」
「機会がなかったトップフォーミュラで走った結果、F3時代から苦楽をともにしたチームにまたこうして選んでもらって、本当に嬉しいです。でも出るだけでは意味がないですし、やらせてもらうからにはうしろを走るつもりもない。このチームで表彰台に上って、優勝を目指さなければいけない。すごく大きな責任を感じています」
カートからFCJにステップアップした後、F3を長年戦い、ヨーロッパやGT300での修行を経てGT500に登り詰めた千代は、ドライバーとして個の力が問われる世界でさらなる高みを目指し、国内トップフォーミュラに挑む。

