■土日にそれぞれシリーズを開催
また、興味深いのはレースフォーマット。金曜にプラクティスが行われた後、土曜に『TCRサタデーシリーズ』、日曜に『TCRサンデーシリーズ』として、それぞれ20分間の公式予選、23分+1周の決勝レースが両日行われるスタイルがとられた。それぞれ総合のトップ3、ジェントルマンクラスのトップ3が賞典を得る。
このコンセプトは非常にユニークなもので、例えばジェントルマンドライバーで「土曜は仕事だけど日曜はレースができる」という場合、TCRサンデーシリーズのみに出走し、土曜は別のドライバーに参戦してもらう……ということを可能にするものだ。例えば金曜にプロにセッティングしてもらい、土日でふたりのドライバーがそれぞれ1日ずつ走るということも可能になる。ジェントルマンドライバーのニーズに合わせたスタイルだろう。もちろん両日ひとりで戦うことも可能だ。
チャンピオンについては、車両ゼッケンごとにポイントがかけられ、エントラントチャンピオンの1〜3位、サタデー、サンデーのシリーズチャンピオン、チャンピオンチームの車両モデルにかけられるモデル・オブ・ザ・イヤーというタイトルがかけられている。
・TCRジャパンシリーズ レースフォーマット(案)
金曜日:オフィシャルプラクティス
土曜日:TCRサタデーシリーズ(予選20分/決勝レース1 23分+1周)
日曜日:TCRサンデーーシリーズ(予選20分/決勝レース1 23分+1周)
■「世界共通ルールの一員として盛り上げを」
エントラントにとっては非常に柔軟に参戦体制を組むことができそうなTCRジャパンシリーズだが、初年度に見込まれるエントリーは「10台程度でしょうか」と倉下社長は述べている。ただ、スーパー耐久車両の転用も可能になる施策も行われそうで、参加台数はもう少し増えるかもしれない。
「そもそもJRPがこのカテゴリーに関心をもってやろうとしているのは、SFとTCRを相乗効果で盛り上げていきたいということです。来年のカレンダーはスーパーフォーミュラの7大会のうち、2&4以外の5大会が併催となります。SFと一緒にやっていく、ということです。また、ヨコハマさんがオフィシャルタイヤサプライヤーになるのは、極めて自然なことです」と倉下社長。
「スーパーフォーミュラが頂点の頂点を極めるドライバーの争いだとするなら、TCRジャパンシリーズではジェントルマンドライバーにレースを楽しんで欲しいと思っています。ヨーロッパでは電気を使うETCRも発表されるなど、TCRは日々進化しています。我々もその波に飛び込んで、世界共通ルールのファミリーの一員として、盛り上げていきたいと思っています」
また、TCRの“生みの親”であり、WSCの代表であるマルチェロ・ロッティは「いまや世界でTCRの選手権は30ほどあり、650台ものマシンが走り、今年は700人ものドライバーが走っている。非常に興味深い数字だ」と語った。
「そしてTCRジャパンをスタートさせる時が来た。スーパー耐久とはすでにコラボレーションしているが、そちらは耐久レースだ。しかしやはり、TCRはバンパー・トゥ・バンパーのスプリントの戦いが相応しく、私もそれを愛している」
「来季から、TCRジャパンがいよいよ始まる。ホンダはタイトルを争うだろうし、アウディも参戦するだろう。そして他の日本のマニュファクチャラーにも、ぜひ参戦してほしいと思っている」
また、TCRジャパンシリーズのタイヤサプライヤーは、スーパーフォーミュラと同様にヨコハマが決定した。すでにWTCRをはじめ多くのTCRシリーズでタイヤ供給の実績があるだけに、ユーザーも安心して使うことができるだろう。
いよいよその具体像が見えはじめたTCRジャパンシリーズ。もちろん、すでにアジア各国でスタートしているTCRのシリーズとの交流も可能で、逆に日本のエントラントが海外に出場することもできるようになる。まずは来季、どんなシリーズが展開されるか楽しみなところだ。

