Ryuji Hirano / autosport web

■山本もハートに火を点けたキャシディの言葉

 以前から、自分をセーブし冷静に戦うことが山本のスタイルだった。今回もそうして鈴鹿にやってきた山本だったが、レース前にランキング首位だったキャシディが発した態度、そして言葉が逆に自身のタイトルに繋がったのでは……と振り返る。

「ニックと金曜の記者会見やブリーフィングでも会ったんですが、『タイトルを意識しているけど、ベストを尽くす』と、どこかニックらしくないところがあったんです。これは逆にチャンスだな、と思いました。あまりそんな気持ちはもたないのですが、『絶対に負けない。彼らの前に出たい』という思いがフツフツと沸いてきました。それは今までの自分にはないマインドですね」と山本はレースウイークに入る前の気持ちを述べた。

「ブリーフィングで、ニックが『チャンピオンを獲ったら、ドーナツターンしていいか』とみんなの前で話すのを聞いたとき、僕の中では『絶対にさせない!』という思いになったんですよね。彼が僕を奮い立たせてくれた部分はちょっとあります(笑)。彼も本当にチャンピオンを獲りたいと思って鈴鹿に来ていましたし、強い気持ちをもっていましたけど、もしかしたら、『自分の方が勝ちたい』という気持ちを持てば勝てるんじゃないかと思わせてくれたんですよね」

■タイトルを獲れたのも、ライバルあってこそ

 こうしてキャシディを背後に従えながらもタイトルを得た山本だったが、ライバルに対する敬意も忘れないのが彼らしい。

「今回勝つことができてチャンピオンを獲ることができ、こうしてコメントさせていただいていますが、結果的にそういう気持ちをもって週末を過ごせたことが、チャンピオンに繋がったんだと思います」

「あと、僕がチャンピオンを獲ったことでニックがチャンピオンを獲れず、近藤(真彦)監督ももちろん悔しい気持ちしかないと思うんです。でもそんなふたりが僕のところに来て、『いいレースだった。おめでとう』と言ってくれました」

「チームスタッフの方も声をかけてくれましたし、本当に素晴らしい選手、監督、それにKONDO RACINGという素晴らしいライバルと戦うことができたと改めて感じましたね」

 記者会見中はアルコールで辛そうな山本だったが、最後は笑顔でライバルへの感謝を述べ今季のチャンピオンを改めて噛みしめている様子だった。

山本はスーパーフォーミュラSF14最後のチャンピオンに輝いた
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チームチャンピオンのKONDO RACING近藤監督と山本尚貴

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