投稿日: 2019.03.05 09:54

そろって『勝つのは簡単ではない』。次世代F1候補、マルケロフとティクトゥム。スーパーフォーミュラと新型車両SF19の印象


スーパーフォーミュラ | そろって『勝つのは簡単ではない』。次世代F1候補、マルケロフとティクトゥム。スーパーフォーミュラと新型車両SF19の印象

続いては英国出身の19歳、F3マカオGPを2連覇したレッドブル育成選手ティクトゥム。彼は昨季もスーパーフォーミュラにTEAM MUGENから2戦出場している。今回の鈴鹿公式テスト初日は計54周消化でベスト1分37秒969、全体15番手。ただ、路面がウエットのままだった1回目のセッションでは4番手タイムをマークしてみせた。

「SF19のドライビングフィールはとてもいい。ハッピーだよ。ダウンフォースが増加していることによるスピードアップも感じている。そして、とにかく軽さを感じることができるマシンだね。まだ慣れきっていないが、これから合わせこんで、もっと速くなっていきたい」

 ティクトゥムは「鈴鹿はやはり世界屈指のベストトラックだと思う」と、多くのトップドライバーと同様の実感を抱いている。ただ、「鈴鹿では日本人ドライバーは走り込んでいる量が特に多いよね」とも話し、その面では「他の日本のコース以上に、彼らに追いつくのは大変だと感じる」とも分析。そして、もちろん「できるだけ早く追いついていきたいと思っている」とも。

昨年の参戦時は山本尚貴が隣のマシンに乗っていたが、今季はホンダ陣営の大シャッフルにより野尻智紀がチームメイトになった。「ふたりともすごく経験があるドライバーで、学ぶべきことは多い。一緒に働けることは喜ばしいし、今回のテストでもトモキとデータを比べたりしている」と、着実に前進する姿勢をみせるティクトゥム。そんな彼だが、今回のモースポフェスを含む鈴鹿テストでは少々意外なかたちの“プレッシャー”を感じているそうだ。

それはF1へのアンテナ感度が高い日本のモータースポーツファンが、レッドブルJr.であるティクトゥムに「勝つだろうとすごく期待してくれているのが分かるんだ。すごいプレッシャーが僕の肩にのしかかってきているよ」。そう語り、ティクトゥムは笑顔をみせる。

「もちろんドライバーは皆、常に勝ちたいと思っている。僕もそうだ。ただ、スーパーフォーミュラで勝つのがとても難しいことだというのも、僕は充分に理解している。まずは一年を通じて進化し続けていくことを心がけたい。そしてシーズンの最後の方には勝てるようになる、勝ち始めることができる、と思っている。僕のチームもエンジニアも素晴らしいのだからね」

「以前の僕は、ちょっと先(将来)のことを考えすぎる面があったかもしれない。もちろん僕がスーパーフォーミュラでいい成績を出し、“ボス”(レッドブル首脳)をハッピーにさせることができれば、今年型のレッドブルF1でテストをしたりする機会があるかもしれない。将来的にレッドブルでF1を走り、チャンピオンになれたらそれは素晴らしいことだ。でも、今はそういうことを考えるのではなく、とにかくスーパーフォーミュラに集中したい」

昨年の参戦時に比べると、短時間にうちに考え方がずいぶん大人になったとも感じられるティクトゥム。もともと才能は折り紙付きといってもいい存在だけに、虚心坦懐ともいえる境地での初フル参戦となれば、先輩ピエール・ガスリーが2年前に“レッドブル無限号”で演じたレベルの活躍も期待していいだろう。

アーテム・マルケロフとダニエル・ティクトゥム。2019年のスーパーフォーミュラで大きな存在感を発揮しそうなふたりである。

2019年スーパーフォーミュラ第1回合同テスト鈴鹿初日
レッドブル・ジュニアドライバーとしてF1昇格を目指すダニエル・ティクトゥム(TEAM MUGEN)


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