一方、この時にステイアウトを選択した小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)がトップに浮上し、同様の選択をした国本雄資(KONDO RACING)が2番手、ドライブスルーペナルティを受けたパロウの3台がトップ3となった。ここで一気においしい状況となったのが、真っ先にルーティンのピットインを済ませていたキャシディだ。
12周目にレースが再開されると、3番手を走っていたパロウが国本を捉えた。その後ろではソフトタイヤを履いたキャシディがターン1でミディアムタイヤを履く牧野をパスして4番手に浮上すると、勢いそのままに国本をオーバーテイク。牧野は山本にも先行を許し、ここで6番手まで後退した。
コース上では各所でポジション争いが展開されていた。そして15周目には中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)の後方を走行していたハリソン・ニューウェイ(B-Max Racing with motopark)が、デグナーひとつめで中嶋のイン側に入り、両者が接触。予選ではスプーンで接触のあったふたりが決勝レースでも絡んでしまい、両者リタイアとなった。
このアクシデントにより、このレース2度目のSCが出動。可夢偉はここでもステイアウトを選択した一方、ダニエル・ティクトゥム(TEAM MUGEN)や石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)は2度目のピットストップを行って再度ソフトに履き替えた。しかし石浦は作業後にエンジンが止まってしまい、その後もトラブルで走り出すことができず、ここでレースを終えることになった。
18周目にリスタートが切られ、パロウがOTSを駆使して可夢偉に襲いかかるがオーバーテイクには至らず。その直後、パロウのマシンにはS字でトラブルが発生したのかスローダウンしてしまい、ダンロップコーナーの内側でストップ。これで3度目のSC出動となり、22周目にレースが再開された。可夢偉は2番手までポジションを上げていたキャシディをうまく突き放してトップを維持。その後方ではペースの上がらない野尻智紀(TEAM MUGEN)を山下健太(KONDO RACING)がパスして5番手に浮上した。
レースの折り返しを迎え、燃料が軽くなってきているのか先頭の可夢偉はタイムを落とさずに快調に走行を続ける。一方で早めにピットストップを行った後続のキャシディらは、可夢偉に徐々に離されていく。
ところがレース後半の27周目、山下とポジションを争っていた牧野の右リヤタイヤがスプーンの出口で突然外れるようにバーストしてしまった。牧野はそのままタイヤバリアに突っ込んでしまい、無念のリタイア。予選でフロントロウを独占したTCS NAKAJIMA RACINGだったが、ここで2台揃って姿を消すことになってしまった。
牧野の車両を回収するために4度目のSCが出動したが、ここでも可夢偉はステイアウトを選択した。31周目に4度目のリスタートを迎え、残りは13周に。可夢偉は再びキャシディを突き放し、レース終盤も2番手より1秒近く速い1分42秒台で走行を重ね、ファイナルラップにルーティンのピットイン。タイヤ交換と給油を行った結果、入賞圏外でのコース復帰となった。
これで、予選12番手スタートのキャシディが首位に躍り出た。キャシディはそのまま危なげなくトップで走り切り、新天地のVANTELIN TEAM TOM’Sで大逆転の今シーズン初優勝を挙げた。

2番手の山本はレース終盤に山下健太(KONDO RACING)に猛追されるも、そのままポジションを守り切り2位に。山下が3位という、結果的に昨年の最終戦と同じ表彰台の顔ぶれとなった。4位以下は野尻、坪井翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)、国本、ルーカス・アウアー(B-Max Racing with motopark)、ダニエル・ティクトゥム(TEAM MUGEN)までが入賞。9位以下は小林、アーテム・マルケロフ(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)、福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、大嶋となっている。
なおマルケロフと福住には、レース終盤にSC中の追い越し違反によるドライブスルーペナルティが科されている。また大嶋は5位でレースを終えるも、SC後のスタート手順違反により30秒のタイム加算ペナルティとなった。


