■レースはソフトスタート勢が優位に。キャシディが初戴冠
これでレースはタイミングモニター上の争いとなっていくが、そんななか、ミディアムスタートのパロウは、ソフトタイヤでのペースが上がらない。これに福住が仕掛けると、18周目の130Rでパス。さらにパロウはタイトルを争う山本にも追いつかれ、130Rでふたりはサイド・バイ・サイドになり、アウトから並んだ山本が130Rでコースオフして一瞬、危ない場面もあったがコースに復帰。戻った山本はタイヤに着いたダストを取るのに数周を要したが、再び130Rでパロウに並び掛かり、今度はインを差してオーバーテイクを決める。
一方、山本に先行されてしまったパロウはその後、ズルズルと後続にも抜かれてポジションダウン。29周目には再度ピットインし、逆転王座の希望は一気に遠ざかってしまった。
途中、開幕戦鈴鹿でも2度接触した中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)とハリソン・ニューウェイ(B-Max Racing with motopark)が2コーナーで接触するなどのシーンはあったものの、大きなアクシデントやグラベルストップはなく、ミディアムスタート勢が期待したセーフティカーは出ないままレースは終盤を迎えた。
ソフトスタート勢のなかでは野尻、キャシディ、そして序盤順位を上げた関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)が続く。ソフトスタート勢は、ミディアムのラップタイムとスタート時に履いたソフトタイヤの保ちを比較しながらピットインのタイミングを探ることになるが、ミディアムスタートのピットイン消化組に対するアドバンテージが築かれはじめていた。
トップを走る野尻は32周を終えピットインすると、首位を守ったままコースに戻ることに成功。さらに2番手につけていたキャシディは34周目、インラップのブレーキングで白煙を上げるプッシュをみせるとピットに飛び込み、ミディアムに交換。野尻の先行を許すも福住の前となる2番手でコースに復帰する。福住はピットアウト直後のキャシディを追うが、キャシディはポジションを死守した。
作戦的中&好ペースでトップに立った野尻は、2番手のキャシディに2.532秒のギャップを築きチェッカー。2014年第6戦SUGO以来、5年ぶりの優勝を飾った。最終的に、今季のスーパーフォーミュラは7戦で7人のウイナーが生まれる珍しいシーズンとなった。
そして注目されたチャンピオン争いは2位に食い込んだキャシディが、5位に終わったランキングトップの山本を逆転し、2019年のスーパーフォーミュラドライバーズチャンピオンを獲得した。昨年ランキング2位となったキャシディにとっては、悲願のタイトルだ。
「なんと言ったらいいか分からない。VANTELIN TEAM TOM’Sは僕の日本でのキャリアを一緒に歩んできたし、素晴らしいチームだ。こうしてチャンピオンという結果で返すことができて本当に嬉しいよ」と、キャシディは噛みしめるようにレース後に語った。
なお、スーパーフォーミュラにおける外国人ドライバーのチャンピオン獲得は、2011年のアンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM’S)以来のことだ。
3位には福住が入り、こちらはスーパーフォーミュラで初の表彰台を獲得。4位は追い上げた関口、そして山本と続き、最後尾スタートながらソフトスタートだった石浦が6位。塚越広大(REAL RACING)、平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)までが入賞となった。パロウは19位となったが、2019年シーズンのルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いている。










