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投稿日: 2020.10.21 17:03
更新日: 2020.10.21 17:04

ThreeBond Drago CORSE 2020スーパーフォーミュラ第3戦SUGO レースレポート

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スーパーフォーミュラ | ThreeBond Drago CORSE 2020スーパーフォーミュラ第3戦SUGO レースレポート

ThreeBond Racing with DRAGO CORSE 
2020年度全日本スーパーフォーミュラ選手権レポート

ポイント奪取へ向けて

 全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズ第3戦が、10月17日(土)~18日(日)にかけて宮城県のスポーツランドSUGOで開催された。

 所属ドライバーであるタチアナ・カルデロン選手(以下、タチアナ選手)は、イタリアのモンツァ・サーキットでELMS(ヨーロピアン・ル・マン シリーズ)に出走後、新型コロナウイルス感染拡大防止策として日本政府が定めた入国後2週間の隔離期間を確保できないため第2戦に引き続き欠場せざるをえず、今回も代役として塚越広大選手(以下、塚越選手)を起用してレースに臨んだ。

 17日(土)は早朝から小雨交じりの天候となった。チームにとって、ウエットコンディションでの本格走行はこれが初めてである。塚越選手はウエットタイヤを装着して慎重に走行を開始すると、前回の第2戦で採用した新しいダンパーの感触を確かめながらピットインを繰り返し出走19台中11番手でセッションを終えた。

 午後のフリー走行が始まる頃には雨は止み、コース上では走行ラインが乾き始めていた。塚越選手は、まずウエットタイヤを装着してコースイン、その後ドライタイヤへ交換して、午前に引き続き足回りのアジャストを重ねた。セッション残り10分となったところでニュータイヤを使い、タイムアタックのシミュレーションに入る予定だったが、コース上に停止車両が生じてセッションが赤旗打ち切られてしまったためシミュレーションはできなかった。結局、塚越選手のタイムは14番手にとどまり、翌日の公式予選にぶっつけ本番で臨むこととなった。

公式予選

 18日(日)は朝から太陽が差し、気温は22度と前日より10度近く上昇した。塚越選手はQ1のA組で出走したが、前日の状況からチームはタイヤのウォームアップに時間がかかりそうだと判断。塚越選手をセッション開始当初からコースへ入れ充分タイヤを暖めてタイムアタックさせる判断を下した。

 その結果、早々に1分5秒451を記録して、まずはトップに立ってタイムアタックを終えた。しかし、その後は他車のタイヤラバーが乗ってコースコンディションが急速に良くなっていき、セッション後半にタイムアタックをした選手が次々に塚越選手を上回るタイムを記録していった。結局、塚越選手の順位は16番手となってQ2進出はならず、そのままスターティンググリッドが決定した。

決勝レース

 決勝レースは午後2時55分に始まった。スタート直後に第1コーナーで上位が接触して混乱が生じたが、16番手グリッドからスタートした塚越選手は、うまく加速して順位を上げ、オープニングラップを12番手で終えた。

 塚越選手のペースは好調で、4周目には11番手、5周目には10番手、8周目には9番手、11周目には8番手まで順位を上げていった。今回のレースではレース中にタイヤ交換が義務付けられており、タイヤ交換ピット作業はスタートから10周目以降に可能となる。

 その後、塚越選手は10周目、前方を走る#38石浦宏明選手をオーバーテイクして8番手に上がり、さらに7番手を走る#3山下健太選手に追いついた。チームはオーバーテイクのためにタイムロスする前にタイヤ交換義務を消化した方が追い上げに有利だと判断。11周目に塚越選手をピットへ呼び入れ、タイヤ交換を行って再びコースへ送り出した。

 見かけ上の順位を13番手まで落とした塚越選手は、上位陣がタイヤ交換を行う間に順位を挽回しようとペースを上げた。ところがポジションを12番手とした19周目、コース上で発生したアクシデントを処理するためセーフティカーが10番手を走る19号車関口雄飛選手の前にコースインしてしまった。

 その結果、塚越選手を含む10番手以降の選手はペースダウンを強いられ、9番手までの上位選手はレーシングスピードで19周目を走ってタイヤ交換のためのピットインを行った。こうして上位と下位には大きな差ができてしまった。

 セーフティカーの先導が終わり、レースは28周目から再開された。塚越選手は上位陣に匹敵するラップタイムで走りながらオーバーテイクのチャンスを伺った。ところが25周を過ぎる頃からシフトチェンジに違和感を覚えるようになったため、28周目に予定外のピットインをすることになった。

 チームは、ギヤチェンジをするためのコンプレッサーに続く配管のトラブルを発見、部品を交換して塚越選手をコースへ送り返したが順位は大きく後退してしまった。結局、塚越選手は12周後れでチェッカーフラッグを受けたが、完走扱いとはならずにレースを終えることとなった。

塚越選手コメント

「公式予選は、ほかのチームに比べて一発のタイムを出すところでパフォーマンスが足りずにQ1で敗退してしまいました。しかし、決勝に向けてセットを変更したところ、前半はすごくいいペースで走れてポジションも順調に上げられました。ピットのタイミングも良かったのですが、セーフティカーのタイミングが私にとっては不運で、せっかくの作戦も無駄になってしまいました」

「その後、トラブルも起きましたが、セーフティカーが出なければポイントを取れるだけのパフォーマンスがあったと思いますので非常に残念です。今回で代役参戦は一旦終了となる見込みですが、この2戦でクルマのポテンシャルは上がったと感じています。次回、タチアナ選手が戻ってきたときに『すごく良くなった』と実感してくれたらうれしいです」

道上監督コメント

「今回、レースが行われたスポーツランドSUGOは1周が短いので0.1秒、0.2秒が命取りになってしまいます。予選はまさに0.1秒足りずにQ1で敗退となりました。総合的に一発でタイムを出すためのポテンシャルが不足していたと思います。ただ、レースに関しては後方グリッドから追い上げるなど、中団より上のレベルで戦えるだけのポテンシャルがあったと思います」

「残念なのはセーフティカーが塚越選手の前に入ってしまったこと。早めのピットインが裏目になってしまいました。セーフティカーがなければ、5番、6番を争えていたのではないかと感じています。次回のオートポリス大会ではタチアナ選手が帰ってきます。彼女にとっては慣れないクルマ、知らないコースでのレースになってしまうので、この2戦で塚越選手が残してくれたデータをしっかり活用して上位目指して挑みたいと思っています」

伊与木エンジニアコメント

「今回も前回使った新しいダンパーを使い、正しい方向に来ているという手応えがあり、Q1は問題なく通過するつもりでいました。ただ、前日にタイヤの温まり方が悪かったのでそれが不安で早めにコースへ出て温めようと考えていましたが、路面のコンディションは後方車両のほうが良くなっていたようで。作戦が裏目に出てしまいました」

「決勝ではセーフティカーのタイミングはうちにとって不運でした。あの前に出ていればまったく異なる展開になっていたと思います。しかし決勝レースでは、それなりにパフォーマンスを発揮できるレベルへ来られたかなとは感じています。次戦のオートポリス大会にはタチアナ選手が戻って来ますが、その前にポイントを取っておきたかったのが本音です」


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