Tomoyuki Mizuno / autosport web

 2日目午後、開幕前の最後のセッションで、山本はホンダ勢最上位の5番手タイムを記録。トップの平川亮(carenex TEAM IMPUL)とのギャップもわずかコンマ2秒という僅差だった。

「今日はコンディションも路温が高かったせいか、昨日よりもベストタイムは遅かった。トップで終えることはできなかったですけど、トップとの差だけを見れば最後、ニュータイヤでアタックしたなかで言うと悪くはなかった。このコンディションには合わせることができたのかなと思います」と山本。

 まだクルマのフィーリングには満足はできてないとのことだが、「まだまだやれること、やりたいことはあるものの、ちょっとずつ調子は上げられているのかなと思います」と手応えを感じた様子の山本。表情は以前として厳しいままだが「ギリギリ戦えるスタートに立ったという感じです」と、開幕に向けてこのオフ、ようやくポジティブなコメントを残した。

 山本が5番手タイムをマークした富士テスト2日目午後は気温もそれまでで一番上がり、4月の開幕戦に近い気温になっていた。さらにスーパーフォーミュラ・ライツの走行が事前に行われ、路面はレースウイークさながら、多くのゴムが乗った状態になっていた。それまでのテストとは違い、本番シチュエーションに近い状態になったことで、山本と今年、山本を担当する加藤祐樹エンジニアが作り上げたクルマがようやく本来のパフォーマンスの片鱗を見せ始めたのだ。

 だが、その変化を裏返すと、この2回のテストからは路面温度や路面のゴムの状況など、コンディションのわずかな変化で各ドライバー、各チームの勢力図が大きく変わってくることも感じさせた。そしてもうひとつ、その変わっていくコンディションと勢力図のなかでも例外的に平川亮だけが常に上位をキープしていることもこのオフテストで明かだった。

 そもそもではあるが、昨年からクルマもタイヤも同じパッケージを使用しているスーパーフォーミュラで今年、どうしてここまで勢力図が変化するのか。ひとつにはタイム差が僅差ということが挙げられるが、山本担当の加藤エンジニアが話した言葉が印象深い。

「昨年はコロナ禍でテストで走行する機会も少なく、どのクルマも新しいセットアップを試す機会がない状況でレースに合わせるしかなかった。そのなかで今年、2回のテストが行われて、みんないろいろ新しいトライを試しているのだと思います。SF19のシャシー、そしてヨコハマタイヤともに、まだまだパフォーマンスを上げられる要素は残っていると思います」と加藤エンジニア。

 その高いポテンシャルを現在一番引き出せているのが、平川とcarenex TEAM IMPULということか。今年タイトル連覇を狙う山本も、昨年タイトルを争った平川を最大のライバルとして注視していることが伺えた。

「このオフ、どんなコンディションでも平川選手は最後に合わせてきている。どのセッションでも常にトップ5に入れてくるのは平川選手くらいですので脅威です。昨年、タイトルを逃して悔しい思いをして今年に懸ける思いは強いと思うので、逆にああいう姿を見ると、やっぱりこちらも燃えますね。彼には負けたくないです」

 果たして、山本尚貴の4度目のチャンピオン、そしてチームを移籍しての連覇が掛かる2021年シーズンはどのようなスタートを切ることになるのか。今週末の富士で、長いシーズンの最初の戦いの火蓋が切られる。

2021年スーパーフォーミュラ富士合同公式テスト2日目
富士テスト2日目の山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)

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