更新日: 2021.10.16 23:00
雨に翻弄され、さらに逆境に追い込まれたチャレンジャーたち。それでも期待したい彼らの矜持【第6戦もてぎ予選レビュー】
そして今季は第4戦SUGOで自身初優勝を飾り、ランキング4位につけるのが福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)だ。福住は午前の練習走行ではトップタイムを記録しており、ドライコンディションでの速さには自信を持っていたようだ。
「ドライに賭けて、いろいろと前回の反省点や課題点、何をどうすればもう少しパフォーマンスを上げられるのかというところを、エンジニアの杉崎(公俊)さんと、今回は前戦から時間が空いていたので話しをさせてもらいました。それで持ち込んだ方向性というのは、今の季節、このコンディションにうまくあっていたのかなと思います」
そんな福住は、まだ雨が降っていなかったドライコンディションの予選Q1 A組でトップタイムを記録したが、続くQ2ではまさかのノックアウトを喫してしまう。
「雨が降ってきたときに周りがどのタイヤを使用したか分かりませんが、その状況で僕はニュータイヤでコースに入り、周りと比べてもまったくタイヤが温まらなくて全然ペースを上げられない状況でした。その段階で雨が振っているので、ピットに入ったほうがいいかなと思ったりもしましたが、僕自身もこのまま行って、ちょっとコンディションが良くなるのを待つことに決めました」
「ですが、それがちょっとうまくいかず、アタックの最後の周でも、2コーナー出口でトラクションが抜けたときに左側に飛び出してしまい、アタックすることができませんでした。フィーリングとしては非常にグリップしていない感覚だったので、(スリックで)トライをした時点で結構厳しい状況だったのかなと思います」
練習走行トップタイムマシンがまさかの予選14番手となってしまったが、明日の決勝に向けては「今回の予選がこういう風になってしまい、また集団のなかでのスタートになると思いますが、明日の天候次第では結構レースが荒れることも予想できますし、きちんと生き残り、少しでもポイントを持ち帰れるように頑張りたいです」と前向きに語っていた。
そして最後は、この第6戦の予選でポールポジションを獲得しなければ、タイトル争いから脱落となる平川亮(carenex TEAM IMPUL)に話を聞いた。
平川は予選に関して「朝の公式練習では調子が良かったので、そこからアジャストして臨みました。Q1では1台(小林可夢偉/KCMG)がクラッシュしてしまったので、ノックアウトが1台しかおらず、アタックも最後の1周しかなかったので、あまりリスクも取らず、練習走行の調子も良かったのでドライに関しては自信がありました」
しかし雨が降り始めたQ2で平川はまさかのノックアウトを喫してしまい、タイトル争いからはここで脱落となってしまった。
「Q2は運がなかったとしか言えないです。スリックタイヤで出ていきましたが(雨が降ってきた影響で)1コーナーでハーフスピンをしてしまって、次の周はスリックでは行けないと思いウエットタイヤに替えました。ウエットに交換しても(アタックに)間に合うという話だったのですが、残り2秒くらいで間に合いませんでした。基本的にウエットのほうがタイムは全然速かったので、そこは残念ですが、不運ということで仕方ないです」
タイトル争い脱落については「野尻選手が前半戦で3回勝っていますからね」とコメントした平川だが、気持ちはすでに次の戦いに向いているようだ。
「逆に自分たちが噛み合っていない感じもあるので、そこをしっかりと修正したいと思っています。今日は不運で噛み合わなかったですが、まだ残り2回レースがあるので、まだやれることはあると思います。あとはチームタイトルも掛かっているので、そこはチームとして狙いたいので、まだまだこれからです」
数字的には逆転タイトルは難しいチャレンジャーたちだが、明日の決勝はコンディションも不安定のようで望みがまったくないわけではない。今回の予選日は野尻に軍配が上がる形になったが、明日の決勝、すんなりとタイトルを決められるのと、そうではないのとでは、彼らの今後のドライバー人生にも関わってくる。より厳しくなった逆境のなかでのチャレンジャーたちのドライバーとしての矜持、そして意地を決勝で見てみたい。