一方、敗れた野尻も、当然ながらレース距離の半分くらいでのピットインをベストなプランとして想定していたという。しかし5番手を走行していた序盤、前方が集団となっており、「前がピットインしなかったら、入って」というチームの指示どおり、ミニマム周回数でのピットインとなった。
「あの周は牽制というか、みんなストレートでピットロード側に寄って行っていたので、『どうなる?』とは思ったのですが、前のクルマがピット入口を通過したのを見て、『BOX!』と言って飛び込みました」と野尻。
「僕がアンダーカットを狙ったので、次の周に(近いポジションの)誰かが反応するかと思ったのですが、そういった選手はいなくて、これは長丁場のバトルになるな、と。そこからはオーバーテイク(システム)を隔周で使いながらタイムを稼いでいったのですが、そこでもう少しタイヤのマージンを残せていれば、もうちょっと勝負になったかもしれませんね」
ピットタイミングが平川と野尻の明暗を分けた、と言ってしまえばそれまでだ。だが、それを差し引いても「まだちょっとだけ、彼らに対して負けているかなという感じはする」と野尻は平川陣営との差を分析する。
第1戦の予選、野尻はQ1からQ2へのセット変更を失敗しているといい、「反省点ではあるけど、明日に向けた良い材料になった」という。また平川に対しては、「予選で前に行ければ、抑え込みはできるくらいの差だと思う」とも。
「まずは予選でしっかりと流れを作りたい。僕らのタービュランス(乱気流)の後ろに抑え込めれば、抜かれることはないかなと思っています。とにかく明日は予選で前に行きたい」と第2戦に向け、野尻は逆襲のシナリオを描く。
第1戦の結果からそれぞれが修正点を見出して臨む日曜日の第2戦は、さらなる接戦も見込まれる。第1戦で早々に戦列を離れたフロントロウの2台も当然ながら上位でレースをすることが予想され、そうなれば土曜日と同じ展開とはならないだろう。
それでも、初戦にして結果を残した平川と野尻は日曜日の第2戦でも“本命”と呼べる存在であり、ライバルのマークも厳しくなるなか、その戦いぶりに注目が集まる。
