更新日: 2022.11.02 13:23
横浜ゴム 2022スーパーフォーミュラ第9戦鈴鹿 レースレポート
【全日本スーパーフォーミュラ選手権第9戦/鈴鹿サーキット】
準優勝でフィニッシュした野尻智紀選手が2年連続のシリーズチャンピオンを確定、TEAM MUGENはチーム部門のタイトルを獲得!!
季節はすっかり秋から冬に向かい、国内モータースポーツカテゴリーも続々と終盤戦へと突入していく。「全日本スーパーフォーミュラ選手権」もこの週末がシーズン最終大会。2レース制で行われる今大会、まずは10月29日(土)に第9戦の公式予選と決勝レースが行われた。
予選、決勝を前に、28日(金)に行われたフリープラクティスは、前戦もてぎ大会で自身初ポールポジションを獲得した大湯都史樹選手(TCS NAKAJIMA RACING)がトップタイムをマーク。シリーズチャンピオン争いで野尻智紀選手(TEAM MUGEN)を追いかけるサッシャ・フェネストラズ選手(KONDO RACING)が3位、平川亮選手(carenex TEAM IMPUL)が5位につけ好調ぶりを示した。一方、野尻選手はまさかの16位で、大湯選手に対し1秒の差をつけられてしまっていた。それぞれの走行メニューが違っているプラクティスとはいえ、この差は大きい。野尻選手とTEAM MUGENは夜半まで、復調に向けてミーティングを続けた。その甲斐あって、翌日の9時15分から行われた予選では、見違えるほどにペースを取り戻すことになる。
この週末は3日間を通して快晴の予報が出ていた鈴鹿サーキット。29日(土)も朝からさわやかな秋晴れの空が広がり、澄んだ空気が気持ちの良い朝を迎えた。チャンピオン候補の中でQ1のA組に登場したのはフェネストラズ選手。フリープラクティスの結果からも期待が高まったが、トップ通過を果たした牧野任祐選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)に対しなんと1秒差の9位に。Q2進出圏内のトップ6に入ることができず、総合17位という結果になってしまった。さらに、B組に出走した平川選手は3番手タイムでQ2進出は果たしたものの、そのQ2では失速してしまい、11位。2人ともポイント獲得圏外からのスタートとなってしまった。
対する野尻選手は一夜で速さを取り戻し、Q1を4位で通過すると、Q2で堂々のトップタイムをマーク。今季5度目のポールポジションを獲得した。前日の不調とそこからの挽回、そして何よりチームの努力が結実した結果に、いつも以上に力強いガッツポーズを見せた野尻選手。予選2位には、セクター4でのロスが悔やまれる宮田莉朋選手(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)が入り、3位は大湯選手という結果になった。
約4時間半という短いインターバルの中、2022年の最終大会にしてファンサービスが可能となったピットウォークが復活し、ドライバーたちはファンからたくさんのエールを受け取り決勝レースへと挑んだ。予選時よりもやや強い風が吹く中、31周の決勝レースがスタート。
ホールショットを奪ったのは野尻選手で、フロントローに並んだ宮田選手は出遅れてしまい大湯選手が2番手に、5番手スタートの笹原右京選手(TEAM MUGEN)が3番手に並ぶ。2台は序盤からサイドバイサイドの激しい戦いを繰り広げたが、4周目に入ったホームストレートでオーバーテイクシステム(OTS)を使った笹原選手が一気にオーバーテイクし、2位に浮上した。
ワン・ツー体制を築いたTEAM MUGENの2台は、大湯選手以降を徐々に引き離していき、9周目には2位と3位の差は4秒にまで広がっていた。そして、ピットウィンドウが開いた10周終了時点で笹原選手がピットイン。大湯選手も同時ピットインで、メカニックたちのタイヤ交換作業に注目が集まった。わずかに時間がかかった笹原選手はピットロードで大湯選手に迫られてしまうが、コースに復帰するとアウトラップでプッシュ。再び差をつけることに成功した。
2台の動きを見て、野尻選手は翌周にピットへ。笹原選手の時よりも少し短い作業時間でピットを後にすると、ホームストレート半分ほどのマージンをもってコースへ復帰した。ただし、アウトラップを終えた笹原選手はタイヤが温まった状態で、見る見るうちに野尻選手の背後に近づいてくる。デグナーカーブでテール・トゥ・ノーズの状態に持ち込むと、ヘアピンの侵入で野尻選手のインを刺し、逆転に成功。見た目上の順位は13位ながら、実質のトップに躍り出た。
TEAM MUGENの2台がピットインを済ませたところで見た目上のトップに立ったのは宮田選手。前がクリアになった状態で1分41秒前半までペースを上げて周回し、笹原選手との差を築きにかかった。しかし、フレッシュタイヤの笹原選手、野尻選手もペースは良く、宮田選手は思ったほど差を広げられない。結局25周を終えたところで宮田選手はピットイン。順調にいけば大湯選手と関口雄飛選手(carenex TEAM IMPUL)の3位争いに割って入るあたりでコース復帰ができるかと思われたが、左リヤタイヤの交換に時間がかかってしまいタイムロス。佐藤蓮選手(TEAM GOH)の後方、6番手でコース復帰となった。
最後に平川選手がピットへと向かい、名実ともにトップに立った笹原選手は、野尻選手との差を最終的に12.5秒まで広げてトップチェッカー。第6戦富士大会に続き今季2勝目を飾った。野尻選手は2位でチェッカーを受け、ドライバーズタイトル獲得が確定。さらにワン・ツー・フィニッシュを達成したTEAM MUGENが初のチームタイトル獲得を決めた。3位には、終盤に関口選手と大湯選手をオーバーテイクした佐藤選手が入り、自身初の表彰台獲得となった。
■笹原右京選手(TEAM MUGEN)【今回の成績:優勝】
「フリープラクティスではペースを上げることができなかったのですが、今日はチームが用意してくれたクルマが本当に素晴らしく、スタートもうまく決まりました。今回は鈴鹿を純粋に楽しみ、全力で走り切ること、自分が今持っているものをすべて出し尽くすことができればいいと考えていました。最後の最後までプッシュし続け、出し尽くせたと思っています」
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