いま平川が見据えるのは、WECのハイパーカークラスにフェラーリ、ポルシェ、キャデラックらが新たに参戦を開始してくる2023シーズンだ。この競争の激化に向け、平川も環境を変える。自身のベースをモナコへと移し、WECで世界を転戦する合間に「日本に出向いて」スーパーフォーミュラに参戦する形をとることになる。
これについて本人は、「でも、あまり変わらないと思います。どちらをベースにするか、というだけなので」と平然と語る。WECのスケジュールがヨーロッパで1戦増えるという変化はあるが、平川の参戦する両シリーズに日程の重複はないため、移動の回数や距離などは、たしかに2022年とそれほど変わらないのかもしれない。
だが、ヨーロッパをベースに“生活”することで、よりWECや欧州のレース・環境に馴染むことができ、それによってさらなる“余裕”が生まれる可能性については、平川も否定はしない。
「そうですね、やっぱりいろいろとまだヨーロッパに慣れていない部分があるのは間違いないないので、そこに溶け込むという意味でも、(欧州に)いなければいけないと思います」
「来年からは戦いも厳しくなりますし、しっかりと覚悟を決めるという意味でも、そうすることにしました」
FIAの表彰式のあとは、1カ月ほど充電期間を置く予定だという。「ゆっくりしている方が、そわそわしてしまいそうですが(笑)」と多忙な一年を過ごしてきた平川は言うが、そのオフの終わりとともに、ヨーロッパでの新生活がスタートすることになりそうだ。
参戦カテゴリーは不変ながら、環境を変えることがどう結果となって表れるのか。2023年の“新生・平川亮”に注目したい。
