更新日: 2023.04.24 10:34
TGM Grand Prix スーパーフォーミュラ第1戦&第2戦富士 レースレポート
2023 SUPER FORMULA
開幕富士大会
TGM GP デビューレースは2台揃ってトップ10フィニッシュ、ポイントを獲得
・大湯都史樹選手(53号車)が2レースともに印象的な速さを披露
・ジェム・ブリュックバシェ選手(55号車)の日本デビュー戦は初走行の富士で8位チェッカー
第1戦 4月8日(土)
カーナンバー | ドライバー | 予選 | 決勝 |
---|---|---|---|
#53 | 大湯都史樹 | P4 1’22.330 | P7 |
#55 | ジェム・ブリュックバシェ | P20 1’23.666 | P8 |
第2戦 4月9日(日)
カーナンバー | ドライバー | 予選 | 決勝 |
---|---|---|---|
#53 | 大湯都史樹 | P3 1’21.590 | P20 |
#55 | ジェム・ブリュックバシェ | — 1’33.375 | P17 |
※55号車予選は統一規則第19条2(走路外走行)により、当該タイム1’25.672を適用されず
※53号車決勝で、ファステストラップタイム、1’23.514を記録
TGM Grand Prix(TGM GP)のデビューレースとなる2023年の全日本スーパーフォーミュラ選手権開幕大会が4月8日(土)/9日(日)の週末に富士スピードウェイにて2レース制で開催され、土曜日の第1戦では53号車の大湯都史樹選手が7番手、日本デビュー戦となった55号車のジェム・ブリュックバシェ選手が8番手でチェッカーを受け、TGM GPの2台は揃ってトップ10フィニッシュ、大湯選手が4ポイント、ブリュックバシェ選手が3ポイントを獲得しました。
翌日曜日の第2戦では、予選で3番グリッドを手にした大湯選手が前日に続く好ダッシュでスタートを決め1ポジションアップ、続くコカ・コーラコーナーでポールポジションスタートの野尻選手を攻略してトップに立ちましたが、セーフティカーランやピットアウトのタイミングに泣かされ、また、リスタートのタイミングで再びトップ攻略に挑んだ時にタイヤを痛めてしまい、28周目に再びタイヤ交換のためにピットインすることとなり、最終的に20位でレースを終えました。
なお、この第2戦の31周目で、大湯選手はファステストラップタイム、1分23秒514を記録しました。
一方、55号車のブリュックバシェ選手は17番手からスタートし、前日同様に好スタートでポジションアップ、大きなミスなくレースを進める中、ポジションは若干のアップダウンがありましたが、41周回のレースをスタートから2番手あげて17位でチェッカーを受けました。
SUPER FORMULA 2023の開幕大会2レースを終え、大湯選手は5ポイント、ブリュックバシェ選手は3ポイント、そしてチームは7ポイントを獲得しています。
■53号車ドライバー 大湯都史樹選手のコメント
「土曜日は新規チームでのぞむ第1戦だったわけですが、予選はもう少しトラフィックにひっかからなかったら、という気持ちもありますが、4番手だったのはポジティブです。前日のフリー走行がなく、いきなりの予選でドタバタもしつつも、なんとか形になってよかったと思います」
「第1戦決勝は好スタートを決めたのですけど、ペースが足りなくて、順位を守り切ることができずに、日曜日の第2戦に向けては決勝のペースについては課題が残りました。具体的にはストレートのスピード、また、タイヤの熱ダレも厳しかったです」
「第2戦の予選は非常に手ごたえがあったのですが、野尻選手が非常に速く、ポールポジションにとどかず3番手でした。そこの差が何からきているのか、現時点では足りていない部分があるので、僕自身も、クルマについても改善して、予選でのパフォーマンスを上げていかなければなりません」
「決勝のスタートは上手く決められたので、序盤からトップに出てレースをリードすることができましたが、非常に悪いタイミングでセーフティカーが入ってしまいました。ピットの位置については野尻選手の無限さんの方は前方でアドバンテージがあり、僕らも作業によるロスっていうのはほとんどなかったので普通に出ていければ良かったのですが、入ってくる車を先にいかせなければならず、野尻選手に前に出られてしまいました」
「セーフティカーが入る前から、昨日よりペースは改善できていましたが、無限さんのレースペースが安定して速そうだと感じていたので、ピットアウト時に前に行かれてしまったことで作戦の幅が狭まってしまったこともあり、チャンスはセーフティカー明けしかないと思ってチャレンジしに行ったのですが、タイヤも温まっていない状況の中で上手く野尻選手を抜ききることができませんでした」
「そこからは、タイヤを痛めてしまったことでペースも落ちてしまい、なんとか踏ん張ろうと頑張ったのですが、限界がきてしまいピットイン、ということになりました」
「ポジティブなこととしては、ファステストを記録できたこと、そしてトップでバトルをする速さとチームの強さも見せられたので、今後さらに改善を進めていけば、今シーズン、より良い結果、つまり、ポールと優勝がみえてくるんじゃないかと思います」
■53号車エンジニア 上城直也のコメント
「土曜日の予選は、鈴鹿テストからの富士開幕ということで、ダウンフォースレベルの違うサーキットにやってきた訳ですが、金曜日のFPがキャンセルになっての45分の計時予選で、走り出しは他の車から少し遅れていそうなところもあったのですが、事前に準備していた内容を盛り込んでいって、1番最後、どの車もタイムアップはできなかった中、大湯選手もタイムアップはできなかったものの、なんとかまとめあげて乗ってきてくれて、4番手、セカンドローとなりました。ぶっつけ本番の予選としては、まずまず、まとめられたかなと思います」
「第1戦決勝は、FPのキャンセルでロングランができていなかったことに加え、8分間のウォームアップでも少しトラブルが出て十分に走れないままレースにのぞんだのですが、レースペースについて課題がみつかり、また、タイヤの状態から読み取れていることもありました。そこをしっかり分析し、予選についてみつかった良いもの第2戦に向けてブラッシュアップする必要がありました」
「日曜日第2戦の予選については、前日に大湯選手から修正して欲しい部分のリクエストがあり、エンジニアチームで分析して出したアイテムを、ぶっつけで投入して、Q1でしっかりタイム出してくれたので、その方向性であっていたんだなと確認できました。Q2に向けても大湯選手のコメントをベースにアジャストしたところ、それが上手くはまって3番グリッドを獲得できました。2番手の宮田選手とは 100分の2秒と僅差でしたが、トップの野尻選手に対してはコンマ4秒負けているので、そこが次の鈴鹿に向けての課題だと思います」
「第2戦決勝前のウォームアップでは、昨日のレースでタイヤのデグラレーションでペースがどんどん落ちてしまうという課題に対し、エンジニアリングチームで分析して方向性を決めてアイテムを入れました。それもまたぶっつけだったのですが、昨日直して欲しいとリクエストがあったところが概ね修正でき、ペースも改善してそうなところがみえました。ただ、バランス的にはちょっと厳しいところもありそうだったので、タイヤを守る意味でアジャストしたのですが、それが若干裏目に出て、ストレートスピードが伸びなくなってしまったのかなと考えています」
「決勝での大湯選手のスタートはピカ1で、オープニングラップですぐにトップに出てくれて、少し勝利が見えたかな、というところがあったのですが、ストレートスピードの問題と、SC が入って展開がかわってしまったこと、我々のピット位置からは出るタイミングでロスがあったこと、前方にある無限さんのピットから出る野尻選手の後ろになってしまったこともあり、大湯選手がリスタートの1コーナーで頑張ってしまった結果、フラットスポットを作ってしまって、タイヤを壊してしまいました。アンラッキーが重なってしまった結果かなと思います」
「それでも最後に、燃料が減って軽い状態にフレッシュなタイヤという条件ではありますが、ファステストを出してくれたので、クルマのパフォーマンス自体はかなり高いところにあったのではないかと考えています。ただそのままだとレースページ自体は依然課題となりそうなので、そこはしっかり分析して、次の鈴鹿に挑もうと思います」
■55号車ドライバー ジェム・ブリュックバシェ選手のコメント
「土曜日初戦の予選は、走り出しは悪くなかったと思います。鈴鹿のテストのときにタイヤの熱入れやブレーキの熱などいくつかの課題があったので、それらを修正しようとトライしました。マシンは良かったと思うのですが、僕自身のドライビングについて言えば、パーフェクトではなく、クルマの性能を活かしきることができずに、規定の時間の中でしっかり走ってタイムを出すことができませんでした」
「決勝ではスタートがうまくいってポジションを上げることができましたし、ペースも良かったと思います。また、ピットインのタイミング判断も適切でした。8位でフィニッシュすることができ、ポイントも獲得できたのでとても嬉しかったです」
「転じて日曜日はタフな1日となりました。残念ながら予選では、タイヤとブレーキの熱入れがうまくできなかったのですが、次に向けてそこをどう改善したら良いのかは、データもあり、わかっています。もっと上手く戦えるようにして、昨日8位でフィニッシュしたように、今後の全レースでトップ10フィニッシュを狙い、ポイントを獲得したいです」
「決勝レース自体はタフでした。途中でトラフィックの後ろについてしまったり、ギアボックスにちょっとしたトラブルもあったりして、重要な場面でその問題にとらわれて、せっかく上げた順位を落としてしまい、そこから順位を取り戻せず、残念ながらノーポイントとなりました」
「先月の鈴鹿テストは収穫も多かったので、次の鈴鹿大会に向けて、チームでしっかり準備したいと思っています。鈴鹿戦に向けてわくわくしていますし、必ず良い週末にしたいと思います」
■55号車エンジニア 岡島慎太郎のコメント
「ジェムにとって富士は初めてだった上に、土曜日初めてSF23でぶっつけ本番のドライ予選はしびれました。土曜日の予選の最初は習熟走行に集中しなければならず、他の経験あるドライバーに比べると、そこは難しい部分がありました。セットアップの方向性は鈴鹿テストである程度みつけることができたのですが、上手くタイヤを使いきれずにタイムが出せませんでした」
「第1戦決勝は後方グリッドからのスタートでしたが、比較的上手くスタートでき、ポジションを上げることもできました。レースペースそのものはトップを走るチームに遅れている部分がありましたので、根本的なペース改善が必要と感じました。戦略としては、ラッキーもあってポジションを上げていけたこともあり、悪くはなかったと思うのですが、見直すところは見直して、第2戦の戦略とセットアップを検討しました」
「日曜日第2戦の予選は、土曜日に大湯選手が速かった予選セットを参考にしつつ、セットを検討してのぞみました。ピットでタイヤ交換している時にエンジンストールしてしまい、予定とは異なるタイミングでコースインに少しばたばたしてしまったことが、反省点です。車そのものもアタックに行くにはあまり準備が整っていない状態だったこともあり、1コーナーでブレーキロックして飛び出してしまったこともありました。今回起きた問題をエンジニア、メカニックともに、次に向けてしっかり修正したいと思います」
「日曜日の決勝も後方グリッドからのレースでしたが、土曜日初戦ではオーバーステアに苦しめられたのでアンダーステア方向に修正してのぞみました。比較的クリーンエアのタイミングではバランスが良かったのですが、良いところもある一方で、悪いところもあり、全体的には、少し行き過ぎて、アンダーが強く出てしまいました。まだ少しSF23のバランスがとれる適正なポイントというのを掴み切れていないというのが実情です。鈴鹿に向けて分析を進め、セットアップを改善できるように努めます」
2023年全日本スーパーフォーミュラ選手権の次戦は、4月22日/23日の週末に、鈴鹿サーキットで開催される第3戦となります。