更新日: 2023.05.22 11:15
「もう1周あると思ったらチェッカーでした」「大湯頑張れ」「トラフィック多すぎ」【SF Mix Voices 第4戦決勝】
■牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING) 決勝6位
7番手スタートからピットウインドウオープン直後の10周目に、22台のうちもっとも早いピットストップを選択した牧野は「戦略としてはアンダーカットしてよかったと思うのですけど、正直あそこまでトラフィックがいるとは思っていなくて、それに引っかかったというのが大きかったかなと思います」と振り返る。
また、「(阪口)晴南を彼のアウトラップで抜けなかったのもきつかったです」と牧野。14周目終わりにピットインした阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)はその時点でリアム・ローソン(TEAM MUGEN)を追っていた牧野の眼前でコース復帰。
当然、牧野は1コーナーからコールドタイヤの阪口の背後に着き、3〜5コーナーで接触ギリギリのサイド・バイ・サイドとなるも、阪口もOTSを使用し、牧野に隙を与えず。牧野は阪口を攻略するに至らなかった。
「このオートポリスは、結構アウトラップでのタイヤの暖まりが早いのですけど、それが痛かったのかなと思います。晴南や他のクルマが何台も前にいて、そのペースに付き合わされちゃうんで、そのロスが大きかったですね」
「ただ過去のレース見てても、あそこまでトラフィックがあったレースってオートポリスであったっけ? とも思います。実際、僕も2019年(TCS NAKAJIMA RACING在籍時)にここでミニマムでピットに入っているのですけど、そんなトラフィックもなかったので、ちょっとあれは想定外でしたね」
それでも牧野は「やはりアンダーカットの取り分はものすごくあったと思います。戦略的にも序盤のあの状況だと、(序盤5番手の)福住選手と(序盤6番手の)山下選手がいて、僕は少し引っかかっていたので。やれることはやったかなと思います」
「ただ、ペース自体は結構ポジティブな内容でしたので、結果以上に内容が良かったので、次に向けてはポジティブかなと思います。次戦のSUGOは、去年もいいレースをしていたので、頑張りたいと思います」
■山下健太(KONDO RACING) 決勝4位
6番手スタートの山下は、表彰台まで0.304秒届かず4位でチェッカーを受けた。
「終盤は3番手の坪井翔選手を抜くタイミングを計っていたのですけど、最後は後ろから平川亮選手もすごいペースで来ていたので、変なタイミングでオーバーテイクシステム(OTS)を一度使うと、自分がOTSを使えないタイミングで抜かれてしまいます。それも踏まえて残り2周に勝負をかけようと思ってOTSも温存していたのですけど……周回数を勘違いしていて」
そう山下が発した瞬間、その場にいた記者たちは「え?」と聞き返してしまった。
「もう一周あると思ったら、チェッカーでした。ファイナルラップで坪井選手にすごく接近したと思うのですけど、あれを本当は1周前(40周目)にやろうと思っていたんです」
つまり、山下はOTSを温存しつつもプッシュして坪井に接近し、40周目に坪井にOTSを使用させることで、41周目のファイナルラップに自分がOTSを使い、坪井を攻略するつもりだったのだ。
「あとは今のタイヤが攻めるとすぐにオーバーヒートしてグリップが落ちるので、それも踏まえて残り2周で行こうとしていたら無線で『今ファイナルラップだよ』と言われて『え!?』って。チームは無線で残り周回数も言って、サインボードまで出していたのですけど……僕のすっとぼけというか」
前後1秒以内にライバルがいるなか、OTSの残量や使いどころやタイミングを図りつつの走りだった山下。まさに極限状態ゆえの勘違いだったのだろう。
「ダサかったです。(周回数を勘違いしなければ3位に)いけたと思いますし……気をつけます」
今季は富士での涙の3位表彰台も含めて、常に表彰台を争う戦いを続けている山下だが、「いつも速い3名くらいには0.2〜0.3秒くらいは及ばないので、勝つにはまだ足りないですね。4位、5位までは来れるのですけど、ここからは“何か”を見つけないとなという感じです」と語る。
「(一発もロングランも)改善すべき点、改善したい点はもう見えているのですけど、それをどういう方法でやれば直るのかがわからなくて。今週もそこを直すべく、いろいろやってみたのですけど、何も直らない。これかなって部分もいろいろあるし、引き続きSUGOでも試してみたいと思います」
■平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL) 決勝5位
8番グリッドからオープニングラップで10番手に後退も、最終的に5位でチェッカーを受けた平川は、「運が良かったですね。ぜんぜん遅かったです」とさっぱりとした口調で決勝を振り返った。
「スタートそのものは悪くはなかったのですけど、位置取りを失敗して、詰まっている内側に行ってしまい、1コーナーと3コーナーで外側から1台づつ抜かれたという感じでした」
ただその後は、ピットタイミングを30周目まで引っ張る作戦を敢行。ただこれも数ある作戦から選んだというわけではなく、「遅かったのでピットを引っ張るしかなかったです」と明かした。
レース中盤は大湯都史樹(TGM Grand Prix)の背中を追う展開となった平川。ただ、オーバーテイクには至らず。その理由を平川は「セクター3、特に上りのセクションが遅くて、セクター1とセクター2で追いつくのですけど、登りでついていけなくなり、ホームストレートも(最終コーナーから)出てくると離れているので、そこでも勝負はできなかったですね」と説明する。
ただ、そんな平川を救ったのが奇しくも大湯と阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)の接触に伴うセーフティカー(SC)導入だった。SCのタイミングでピットインを敢行した平川はレース再開後に、フレッシュタイヤで佐藤蓮(TCS NAKAJIMA RACING)、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)を続けて攻略し5番手に浮上。
4番手の山下の背中を捉えようかという位置まで辿り着くが、今度はオーバーテイクには至らず5位でチェッカー。平川は終盤の状況を「そこ(山下)に追いつくまででもうタイヤを使っていたので、その先は無理でした」と振り返り、また今季投入されたサステナブル素材を33%活用した新タイヤを「去年みたいな感じはまったくないですね」と評した。
なお、SFgoでも確認できるが平川は大湯の背後を走行中、大湯に語りかけるかのような場面があった。それについて平川は「ピットから『ペース上げて』と言われたのですけど、大湯に引っかかってるんだから『大湯頑張れ』って(意味で)言ったのです」と説明する。
「(大湯に引っかかったから)あのタイミングでピットへ入っても中途半端なので、仕方がなかったですね。前の大湯が速くなればそれについていけたので」
終盤までピットを先伸ばしにする作戦を取らざる負えなかっただけに、途中でピットに入るわけにもいかなかった平川の本心から出た言葉だったに違いない。