投稿日: 2023.05.25 22:44

ThreeBond Racing スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス レースレポート


スーパーフォーミュラ | ThreeBond Racing スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス レースレポート

連続ポイントから
更なる高みを目指して!!

 2023年度、全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズ第3大会(第4戦)が、5月20日(土)~21日(日)にかけて大分県のオートポリス・インターナショナルコースで開催された。第2戦、第3戦で連続してシリーズポイントを獲得したThree BondRacingは、走行中の症状を始め、マシンのパフォーマンスを更に引き上げるため、フロント及びリヤのサスペンションに新しい方向のセッティングを施し、オートポリスへ持ち込んだ。オートポリスでのレースはシーズンを通して1回のみでSF23が導入されて以来、初の走行機会にてレースウィークを迎えることとなった。

Round.4 公式予選

 公式予選の行われる20日(土)オートポリスには早朝まで雨が残ったが、午前中に予定されていたフリー走行が始まる頃には上がった。フリー走行を走り出した福住選手は、ラップタイムを短縮していく過程でマシンバランスに感覚的なズレを感じるようになり、90分間のセッ ションで7度のピットインを行ってセッティングの調整を繰り返したが、出走22台中21番手のラップタイムで走行を終えた。

 チームは公式予選に向けてバランスを調整するセッティングを施し、午後の公式予選Q1B組に福住選手を送り出した。セッションが赤旗で中断されるという波乱もあったが、福住選手は落ち着いてタイムアタックを行い、出走11台中5番手となるラップタイムを記録して公式予選Q2への進出を決めた。

 続くQ2では7分間で通常はコースイン後2周を使ってタイヤをウォームアップし1周のタイムアタックに入るところ、福住選手はウォームアップを1周で終え、2周目にタイムアタックを行うことに決めた。ウォームアップを2周すると、タイムアタック当初からタイヤがグリップするのに対して、コース後半はタイヤの消耗が進んでグリップ低下が起き始める。

 福住選手は敢えてウォームアップ不足を覚悟して早めにタイムアタックを開始し、コース後半でのペースアップを狙ったのだった。この作戦は功を奏し、福住選手はQ2セッション出走12台中5番手のタイムを叩き出し、スーパーフォーミュラ昇華以来、最上位のスターティンググリッドを獲得することとなった。

2023スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 福住仁嶺(ThreeBond Racing)
2023スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 福住仁嶺(ThreeBond Racing)

Round.4 決勝

 21日(日)は朝から晴天となり気温、路温とも上昇した。決勝レースは15時過ぎにスタートとなった。

 5番手スタートの福住選手は4番手の宮田莉朋選手に続き5番手のポジションを守ってレースを始めたが、徐々に宮田選手に引き離され、 6番手の山下健太選手に追いかけられる展開となった。チームは当初レース後半でのタイヤ交換を考えていたが、宮田選手に引き離されたことから戦略を変更、12周目に福住選手をピットへ呼び戻しタイヤ交換を行った。しかし、この間にすでにタイヤ交換を終えていた7番手スタートの牧野任祐選手が福住選手の前に進出、福住選手は見かけ上16番手、実質6番手でレースを再開することになった。

 福住選手は牧野選手を追いかけたが、後方からは11番手からスタートし、福住選手と同じタイミングでタイヤ交換を行った佐藤蓮選手が接近、24周目に先行を許したため福住選手のポジションは実質7番手へ後退した。

 レース後半、通常は燃料を消費してマシンが軽くなってくるとラップタイムが向上するところ、福住選手はフリー走行などでは感じなかったマシンの症状が徐々に大きくなってきたためペースを上げられず、守りのレースを強いられることになった。

 30周目、山下選手がタイヤ交換を行い、ベースが上げられなかった福住選手の前でレースに復帰したため、8番手に順位を落とした福住選手は、タイヤ消耗とマシンの跳ねに対処しながら後方から近づく山本尚貴選手を押さえ込むレースに徹した。その後、何とか粘りを見せ、8番手のポジションを守って41周のレースを走りきりチェッカーフラッグを受けた。

 この結果、3戦連続で選手権ポイントを獲得しシリーズポイントランキングで10番手につけた。

 シリーズ第4大会(第5戦)は、6月17日(土)~18日(日)、宮城県スポーツランドSUGOで開催される予定になっている。

2023スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 福住仁嶺(ThreeBond Racing)
2023スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 福住仁嶺(ThreeBond Racing)

ドライバー 福住仁嶺 コメント

「5番手スタートだったことを考えると8位フィニッシュは悔しいですが、ポイントを獲れて良かったです。レースペースという意味では今シーズン一番辛かったかもしれません。タイヤ交換のタイミングについては、チームに任せていましたが、思ったよりペースが上がらず渋滞を作ってしまっている状況だったので、『これは早めにピットインした方が良いのでは』と思っている時に、チームからコールがありました」

「それからタイヤを交換して、あとはポイントを獲るために踏ん張る展開になりました。予選も5番手にはなれましたが、コンディションがうまくマッチしたお陰だと思うので、何が良くて悪いのかをもっと明確に把握しないと先には進めないと感じています」

「ただ、今日のレースを通して何となく足りない部分が見えてきたように思います。昨年までポイントを獲ることに苦労していたチームがポイント獲得だけでは、みんな喜ばなくなってきています。この雰囲気は、チームが良い方向に進んでいる証拠です。追いかけられるレースは本当に疲れましたが、次のレースに向けて、今回のデータをしっかり分析して備えます」

2023スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 福住仁嶺(ThreeBond Racing)
2023スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 福住仁嶺(ThreeBond Racing)

監督 道上龍 コメント

「ようやくポイントが獲れるチームになってきたことが嬉しいです。今まではポイントが獲れない悔しさがあったのですが、今度は表彰台に上がれない悔しさが出てきました。これはチームにとってはすごく良い流れなのかなと思っています」

「今日のレースを振り返ると、タイヤを交換した後、一撃タイムの伸びしろ、決勝レースでのマシン症状解決などに課題が残りました。次のレースに向けて、マシンのセッティングは勿論ですが、課題に対して原因がどこにあるのか、エンジニアにデータを分析してもらって改善策を考えます」

「次のレース、フリー走行の時間を有意義に使って、そこでもう1歩前へ進みたいです。でも、このレースウィークはチームのみんなが良く頑張ってくれて、今までは踏ん張ることもできなかったかもしれないけど、ようやく踏ん張れるようになったと感じました」

ドライビングアドバイザー 塚越広大 コメント

「富士、鈴鹿とポイントを続けて獲得し、クルマのセットアップに関して目指す方向性が見えてきましたので、今回はもう一段階ポテンシャルを上げるために新しいアイテムを投入しました。ただ、走り出しはそれがあまり上手く行かず、予選に向けては富士、鈴鹿のデータからオートポリスに合う方向性を改めて考え直して、セッティングを調整し予選に臨みました」

「1ラップアタックは、福住選手が『やりたい』と言っていたので、ちょっと迷ったのですが、福住選手の感性は他の選手に比べても優れていますから、それを信じて任せました。結果、上手く走ってくれて5番手という結果が残りましたので素晴らしい判断でした」

「決勝では、自分たちのポテンシャルが今ひとつ足りておらず、前に行くための積極的な戦略が取れなかったので、守りのレースになってしまいました。ただ、そのなかでも最後まで福住選手が粘って8位で帰ってきてくれて、貴重なポイントが獲れました。チームとして、まだ課題があるにしてもアベレージとしては良くなっていると思います。とはいえ、更にポテンシャルを上げなければ大きな壁の向こうには行けないので、しっかり見直して次のレースに臨みます」

チーフエンジニア 伊与木仁 コメント

「レース中のタイヤ交換については、オートポリスでテストができなかったのでタイヤがどれだけ保つのか分からず、早めの交換には不安がありました。そんな状況から前後のクルマの出方を観察していると、牧野選手が早めにタイヤ交換をしてからは非常に速いペースで走り出していたので、これでは前に行かれてしまうと思って早期ピットインを決断しました」

「しかし、結果的には前に行かれてしまいました。レース後半にクルマが軽くなったら、本来はペースがもっと上がるはずなのですが、今回は軽くなった時に、少しネガティヴな症状が出てしまいペースを上げることができませんでした。この問題は、以前からの症状で、そこを改善するため今回も対応したセッティングにしたつもりですが想像以上に足りませんでした。原因には思い当たるところもありますが、そこを変えると良いところも出れば悪いところも出たりするので非常に難しいところです。次のレースに向けてより良い状態を模索して追求します」


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