更新日: 2023.06.21 10:44
横浜ゴム 2023スーパーフォーミュラ第5戦SUGO レースレポート
5周目に入るところでSCが隊列を離れリスタート。トップの大湯選手はポジションを守ったまま周回し、これに宮田選手、坪井選手、ローソン選手、牧野選手が続く。周回数が10周を数えピットウインドウが開くと、上位陣で真っ先にタイヤ交換に向かったのは牧野選手。その翌周には野尻選手がタイヤ交換を行い、牧野選手の前でコース復帰に成功した。
ちょうどこの時、トップ争いにも動きが出る。最終コーナーでオーバーテイクシステムを使ってパワーアップした宮田選手が、ホームストレートでアウト側から一気に大湯選手をオーバーテイク。これでトップに浮上する。
大湯選手はややペースが落ちてきたのか、翌周には坪井選手にもとらえられる。なんとかブロックしようとしたものの、やや体勢を崩して1コーナーでオーバーラン。コースに戻ってきたが8番手までポジションを落としてしまった。大湯選手はその後15周目にタイヤ交換でピットインし挽回を目指したものの、マシントラブルで再びピットイン。そのままガレージに入りリタイアとなってしまった。
大湯選手をかわしてトップに立った宮田選手は、17周を終えたところでピットイン。すでにタイヤ交換を済ませている野尻選手をターゲットに動き、チームも素早い交換作業で宮田選手をコースへ送り出す。宮田選手のタイヤが冷えている間にとらえたい野尻選手は猛プッシュで接近し、最終コーナーからテールトゥノーズバトルに。
1コーナーでイン側を守った宮田選手はそのまま2コーナーまで野尻選手の鼻先を抑えポジションを死守。ここまででタイヤにも熱が入りペースを取り戻した宮田選手は、少しずつ野尻選手を引き離していった。
この時点で見た目上のトップは坪井選手。その背後にローソン選手が着け、山下選手、平川選手と続いていた。ただし、すでにタイヤ交換を済ませたグループよりもペースが遅いため、坪井選手と宮田選手の差は徐々に縮まってくる。
坪井選手はピットインのタイミングを35周終了のところまで引っ張りピットイン。すでにこの時点で宮田選手とは12秒差しかなく、トップで戻ることはかなわずに9番手でコースに復帰となってしまった。
坪井選手に蓋をされている形だったローソン選手はここからペースアップし宮田選手とのギャップを広げようとするが、残り周回数も少なく、41周終了のところでピットへ入り、7番手でのコース復帰となった。
これで名実ともにトップに返り咲いた宮田選手は、後続が1分10秒台のラップタイムで周回するなか、1秒近く速いラップタイムを連発。
気づけば野尻選手に対して22秒という大きな差をつけてトップチェッカーを受けた。宮田選手は第3戦鈴鹿大会に続きシーズン2勝目をマーク。予選ポイントも合わせ大量得点を稼ぎ、シリーズランキングでもローソン選手を逆転してトップに浮上した。
2位には復帰戦となる野尻選手が入り、3位は牧野選手。4位には、終盤にフレッシュタイヤに履き替え怒涛の追い上げを見せたローソン選手を抑え切った大嶋和也選手(docomo business ROOKIE)が入った。
■宮田莉朋選手(VANTELIN TEAM TOM’S)【今回の成績:優勝】
「初めてスタートで順位を落とさずに1コーナーに入ることができました。リスタート後に大湯選手を捕まえてトップに立てたことも良かったです。昨年はピット作業でロスがあって悔しい思いをしたのですが、今回はメカニックさんたちの作業も早く、去年の雪辱も果たせました」
「こんなにいい流れでシーズンを進められると思っていなかったので驚いている部分もありますが、ずっとチームと一緒にやってきたことが結果に結びついている証拠なので、これからもベストを尽くしていきます」
■坂入将太[横浜ゴム タイヤ製品開発本部 MST 開発部 技術開発 2グループ]
「今回宮田選手の速さは圧倒的でしたね。鈴鹿、オートポリスでも同様にロングランで非常に安定したペースで走行していましたので、今年の車両とタイヤの組み合わせにおいて決勝の走らせ方を最も詰められているのが TEAM TOM’Sと宮田選手なのかもしれません」
「一方、今回惜しくも5位となってしまったローソン選手も、いつもタイヤのマイレージを全く感じさせない走りをされていますね。ロングランでタイムを落とさないのはもちろんですが、アウトラップでのウォームアップの早さもローソン選手の強さだと思います。残念ながら今回はオーバーテイクの難しいSUGOで前方の車両に引っ掛かり苦戦している場面もあり、本来の速さを見せられない悔しいレースになってしまったと思います」
「次戦は今シーズン2回目の富士となりますが、今年はその前に公式テストが組まれていることもあり、これまでで最も各チームの車両のセットアップとドライバーの習熟度が高まった状態でのレースになると思います。全車拮抗した目が離せないレース展開になることを楽しみにしています」
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