──たとえば、ここスーパーフォーミュラに出場しているドライバーが、IMSAやインディカーに出るようになれば我々日本人としては面白いのですが、そういった可能性はありますか?
DS:もちろん、ここには才能に溢れたドライバーがたくさんいると思います。ただ、(IMSAなどの)スポーツカーのレベルは、非常に高い。プロフェッショナルな、ワールドクラスのスポーツカードライバーでなければ務まりません。ポルシェ、キャデラック、BMW、アキュラなどで、とてもハイレベルな戦いが繰り広げられています。スポーツカーレースでは、(異なるクラスの)トラフィックの経験も必要です。すべてのラップでそれが必要ですから、ワールドクラスのトップドライバーが必要なのです。もちろん、才能があるドライバーならば、どんなレースでも活躍はできるはずですが。
──ところで、今年のル・マン24時間はご覧になりましたか?
DS:ええ。(ハイパーカーが)4ワイドになったりして、インディ500を見ているかと思いましたよ(笑)。ハイブリッドを搭載したトップカテゴリーで、さまざまなマニュファクチャラーが首位に立つ場面がありましたし、ファンにとっては非常に良いものだったと思います。バトルがあるというのが良かったですし、素晴らしいレースに見えました。
──トヨタからWECに出場している小林可夢偉選手や平川亮選手もこのスーパーフォーミュラに参戦していますが、彼らよりも成績が上のドライバーもここにはいます。そういったドライバーたちが、佐藤琢磨選手のようにアメリカや世界で活躍するところを見てみたい、とも思うのですが。
DS:オーケー、理解しました(笑)。もちろん(その決定には)参戦チームや機会、予算やスポンサーといったものがすべて関わります。(日本人ドライバーの)才能はとてもあると思いますので、そのレベルを拝見できたということは、今回こちらに来て非常に良かったと思っています。
──すでにウェイン・テイラー・レーシングは来季2台目のARX-06を投入すると発表済みですが、HPDとして今後さらに台数を拡大してくような計画、あるいはWECにも進出するような計画はありますか。
DS:さぁ、どうでしょうね(笑)。IMSA、ACO、FIA WECというオーガナイザーのおかげで、(ハイパーカー/GTPは)とてもいいカテゴリーになっていると思います。ただ、これはホンダとアキュラの内部での、ビジネスとして成立するかという議論になります。
もちろん、私個人の意見はありますし、希望もありますけどね。HPDとして一番大事なのは、IMSAで活躍すること。まずはそこでいい結果を出すことが重要で、その先はホンダの戦略がどう進むか次第です。私の仕事上の責任はまずIMSAですから、そこに集中して頑張りたいと思います。
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WECをめぐるソルターズ氏の発言はこれまでと同様、慎重なものに終始したが、日本のレースのエンジニアリングやドライバーのレベルの高さについては、今回の来日で少なからぬ発見があったのではないだろうか。
願わくば、『トラフィックのあるレース』として、ぜひスーパーGTにも視察に訪れてもらい、世界トップレベルのスポーカーレースにも通用する、日本のドライバーの技量の高さを感じてもらえる機会があれば幸いだ。
通訳協力:伊藤ソニア
