更新日: 2023.08.23 13:18
ThreeBond Racing スーパーフォーミュラ第7戦もてぎ レースレポート
噛み合わない週末…
2023年度全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズ第6大会(第7戦)が、8月19日(土)~20日(日)にかけて栃木県のモビリティリゾートもてぎで開催され、福住仁嶺選手が出走した。
もてぎでスーパーフォーミュラ公式戦が開催されるのは、昨年8月以来ほぼ1年ぶりのこと。今シーズンは新型車両SF23が導入されたが事前テストの機会は設けられず、実走データはないままだ。チームはサスペンションに一部これまでとは異なるアイテムを組み込み、もてぎ用持ち込みセッティングをまとめ、レースウィークに臨んだ。
Round.7 公式予選
快晴の空から照りつける太陽の下、午前9時20分から90分間のフリー走行セッションが始まった。
チームは、もてぎでのレースに備えて投入したサスペンションの新アイテムを含め、セッティングを確かめるためピットインを繰り返した。セッティングチェックのためのメニューを予定通り消化し、セッション終了直前にニュータイヤを用い、予選タイムアタックのシミュレーションを行った。しかし、コース上で同様のシミュレーションを行う他車のトラフィックに引っかかってしまい、時間切れに。福住選手はタイムアタックのシミュレーションをすることができないまま、フリー走行を終えてしまった。
気温は30℃を超え、路温は45℃に達するという過酷なコンディションの中、午後2時50分から公式予選が始まった。
福住選手はフリー走行で感じたグリップ不足を改善するためセッティングを大幅に変更し公式予選Q1B組に出走。アタックを行ったが、タイムはトップから1秒284差の11番手に終わり、Q2進出はならなかった。
この結果、福住選手のスターティンググリッドは21番手と決まった。
Round.7 決勝
翌20日(日)もモビリティリゾートもてぎは朝から猛暑に包まれたが、予報では午後に天候が悪化し降雨の可能性も示唆される中、決勝レースが始まった。
スタート合図と共に21番手の福住選手はコースアウト側に進路を取って加速、うまくオーバーテイクをして1コーナー、2コーナーをアウトから抜けた。
前方では先頭争いをしていたリアム・ローソン選手がスピンし、イン側を走っていた選手が追突する形でアクシデントが発生。福住選手はアウト側からこの混乱もうまく切り抜け、11番手まで順位を上げた。そしてここでレースは赤旗で中断となった。
福住選手は4周目からレースが再開されると、オーバーテイクシステムを使って後続からの追い上げを突き放し、8周目には上位車両がレースから脱落したためポジションをさらに上げ、シリーズポイント獲得圏内の10番手に進出した。
チームは、赤旗でレースが中断していた間のロスタイムはレース時間に含まれると解釈。レースは、当初予定の37周を消化してフィニッシュする周回レースではなく、スタートから75分間経過後に打ち切られる時間レースになると判断。早めのタイヤ交換を行ってポジションを守る作戦を選んで、10周走行後に福住選手をピットに呼び入れタイヤ交換を行った。
ところがこのときジャッキのアップダウンとタイヤ交換のタイミングが合わず、予定以上の時間がかかってコースに復帰した福住選手の順位は大きく後退してしまった。レースに復帰した福住選手は、ペースが上がらない苦しい走りながら、後続のオーバーテイクを押さえ込んで周回を続け14位で37周を走りきってチェッカーフラッグを受けた。惜しくもポイントの獲得はならず、福住選手のシリーズポイントランキングは16番手となった。
シリーズ最終第7大会(第8戦及び第9戦)は、10月28日(土)~ 29日(日)、三重県鈴鹿サーキットで開催される予定だ。
●ドライバー 福住仁嶺コメント
「辛い週末でした。今シーズン、これほど噛み合わないレースはありませんでした。グリップが全くなくてバランス以前の状況で、チームといろいろ対策をしましたが、何ひとつ変わらず原因がはっきりしないままで終わってしまいました。決勝レース1周目のアクシデントには巻き込まれなくて済んで本当に助かりました」
「オープニングラップで前に出られたので、再開後のレースでは必死に後ろを押さえましたが、ピット作業でミスがあり後ろに下がってしまい、そこからはもうペースが上がらなくなってレースを終えました。こんな状況でレースを終えてすごく悔しいですけれど、悔しいのはチーム全員同じだと思うので、最終大会まで少し時間が空きますが、絶対に諦めず次までに気持ちを切り替えて、クルマをなんとか良くして頑張ります」
●監督 道上龍コメント
「今シーズンは予選でそこそこ行けるようになってきましたし、あとは決勝のペースがどうにかならないかと思って今週末を迎えたのですが、予選も決勝も同じ状況のまま終わってしまいました。クルマをなんとか良い方向へ持っていこうと結構大きく動かしましたが、全く改善の方向へ行かずなんだか迷宮入りしてしまったような気分です」
「レースではスタートで10番手近くまで順位が上がったので、もてぎはオーバーテイクしにくいサーキットなので多少ペースが上がらなくても抑えきってポイントを獲得できるかもしれないと思っていました」
「ただ、時間レースではなく周回レースのままにするというアナウンスが急にあって、戦略を立て直さなくてはならなくなったうえ、タイヤ交換でミスして結局順位を落としてしまいました。今週は、全てが悪い方向に行ってしまいました。最終大会まで2カ月弱ありますから、良い形で終えて2024年に繋げられるよう頑張ります」
●ドライビングアドバイザー 塚越広大コメント
「うまく行かない週末でした。なんとか挽回しようといろんなことやりましたが、改善することができないまま終わってしまいました。レースに関しては、福住選手がすごく良いスタートを切ってくれてアクシデントもすり抜けて、与えられた環境の中ではベストを尽くしてくれたと思います」
「ただ、その後思うようにペースが上げられなかったのは事実なので悔しいです。最終大会の鈴鹿は1回走っているコースでもありますし、2カ月もインターバルがあるので、どういう状況で臨むかを良く考えて決めていきたいと思います。このままシーズンを終わるわけには行きませんから、しっかり上位でゴールできるようにします」
●チーフエンジニア 伊与木仁コメント
「今回は、前回の富士の延長ではなく、リアに新しいジオメトリーを試しましたが、ほんのちょっと安定したかな程度の感度しかなく、走り出しから周りのクルマとのタイム差が今シーズン前半よりも広がってしまうという状態に陥ってしまいました。決勝レースに向けてはかなりの大幅なセッティング変更をしたものの、結局は何も変わりませんでした」
「SF23になってから初めてもてぎを走りましたが、去年はSF19で走ってそれなりのペースで走れていたのに、SF23では何をやっても状況が変わらないので、道上監督は「何か見えないところが壊れているんじゃないのか」とも言いますけど、クルマを交換するわけにも行きませんから今の状態でなんとか戦うようにするしかありません。残り1大会、2カ月悩んでみます」