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投稿日: 2023.11.11 04:01
更新日: 2023.11.11 04:02

apr GR86 GT 2023スーパーGT第8戦もてぎ レースレポート


スーパーGT | apr GR86 GT 2023スーパーGT第8戦もてぎ レースレポート

2023 AUTOBACS SUPER GT Round 8 MOTEGI
開催地:モビリティリゾートもてぎ(栃木県)/4.801km
11月4日(予選)
天候:曇り コースコンディション:ドライ 観客数:1万5600人
11月5日(決勝)
天候:曇り一時雨 コースコンディション:ドライ一時ウエット 観客数:3万人

想定外の低温に苦しんだ最終戦。トラブルにも見舞われるも、しっかり完走を果たす

 早いものでスーパーGTは、もう最終戦を迎えることとなった。シリーズ第8戦の舞台、モビリティリゾートもてぎはストップ&ゴーが繰り返されるレイアウトで知られ、タイヤには比較的優しいとされる一方で、ブレーキを徹底的に痛めつけるサーキットでもある。下り勾配のバックストレートエンドにある90度コーナーでは、ブレーキローターが真っ赤に染まる光景が見られたりもする。

 今年もaprは2台体制で臨み、トヨタGR86を30号車として走らせる。投入から2シーズン目となるapr GR86 GTは、ドライバーに永井宏明選手、織戸学選手、上村優太選手、小河諒選手の4名を登録。今回は300kmレースとあって、永井選手と織戸選手の2名で戦う。使用するタイヤはヨコハマだ。

 前回のオートポリスでは、悲願の予選Q1突破をあと一歩のところで果たせず、18番手からの決勝スタートとなるも、低い温度が持ち込んでいたタイヤが最後まで機能できずじまい。それでも予選より必ず順位を上げる鉄則はかなえて、16位でチェッカーを受けていた。

 もちろん、満足できる結果ではない。だからこそ、今季最後の戦いで確固たる結果を残し、清々しい気持ちでシーズンを終えたいところだ。

公式練習11月4日(土)9:25~11:00

 11月になっただけに、極めて寒いレースウイークになると思われたが、こと土曜日に関しては拍子抜けするぐらい穏やかなコンディションとなっていた。公式練習開始時の気温は15度、路面温度は18度。このところの気象を考慮してはいたものの、想定の範囲外だった。

 今回、apr GR86 GTを最初に走らせたのは織戸選手。走行開始と同時にピットを離れるもチェックに留め、すぐにピットイン。最初のセット変更が行われる。その後、スピードチェックが実施されるも、1分48秒832ではまだまだ。持ち込んだタイヤとセットの最適化を図るべく、セットアップは普段以上に入念に行われ、織戸選手もまたドライビングで試行錯誤していた。

 およそ残り1時間となったところで、永井選手の走行が開始される。改めたセットの確認から始め、終盤にはロングをかけることに。1分50秒台をコンスタントに記録し、その最中に1分50秒310を永井選手は記録する。そしてラスト10分のGT300クラス専有走行では、予選シミュレーションも行なった永井選手ながら、このころには気温は21度、路面温度は30度(!)にまで達しており、とてもアタックに適した状態ではなく、1分51秒255を記すに留まっていた。

 最終的な公式練習の順位は21番手。この後に行われたFCY(フルコースイエロー)テストでも織戸選手が積極的に走り、予選に向けたチェックを最後まで行っていた。

公式予選Q1 11月4日(土)14:38~14:38

 今回もB組から予選に臨むapr GR86 GTは、織戸選手がQ1を担当した。気温は23度、路面温度は29度。公式練習でもそうだったが、11月としてはありえないコンディションだ。それでも、行くしかない、そう胸に秘めつつ織戸選手がQ1に挑んだのは想像に余りある。

 アタックは計測3周目から。本来ならば、もう1周加えたいところだが、計測はわずか10分間。それではタイムアップとなってしまう。まずは1分48秒133を記録し、さらにもう1周。1分47秒883にまで短縮を果たした織戸選手だったが、ボーダーラインにはコンマ5秒届かず。11番手に留まり、Q2進出はまたしても果たせなかった。

永井宏明選手

「Q2走りたかったですけど、公式練習の走り出しから、このコースではアンダーステアが強くて。そこを予選までに修正できなかったので、織戸さんもQ1苦しかったようです。決勝のセットを再度見直し、上を目指しやり切るしかない。頑張って走ります」

織戸学選手

「すごく予選までにクルマをいろいろやっていただいて、雰囲気は悪くありませんでしたが、ちょっと足りなかった。タイム的には良くなったけど、もう1ステージ、上に行かないと……。もうちょっとですね。僕の問題もありますけど。もうちょっと……、決勝で頑張ります」

金曽裕人監督

「どうにも参戦台数の問題から、タイヤキャラクターが、JAF車両(GTA-GT300車両)よりGT3方向になっている傾向が高いのかもしれず。だから、いろいろとセットアップを試しても、バランスは出ても1発が出ないところを、非常に苦戦しています。シャシーバランスは全然悪くないし、ドライバーは気持ちよく走っているのに、速くないという現象。それに加えて路面温度も影響し、絶対的なグリップ量が足りていないというのが実情です。JAF車両のキャラクターにぴったりなものが見つけられない……」

「シーズン途中に同じヨコハマ勢のJAF車両が、2台いなくなったのは非常に痛いです。だから明日は確実なレースをやって、来年につながるデータをしっかり取りたい。急に背伸びしても何も出てこないので、まずしっかり走りきろうよ。お客さんの前でチェッカー受けようよと。来年の成績のために何が明日のレースでできる、というのをやるつもりです」

決勝レース(63周) 11月5日(日)13:00~

 今回は久々に織戸選手がスタートを担当。ウォームアップも織戸選手が終始走行し、決勝に向けて最終チェックを行うが、その間記したベストタイムは1分52秒166。状態が異なるとはいえ、トップは1分47秒台を記していたため、一抹の不安は残しもした。しかも、下がって欲しい気温は23度、路面温度に至っては28度と、依然として高いままだった。唯一の希望としては、スタート直前になって雲が浮かぶようになって、日差しを遮り始めたこと。しかし、その雲は後にレース展開にも影響を及ぼすことともなった。

 21番手からスタートを切ったapr GR86 GTは、オープニングラップのうちにひとつ順位を上げる。しばらくは淡々と走り続けるしかなかったが、そんななか、4周目あたりから1コーナー付近で雨が降り始める。これを好機と織戸選手は前を行く車両を攻め出すも、どうやら通り雨だったよう。間もなく病んでしまう。だが、この雨で路面温度は下がり、まさにチャンスは一歩ずつ近づいていた。

 だが、そう感じさせたのも束の間、10周目のホームストレートをapr GR86 GTがペースを落として通り過ぎていくではないか! 次の周にはピットに戻ってくる。ミッショントラブルのようだ。しかし、誰も諦めようとはしない。メカニックの懸命の修復によって、トップから7周遅れとはなったが、レース復帰が許されることに。もはや勝ち負けはどうにもならないが、この遅れであれば完走扱いにはなる。

 織戸選手は25周目に永井選手と交代。チェッカーまでの周回で永井選手は、織戸選手と遜色ないタイムで走っていただけに、何事もない状態で渡してあげたかったというのが、本当のところだ。ゴール間際にはまた雨が降り始めたが、apr GR86 GTはしっかりコース上に留まって周回を重ね、51周を走破。23位でフィニッシュとなった。

永井宏明選手

「マシントラブルでピットインが⾧くなってしまって、余分に入っちゃったので、勝負にはなりませんでした。クルマのバランス的にもアンダーステアがそのまま直らず、いいところなく最終戦終わってしまいましたが、反省会して来シーズンに向けて、いい車作りをしたいと思います。なんとか完走はしたので、良かったと思います」

織戸学選手

「ミッションのエアーシフターのコンプレッサトラブル。なんとも対応できませんでした、そのままのペースで走るには、厳しかったです。直してくれて、最後まで走れ完走はできましたが、これで1年終わりました。なかなか厳しい1年でしたが、この先のためにも苦しい時期は必ずあるので、しょうがない。課題は見えてますので、先ずはオフシーズンにそこを解決して、開幕戦からパフォーマンスを上げていきたいです」

金曽裕人監督

「シフターのコンプレッサーが壊れて、エアが供給できなくなって、シフトができなくなってしまいました。製品の問題で、事例の無いトラブルでもあり仕方がなかった。諦めず最小限のロスでメカニックも頑張り交換し完走ポイントは取れました。早々にクラッシュに巻き込まれリタイアした去年のことを思えば、しっかりデータも取れチェッカーまで走れているので、良しとします」

「今年の秋口から課題はすでに見えていて、オフシーズン中にクルマのセットとともに、タイヤメーカーさんとリンクして一緒に車を育てることに集中したいと思います。今年はドライバーに大変苦労をかけて、申し訳ありませんとしか言えませんが、来年は見ていてください。必ず期待に応えてみせます!」

2023スーパーGT第8戦もてぎ apr GR86 GT(永井宏明/織戸学)
2023スーパーGT第8戦もてぎ apr GR86 GT(永井宏明/織戸学)


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