更新日: 2024.04.16 16:46
ホンダ 2024スーパーGT第1戦岡山 レースレポート
ニューマシンのデビュー戦でSTANLEY CIVIC TYPE R-GTが3位表彰台
4月13日(土)、14日(日)に岡山国際サーキット(岡山県)で2024年のスーパーGTシリーズ第1戦が開催され、GT500クラスに5台の2024年型CIVIC TYPE R-GT、GT300クラスに1台のNSX GT3が出走しました。
今シーズン、HRCはGT500クラスの車両のベースをCIVIC TYPE Rに変更し、CIVIC TYPE R-GTを新たに開発してシリーズに投入しました。
また、ドライバーの布陣も100号車STANLEY CIVIC TYPE R-GTの山本尚貴/牧野任祐組以外のコンビが大きく変わり、8号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8は野尻智紀/松下信治組、17号車Astemo CIVIC TYPE R-GTは塚越広大/太田格之進組、64号車Modulo CIVIC TYPE R-GTは伊沢拓也/大草りき組、昨年シリーズ最終戦までチャンピオン争いに加わった16号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16は大津弘樹/佐藤蓮組となりました。
今シーズン、新たに開発されたCIVIC TYPE R-GTのエンジン、シャシー、サスペンションなど基本コンポーネントは、昨年のNSX-GTから引き継いでいます。ただし、ボディの形状が大きく変わったので、車両から最大のパフォーマンスを引き出すためのセッティングを見直す必要があり、開幕前に実施された合同テストで熟成が進められました。
13日(土)は薄い雲が広がるものの晴天となって、気温と路面温度が上昇する中で公式予選が行われました。今シーズンより持ち込みタイヤが4セットまでに制限されるとともに、予選順位がQ1セッションとQ2セッションのタイムを合算して決定するなど、競技規則も一部見直されました。
Q1、Q2の各セッションの結果、100号車STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本/牧野)がCIVIC TYPE R-GT勢最上位の3番手に食い込みましたが、それを上回るペースでタイムアタックをしていた8号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8 (野尻/松下)はコース終盤にオーバーランし、タイムが抹消されてピットから最後尾スタートに。16号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16(大津/佐藤)は8番手、17号車Astemo CIVIC TYPE R-GT(塚越/太田)が10番手、64号車Modulo CIVIC TYPE R-GT(伊沢/大草)が13番手につけて決勝レースを迎えることとなりました。
14日(日)も好天となり、13時30分、82周300kmの決勝レースがスタート。3番手スタートの100号車 STANLEY CIVIC TYPE R-GT(牧野)は自分のポジションを守ってレースを始めました。
1周目にアクシデントがあり、GT500クラスの中団で接触事故が発生。コース上に停止した車両を避けきれなかった17号車Astemo CIVIC TYPE R-GT(太田)は、フロント部分を破損し冷却水が漏れ出したため、その時点でレースを終えました。レースに介入したセーフティカーは7周でコースから退出し、レースは8周目から再開されました。
100号車STANLEY CIVIC TYPE R-GT(牧野)は前を走る39号車に迫りましたが、オーバーテイクには至りませんでした。その後、17周目のアトウッドカーブで後方から接近してきた38号車にスキを突かれて、逆にポジションを4番手に落としてしまいました。
レース距離の3分の1を過ぎた29周目、100号車STANLEY CIVIC TYPE R-GT(牧野)は38号車と同じタイミングでピットインし、給油およびタイヤ交換を行いました。チームメイトの山本がマシンを引き継ぎ、ピット作業でロスタイムを短縮して38号車よりも前でコースへ復帰。3番手のポジションを取り返しました。
その後、100号車STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本)は後続の38号車を引き離し、2番手の39号車に迫りました。何度もテール・トゥ・ノーズまでは接近したものの、ポジションを入れ替えることはできず、3番手のまま周回を重ねることとなりました。
100号車 STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本)はそのまま残り周回を走りきり、2位の39号車から1秒251差の3位でチェッカーフラッグを受け、CIVIC TYPE R-GTのデビュー戦で表彰台に上がりました。8位にはピットスタートとなった8号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8(野尻/松下)、9位に16号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16(大津/佐藤)、10位に64号車Modulo CIVIC TYPE R-GT(伊沢/大草)が入賞し、それぞれ選手権ポイントを獲得しました。
佐伯昌浩(HRC SGT Large Project Leader)
「今日はもう少し苦しい戦いになると予想していましたが、100号車が予選順位をキープして、しっかり表彰台に上がれたので安心しました。まだ熟成が足りていない状況ですので、まずは5台完走を目指しましたが、残念なアクシデントもあって17号車はレースから脱落してしまいました。しかし、残る4台がポイント圏内でレースを走りきり、いいデータが取れました。これを利用しながら、次のレースに活かしていきたいと思います。ホモロゲーション(車両形式登録)の期限ギリギリまで性能向上を目指してアップデートを重ねていたため、まだ手探りしている段階でもあります。早くこうした状態を解消して、予選から前に並んで戦えるように準備を進めます」
山本尚貴(STANLEY TEAM KUNIMITSU)
「CIVIC TYPE R-GTのデビュー戦で表彰台に上がれてよかったです。(熟成)テストではつらい思いもしましたが、この週末は予選で3番手に入れました。決勝も単独で走っていれば、結構いいペースでした。チームの力、エンジニアリングの力に感謝します。また、牧野選手はひとつポジションを落としてしまいましたが、前から離されることなくピットへ戻ってきてくれました」
「そこからのピット作業でメカニックさんたちが頑張ってくれて、完ぺきだったので38号車の前に出られました。チームで勝ち取った3位だと思います。タイヤのコンディション的には自分に分があったようには感じますが、レギュレーションで車高が上がったせいなのか、前の車に近づくとダウンフォースが抜けてしまい、結局前に出られずドライバーとしては悔しかったです
牧野任祐(STANLEY TEAM KUNIMITSU)
「岡山と富士の公式テストを体調不良で欠場することになり、ひさびさのスーパーGTでした。私のスティントも、山本選手のスティントも、ずっと前を追いかけながら何か決め手に欠ける感じでオーバーテイクすることができず厳しい状況でしたが、さらによくできる部分もあると感じました。まずはCIVIC TYPE R-GTの初表彰台を、私たちのチームで獲得できたのでよかったと思います。次はちゃんと初優勝できるように頑張ります」