Shinnosuke Ohta

 スタートから1時間、レース3分の1経過を前に空模様も見つつの判断ながら、30周目突入で36号車au TOM’S GR Supraが動き、坪井翔のダブルを選択したTOM’Sが同時ピットで名取鉄平にスイッチした24号車リアライズに先行。続く31周目で1時間が経過すると、ここで上位勢も続々とピットインを決断する。

 ひと足早く33周目に大嶋和也に交代していた14号車ENEOS X PRIMに対し、続く34周目に首位の37号車Deloitteも反応。ここでも笹原右京のダブルスティントとしたTOM’Sがひとまず14号車のアンダーカットを阻止する。

 背後の3番手では16号車ARTAがポジションを取り戻し、対象的に38号車KeePerは12号車MARELLIばかりか36号車auにも先行を許すと、40周目には24号車リアライズ名取にもオーバーテイクされ、ペースの上げられない厳しい戦いを強いられる。

 するとその直後、41周目のシケイン進入で8号車ARTAとのブレーキング勝負に挑んだ23号車MOTUL AUTECHの千代勝正が、33周目にクインタレッリから引き継いでいたマシンを止め切れず38号車に追突。これでKeePer CERUMO GR Supraのリヤカウルが大破して散乱し、ここでFCY(フルコース・イエロー)が発動する。

 ピットクローズの前段階で38号車はマシン修復のためエントリーにマシンを向け、続く43周目の再開以降、折り返し点となる1時間半を目前としたところで、今度は8号車ARTAの野尻智紀がスローダウン。ここで2戦連続のトラブルに見舞われ失意のなかマシンをガレージへと戻すことに。

 46周目には17号車Astemo CIVIC TYPE R-GTのセカンドスティント担当、太田格之進にオーバーテイクを許した23号車MOTULは、50周経過でドライブスルーペナルティを課され、直後にはGT300のトラブルで2度目のFCYが介入する。

 中間スティントを通じて秒差圏内のバトルを展開してきた首位攻防は、このカウントダウンで14号車ENEOSの大嶋がブレーキングでロックを喫する場面もありつつ、そのままレースは残り1時間の終盤戦へ。

■オーバーカットで前に出たENEOS X PRIME GR Supraだったが……

 先に動いたのはセオリーとは異なり首位の37号車で、61周目に38秒ジャストの作業静止時間で笹原からジュリアーノ・アレジへ。対してここから2周、トラック上でスパートを見せた14号車ENEOSは大嶋がマージンを稼ぎ出すことに成功。63周目に38.6秒の静止時間で逆転し、ふたたび福住にラストスティントを託す。

 しかしこの際、同じ周回でピットレーンへ飛び込んできた100号車STANLEY CIVIC TYPE R-GTがファストレーンにいる状況でピットを離れた14号車は、まさかのアンセーフリリースを受けることになり、70周を前に無念のドライブスルー・ペナルティを消化することに。66周目から2周連続の1分50秒切りでファステストラップを更新した12号車MARELLIの前、4番手から仕切り直しの追い上げを強いられる。

 これで上位は首位を取り戻した37号車Deloitteのアレジに16号車ARTAの大津、そして3番手には36号車auの山下のトップ3へと変わり、開幕勝利も含めすでに62kgのSWを搭載するチャンピオンが、しぶとく表彰台圏内まで進出してくる。

 しかし燃料リストリクター1ランクダウンのパワーでは追走する14号車のスピードには抗えず。72周目のバックストレートでは福住がポディウム圏内に復帰し、残り30分を目前に首位までのギャップは14秒と、諦めることなく前を追う姿勢を見せる。

 勢いそのまま2番手の16号車ARTAに迫った福住は、78周目のシケイン飛び込みでインをズバリ。昨季のチームメイトである大津を差し切り、これで2番手とする。

 しかし首位アレジも追走する背後のタイムに反応する力走を見せ、約10秒のマージンを削らせない走りでファイナルラップへ。最終的に92周を走破した37号車Deloitteのふたりが、待望のGT500初優勝をポール・トゥ・ウインで飾る結末に。

 最後の最後まで首位を追いかけ続けた14号車ENEOSが2位に入り、これでトヨタ陣営が“鬼門”鈴鹿でワン・ツー・フィニッシュを達成。3位に16号車ARTAが続く表彰台となった。その背後では、ともに最終盤でのポジションチェンジを成し遂げた2台、12号車MARELLIがチャンピオンの36号車auを86周目に仕留め4位に。

 そして陣営内バトルを繰り広げた100号車STANLEYの山本尚貴と17号車Astemo太田の勝負は、ファイナルラップで先輩を差し切った太田に軍配が上がり、予選Q2のスピンオフで最後尾スタートに回りながら手負いのタイヤで追い上げ殊勲の6位カムバックとしている。

2024年スーパーGT第3戦鈴鹿サーキット決勝 Deloitte TOM'S GR Supra
スーパーGT500クラスで初優勝を飾った笹原右京とジュリアーノ・アレジ(Deloitte TOM’S GR Supra)

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