更新日: 2024.06.03 02:56
Team LeMans 2024スーパーGT第3戦鈴鹿 決勝レポート
2024 SUPER GT Round3,SUZUKA GT 3HOURS RACE
チームが一丸となって戦い、勝ち得た3位。
新車フェラーリ296 GT3での国内初表彰台をゲット!
■6月2日(決勝)
鈴鹿サーキットで開催された2024 AUTOBACS SUPER GT Round3『SUZUKA GT 3HOURS RACE』は、決勝スタート前に雨が降り出し、ウエット宣言が出されたものの、ウォームアップ走行が終わるころには晴れ間が見え始め、決勝スタート時にはほぼドライ状況に戻るという、悩ましいコンディションでのレースとなりました。
12時から20分間のウォームアップ走行が始まるころに雨が路面を濡らし始め、各マシンがコースインする際には完全なウェット路面へ。VELOREX(Team LeMans)の6号車UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIはどのようなコンディションになるのか不透明な3時間レースに向けて、ウェットタイヤの皮むきを含め3度のピットインで合計7周、2分08秒566をマークして9番手でウォームアップ走行を終えました。
今回もスターティングドライバーは片山義章選手が担当します。12時30分、三重県警察本部交通機動隊のパレードを先頭に2周のフォーメーションラップがスタートし、3時間レースのスタートが切られました。
スタート時の気温は24℃、路面温度は31℃。いつもより路面温度は低い状況で、S字コーナーやスプーンカーブにはまだウェットパッチがある状況下ではありますが、VELOREXは、スリックタイヤでのスタートを選びました。
スタートに自信を持つ片山義章選手は、1コーナーまでに1台をパスして4番手に浮上。そのままさらに上位を狙いますが届かず、1周目のコントロールラインを4番手で通過。そのまま上位グループの一角を構成しながらレースを進めます。
コンスタントなペースで周回を重ねる6号車は、粘りの走りでポジションをキープ。スタートから40分を過ぎたあたりでふたたび雨が降り始めますがすぐに止み、何台かのピットインしたマシンもレインタイヤに交換することはありませんでした。
4番手を走る片山義章選手でしたが、次第にタイヤが厳しくなり、23周目に5番手へとポジションダウン。1~2コーナーでまたしても雨という情報が入りましたが、そのまま周回を続け、1時間4分を過ぎた30周目に6番手でピットイン。ドライバー交代、給油、タイヤ交換を済ませて9番手でレースに復帰しました。
ニュータイヤを履くロベルト・メリ・ムンタン選手はハイペースで追い上げを開始。上位陣も次々とピット作業をこなし、レースが落ち着いた段階、35周目に5番手までポジションを戻し多段階でGT500車両のアクシデントでコース上に多数の破片が散らばったため、FCY(フルコース・イエロー)が出されました。
レース再開後、15時の段階で気温27℃、路面温度34℃というコンディションの中、3番手のマシンがコース脇に突然ストップ。ふたたびFCYが出され、残り1時間16分で再スタートが切られました。ロベルト・メリ・ムンタン選手は集中力を高めながら、ふたたび追い上げを開始します。チームは欧州にいるエンジニアのマッティアとも情報交換をしながらピットインのタイミングを計算し続けました。
タイヤ戦略の違いによって50周目に3番手、53周目には2番手まで浮上した6号車は、58周目に最後のピット作業を終え、新品タイヤでレースに復帰。4番手のポジションからひとつでも上位を狙い、残り時間をフルプッシュで戦いました。
古場博之エントラント代表は、「片山義章選手が厳しいタイヤ状況の中で、ABSやトラクションコントロールを調整しながら耐えてくれたし、2度のピットインもメカニックは完璧に作業をこなし、エンジニアのマッティアと計算しながらアンダーカットされずに済ませることができました。あとはロベルト・メリ・ムンタン選手の頑張りに頼るだけです」とレース展開を見守ります。
残り30分、16時。気温23℃、路面温度29℃とやや気温が下がり始めた段階で、ロベルト・メリ・ムンタン選手は前を行く3番手のマシンを完璧に射程距離内にとらえ、激しくチャージ。69周目のヘアピンで一瞬の隙をついて3番手に浮上し、70周終了の段階で表彰台圏内まで浮上しました。残り28分、ピットに歓声が沸きます。
16時38分、首位を行くGT500のマシンにレース終了のチェッカーが振られ、VELOREXの6号車UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIはそのまま3位でチェッカーを受けました。
■片山義章選手のコメント
「今回もスタートはうまく決まって、1コーナーまでに1台をパスできました。さらに前を狙ったのですが、タイヤが次第に厳しくなってきたので、マネージメントしながら走り続けました。とくに右リヤタイヤのグリップの落ちが激しく、その影響でブレーキングも苦しくなり、ピックアップを拾ってしまったこともあって、ポジションを落としてしまいました。それでもチームの戦略を維持するためにできるだけタイムを落とさず、自分のベストを尽くしてロベルト選手につなぎました。ロベルト選手も最後まで本当に頑張ってくれましたし、チームもミスなく一丸となって頑張ってくれたおかげで今季初表彰台を獲得することができました。応援ありがとうございました」
■ロベルト・メリ・ムンタン選手のコメント
「昨日のフリー走行が終わった段階から、チームは本当に素晴らしい仕事をし続けてくれました。セッションごとにマシンのバランスも良くなり、最後までチームが一体となってチャレンジし続けました。片山義章選手がスタートから頑張ってくれたのも大きかったと思います。自分はダブルスティントを走ったのですが、毎周、予選のアタックのような気持ちでプッシュし続けました。今日の3位は、自分たちにとって満足できる3位だったと思います」
■小倉啓悟チーム監督のコメント
「土曜日の走り出しから考えれば、3位表彰台は満足できる結果だと思います。ヨコハマタイヤ勢の中では、予選、決勝ともにトップという結果を残せたことも良かったです。エンジニア、メカニック、ドライバー、そしてスタッフ全員が本気で頑張ってくれました。今回は新車フェラーリ296GTにとっても、国内初表彰台でした。事前の鈴鹿テストでクラッシュしたマシンを現場でできる限り修復はしましたが、今回のレースに向けてさらに完璧を期すために、ファクトリーでセブンポストリグを使用し、しっかりと試験データをチェックして準備をしてきたかいもあったと思います」
「しかし、3位表彰台で満足するわけにはいきません。去年も3度、3位にはなっていますし、今年はチャンピオンを狙う意味でも、絶対に優勝が欲しいのです。アストンマーティンに同じ新しいGT3で負けたのも悔しいですし、タイヤの違いがあるにせよ、無交換で走り切られたら、その差を縮めることは厳しいと思います。自分たちVELOREXは正当な戦略で勝利を目指し、それを手にしたいと思っていますので、これからも応援よろしくお願いします。今日は本当にありがとうございました」