
決勝日・フリー走行 4月10日(日)9:00~9:35
土曜日のような強い日差しはなかったものの、決勝が行われる日曜日も天候は上々。思い返せば、3年連続で雨に見舞われていたため、その意味においてはリスクがひとつ相殺されることとなった。また、おだやかな天候も少なからず影響しているのだろう、スタンドは早朝から満員で、サーキット全周を囲んだ観客は、実に昨年より2000人増の19000人にも達していた。
フリー走行は二回の赤旗中断があったものの、「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」にとっては、そうリズムを狂わされるタイミングではなかった。まず嵯峨選手からの走行となり、二回目の中断前に1分28秒812をマーク。2度目の再開後、延長された5分を中山選手が走行し、29秒080をマークしたところでチェッカーフラッグが振られることとなった。このセッションは8番手に。
決勝レース(82周)14:40~
13時30分からスタート進行が開始され、併せて行われる8分間のウォームアップでスタート担当の嵯峨選手は1分28秒377をマーク。最終確認を済ませて、いったんピットに戻った後、「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」は大観衆の見守るスターティンググリッドに並べられることとなった。
今年もフォーメイションラップの前に、岡山県警によるパレードラップを実施。2台の白バイが颯爽とコースを駆け抜けていった。そして注目のスタートでは、鋭いダッシュを決めた嵯峨選手が、オープニングラップのうちに一つ順位を上げる。そのまま順位を上げ続けてくることが期待されたものの、このツイスティなコースレイアウトはオーバーテイクを容易に許してくれない。やがて6番手を争う集団の中で、レーシングスクール状態を余儀なくされることとなる。
そのため予定をやや早め、30周目にピットイン。序盤に嵯峨選手が続いていた車両の背後で中山選手も戻ったため、タイミングとしては悪くなかったのは明らかだ。しかし、迫ってくるFIA-GT3勢はストレートで「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」をいとも容易くかわしていき、全車がドライバー交代を済ませた時には11番手を走行していた。せめてあと一台を、と中山選手は懸命にコースを攻め立てるも、逆に70周目、一台の先行を許してしまう。その後も抗うことができず、12位でのフィニッシュに留まってしまった。
開幕ダッシュどころか入賞すら許されず、悔しい今年最初のレースとなってしまったが、このままで終わろうはずがない。しっかりミーティングを重ね、対策も施して第2戦に臨む。次なる舞台は、ゴールデンウィークの富士スピードウェイだ。
嵯峨宏紀選手
「決勝では僕らのペースがなかなか上がらなくて……。ただ、決して僕らがすごく遅いわけではなくて、まわりが速くなった分、相対的に遅れを取ってしまいました。タイヤにせよ、マシンにせよ、パフォーマンスにおいて、検証していく部分はたくさんあると思います、新車ですから。何はともあれ、このような状況が続いていくと、シリーズチャンピオンは難しくなっていきますし、特に次の富士では……。改善していくのが急務だと思っています」
中山雄一選手
「コーナーでは他のGT3車両より速いのですが、同じペースで走れてもGT500に引っかかると、ブロックする気も失せるぐらい簡単に抜かれてしまうので、単純に今回遅かった理由はエンジンのパワー不足だと感じています。もちろん、車両的にも開発しなくてはいけないのですが、それ以上に去年から今年にかけての性能調整が厳し過ぎて……。ドライバーとしては最初から最後まで、フルで頑張っても精いっぱいでした。新車ということで、まだまだ詰められるところもあるでしょうから、得意のSUGOやオートポリスにうまくつなげられるよう、次の富士を大切にしたいと思います」
金曽裕人監督
「テクニカルサーキットである岡山ではJAF GT車両が有利との前評判であり、事実昨年は我々が優勝したサーキットでもあります。そのことから、中位集団の10番手を走行し上位進出を狙いましたが、コーナーで詰めてもオーバーテイクできるパワーを持ち合わせておらず。75周の間、嵯峨選手、中山選手をもっても1台もGT3車両をオーバーテークすることができなかった。有り余るパワーのGT3車両に対してコーナーリング勝負しか打つ手がないPRIUS含むJAF GT勢は、終わってみれば1台だけの入賞。欧州の名だたるスーパーカーと、物作り日本のJAF勢の開幕戦における真っ向勝負は完敗でした。我々は知恵と努力に関しては、負けない。必ず、近い将来PRIUSが、そのスーパーカー勢に勝つ姿をお見せいたしますので今シーズンも熱いご声援をよろしくお願いいたします」