更新日: 2024.09.23 17:13
LMcorsa 2024スーパーGT第6戦SUGO 決勝レポート
スタートからペース良くポジションを守り、チームもミスない作業を行なったが
セーフティカー導入のタイミングが悪く、周回遅れとなり9位でチェッカー
<気象データ>
気温:20℃、路面温度:24℃(決勝レーススタート時)
発達した熱帯低気圧が日本海から太平洋に抜けたため、9月21日(土)~22日(日)の週末は東北や北陸で大雨に見舞われた。AUTOBACS SUPER GT第6戦『SUGO GT300km RACE』は宮城県のスポーツランドSUGOが舞台のため、レースウイークにこの大雨が直接的な影響を与えることとなった。
21日(土)には午前中に公式練習、午後には予選が予定されていて、公式練習はスケジュールどおりの9時15分にスタート。だが、赤旗による中断が頻繁に発生するほどの大雨で、難しいコースコンディションとなった。雨は一日を通して降り続ける予報で、雨量が強くなれば予選がキャンセルされることも想定された。そのため各チームは、公式練習でタイムを残す戦略を採る。
LMcorsaも気象レーダーをチェックしながら雨量が減るタイミングを見計らった。1時間45分の公式練習で雨が止むことはなかったが、10時前後がもっとも雨量が減っていた。チームはSyntium LMcorsa GR Supra GTのステアリングを握っていた河野瞬佑選手にプッシュの指示を出し、6番手のタイムをマーク。結果的に予選が降雨によりキャンセルとなったため、第6戦の決勝レースは6番手からのスタートとなった。
22日(日)も朝から雨が降り続き、雨量は前日よりも多くコース上のいたるところに川が流れていた。併催カテゴリーのFIA-F4選手権は、セーフティカーランのまま赤旗で終了となるほどだった。雨のピークとなった昼前には1時間に10ミリ以上の豪雨となり、昨日に続きスーパーGTのスケジュールに影響が出る。本来なら12時に始まる予定だったウォームアップ走行が12時半に延期。12時半になっても雨量が減らなかったため、さらに30分のディレイが発表された。
一時はバケツをひっくり返すような雨だったが、ウォームアップ走行がスタートする13時になると曇り空へと変わっていく。決勝レース前の最終確認となるウォームアップ走行は、まず河野選手がSyntium LMcorsa GR Supra GTに乗り込み1周を走ると、すぐに吉本大樹選手にバトンタッチ。ともにレインタイヤを履き、合計で8周を走行。1分33秒654がベストタイムで、GT300クラスの26台中8番手の結果となった。
ここまで雨に翻弄されてきたSUGO GT300km RACEだったが、決勝レースのスタート進行時には雲の切れ間から日が差すこともあった。ウォームアップ走行は1時間遅れとなっていたが、スタート進行が短縮されたことで予定よりも50分遅れの14時20分に決勝レースはスタート。雨は降っていないがまだコース上は全面的に濡れていて、水が溜まっている箇所もあるほどの状況だった。
今季最上位となる6番手グリッドを得たLMcorsaは、河野選手をスタートドライバーに指名する。序盤の路面コンディションはミシュランタイヤを履くマシンが速く、トップ3とは徐々に差が開いてしまう。それでもポジションをキープしていくと、10周前から後退してきた61号車BRZの背後に迫っていく。
戦略としては25周までレインタイヤを持たせる必要があったため、序盤はペースを押さえて走行していた。だが、グリップダウンの心配がなくなった20周目からは自己ベストタイムを連発して、61号車とのタイム差を1秒とする。すると、24周目にGT300クラスのマシンが接触しセーフティカーが導入される。
コース脇に止まったマシンの撤去作業が終了すると30周目にレースは再開される。チームはこの周にピットインの指示を出し、河野選手から吉本選手へのドライバー交替とスリックタイヤへの交換、給油を行なった。この時点でスリックタイヤを履いていたのは、スタート時から装着していた数台のみ。ただ、リスタート後は同じペースのマシンが集団になり本来のペースで走れないため、戦略としては適切だった。
コースに復帰した吉本選手は、濡れた路面の中でもマシンをコントロールし、36周目にはレインタイヤのベストタイムを上回った。ただ、選択したスリックタイヤへの熱の入りが想像よりも遅く、ピット作業前までに競り合っていた61号車BRZから約7秒の遅れを取っていた。
レースの約半分となる40周を迎えることには、規定のピット作業を行なうために数台のマシンがピットイン。このタイミングで再びGT300クラスのマシンがコースオフし、FCY(フルコースイエロー)が提示される。車両回収のためFCY後にセーフティカーが導入され、GT500とGT300のマシンが隊列を組んでセーフティカーランへと移行した。このFCYのタイミングがLMcorsaにとっては運が悪く、1回目のピット作業を終えたばかりのトップを走る45号車FERRARI 296が前に入ってしまう。つまりこの段階で周回遅れとなり、9番手だが勝負権を失うこととなった。
47周目にレースは再開されたが、前述のFCYのタイミングによってトップから7番手までが同一周回で、8番手以降は周回遅れとなっていた。9番手から可能な限り追い上げることとなった吉本選手は、乾いていく路面に合わせて自己ベストタイムを更新していく。終盤は熾烈な8番手争いとなるなかで70周目には10番手にポジションを落すが、翌周にはすぐに9番手に復帰する。最終的にはポジションを守り、78周目に9位でチェッカーを受けた。
6番手からのスタートだったためポジションを落した結果だが、戦略がはまっていれば上位でのフィニッシュが見えるほど調子は良かった。次戦のオートポリスもGR Supra GTと相性が良いとされているので、連続での入賞を目指していく。
<飯田章監督>
「前半の河野選手のスティントではポジションをキープでき、1回目のセーフティカーランが終わる周にピットインの指示を出しました。良い判断だと思っていたのですが、結果的には2回目のセーフティカーランで周回遅れになったので、正解ではありませんでした」
「コース上で起こるクラッシュやセーフティカーの導入時期はチームではどうしようもなく、戦略としては間違いなかったと感じています。スタート順位よりも落ちたので良い結果とはいえませんが、ウエットコンディションでの走行内容やマシンのパフォーマンスを含めて次に繋がるレースだったはずです」
<吉本大樹選手>
「河野選手がファーストスティントを担当し、チームとして最初からタイヤ交換の最適なタイミングを考えていました。30周目のセーフティカーランが終了したときにピット作業を実施したのですが、結果としてはタイミングが早かったです」
「スリックタイヤのウォームアップが想像以上に遅く、なかなかグリップが発揮しませんでした。ここで前を走る61号車のBRZとのギャップが開いたため、2回目のセーフティカーランで周回遅れとなってしまいました。運が少しだけ向いてくれればスタート順位よりも上位でフィニッシュできた可能性もあり、悔しい結果となりました」
<河野駿佑選手>
「決勝レースはスタートドライバーを務め、25周目くらいまではレインタイヤの性能をもたせる必要がありました。そのためスタートから10周目あたりまではセーブしながら走り、タイヤやマシンの状況が掴めてからは、先行する61号車BRZとのギャップを詰めました。その後の展開は運がなく、2回目のセーフティカーが入ったタイミング悪く勝負権がなくなりました」
「思い返せばできることはあったかもしれませんが、戦略として失敗ではありません。スタートポジションを考えれば悔しいですが、ポイント圏内に入れたことはポジティブだと思っています」