LMcorsa 2024スーパーGT第7戦オートポリス レースレポート
SUPER GT2024 rd7 AutoPolis QF&Final
LMcorsa REPORT
#60 Syntium LMcorsa GR Supra GT
悪天候の影響でワンデーレースとなったオートポリス戦はチーム一丸となり苦手なコースを攻略し、ポイントを獲得
気象データ
気温:12℃、路面温度:13℃(予選時)
気温:17℃、路面温度:24℃(決勝レーススタート時)
スーパーGTの第7戦『AUTOPOLIS GT 3Hours RACE』は、公式練習と予選日となった10月19日(土)が荒天となり、スケジュールが大幅に変更される異例な大会となった。
レースウイークは併催カテゴリーの練習日となる17日(木)からドライコンディションで進んできたが、19日は早朝から雨雲と霧にコースが包まれた。9時20分から走行が始まるはずだった公式練習は天候不良のために20分のディレイが発表され、9時40分までコースインが見送られた。その後も天候の回復を待ち、20分ごとにスタート時刻の変更が行なわれたが、濃霧と雨が止まないことから10時30分に中止が判断された。
GTマシンの走行はなかったものの11時45分から予定されていたサーキットサファリやピットウォークなどの公式プログラムは実施され、一時は天気の回復が期待された。しかし、併催カテゴリーの決勝レースがスタートする予定の13時30分前になると、オートポリスには雷雲が迫った。サーキット近くには落雷があり雨量も激しく、サポートレースは予選に続けて決勝レースもキャンセルされた。
スーパーGTの予選が近づいた14時を過ぎても雷鳴が響き、雨も止まなかった。そのため19日のすべての走行はキャンセルされ、20日(日)に予選と決勝レースを実施するワンデー開催へとスケジュールが変更された。
予選
悪天候によるキャンセルから一夜が明けた20日は雨こそ止んだものの、再びコースは霧に包まれていた。予選は8時から始まり、まずは8時30分までの30分間がGT300クラス、続けて9時までGT500クラスが走行するスケジュールとなっていた。
コースには霧が掛かっていたが視界は確保できるという判断で、予定どおりの8時にGT300クラスの27台がコースイン。路面は濡れていたが、一部のマシンはスリックタイヤでアタックを開始する。
Syntium LMcorsa GR Supra GTのステアリングを握ったのは、第1ドライバーの吉本大樹選手で、まずはレインタイヤを履いてタイムを残しにいく。計測1周目に1分53秒164を記録すると、すぐにピットに戻りスリックタイヤに交換。ふたたびアタックを開始すると路面状況も改善していき、周回ごとにタイムを伸ばす。
予選開始から20分が経過したところで8番手タイムの1分51秒398をマーク。残り時間6分となったところで、コースサイドにクラッシュした車両が止まったために赤旗が提示される。3分ほどの中断で予選は再開され、残り5分間のアタック合戦となった。吉本選手もコースインしてタイム更新を図るが、多くのマシンが走行しているためにコース上が混雑する。遅いマシンに引っかかるが、計測15周目に1分49秒976のベストタイムをマークし13位となった。
決勝レース
予選終了から3時間のインターバルを経て、11時30分からはウォームアップ走行が行われた。Syntium LMcorsa GR Supra GTには、このレースウィークでは初めて河野駿佑選手が乗り込む。途中で吉本選手も走行したが、河野選手が中心となり決勝レースの前の最終チェックを行なった。
今回のオートポリス戦は3時間のタイムレースとなっていて、決勝レーススタートから3時間後にチェッカーが振られる。荒れたレースウイークだったが、決勝レース前になると青空も見え始めていた。
チームは河野選手にスタートドライバーを任せる。12番手から上位を目指したSyntium LMcorsa GR Supra GTだったが、オープニングラップから3周目までに5台にパスされてしまう。昨年、一昨年の決勝レースでは路面とタイヤのマッチングが悪く、ライバル勢よりタイヤ交換の回数が増えていた。
そのため、今回はロングライフを意識したタイヤを選択。そのため、スタート直後はポジションを落していたが、10周目を迎えることには徐々に順位を戻し始める。11周目には14番手、13周目にも1台をパスし、スタートから30分が経過した17周目にはスタートポジションの12番手に復帰した。
20周目になるとGT500クラスのマシンがコースサイドに止まったため、セーフティカーが導入される。26周目にレースが再開されると、1回目のピットストップを行うために、数台のマシンがピットレーンに進んだ。28周目には9番手まで浮上すると、チームは30周目にピットインの指示を出す。
チームは4本のタイヤ交換と給油を敏速に終え、吉本選手にドライバーチェンジ。16番手でコースに復帰すると、すぐに自己ベストタイムを更新しながら周回する。しかし35周目に2回目となるセーフティカーが導入される。5周のセーフティカーランを経て、40周目にレースは再開。ライバル勢がピットインを行うなかで、45周目には11番手、50周目には10番手となり、ポイント圏内でレースを展開していく。
58周目にはGT500マシンのクラッシュによって3度目となるセーフティカーランとなる。64周目にレースが再開すると、このタイミングでSyntium LMcorsa GR Supra GT は2回目のピットインを行う。1回目のピットストップと同じく、LMcorsaは素早い作業で給油とタイヤ交換を実施。河野選手が再び乗り込みコースに復帰すると、7番手までポジションが上がっていた。
ただ、3番手から10台のマシンが連なり熾烈なポジション争いとなる。走り出しのペースが上がらないのはスタート時と同様で、徐々にポジションを下げてしまう。69周目に1台、71周目には2台に抜かれるが、75周目を過ぎたところで状況が逆転してくる。
81周目には10番手までポジションを戻すと、このタイミングで4度目のセーフティーカーランとなる。この時点で残り時間が10分程度となり、最後までセーフティカーが先導したまま88周目に10位でフィニッシュした。
オートポリス戦は昨年、一昨年ともに上位陣から大きく遅れていたため、満足できる展開ではなかったがポイントを獲得できたことは収穫となった。
飯田章監督
「悪天候のために予選と決勝レースが1日で実施されたのですが、チームは常に確実な作業を行ってくれました。満足はできませんが、チームの頑張りによって苦手なオートポリスでポイント圏内に入れたことは良かったです。ただ、同じダンロップタイヤを履くマシンの中ではパフォーマンスが発揮できていませんでした」
「ピット作業は素早くコースに送り出せているのですが、周回ごとに順位を下げていました。ドライバーにストレスを掛けてしまる状態だと思いますし、自信を持って走れていないはずです。原因があるはずなので、検証する必要があります」
吉本大樹選手
「去年と一昨年の結果を考えると、我々のパッケージはオートポリスを苦手としていました。そのため、今回は挑戦となりましたが新しいタイヤを履きました。ダンプコンディションとなった予選では非常に調子が良く、タイミングさえ合えばかなり上位を狙える状態だと感じていました」
「ただ、決勝レースは想定よりも路面状況が低く、スティントの走り始めが苦しかったです。中盤から後半はライバル勢と遜色なく走れていたので、良い部分はあったと思っています。結果は10位ですが、2年続けてレースにならなかったことを思えば、悪くなかった決勝レースでした」
河野駿佑選手
「ここ数年はライバル勢よりもピット回数が多かったり、オートポリスでは勝負ができない状況でした。チームもダンロップタイヤもいろいろと対策を行ってもらい、ポイントを持ち帰ることができたのは良かったです。ただ、ウォームアップから決勝レースまで、ピークグリップがなく苦労しました」
「決勝レースはスタートと最後のスティントを担当したのですが走り始めは我慢が必要で、徐々に追いつく展開でした。2回のピット作業はどちらも素晴らしく、ピットタイムでのアドバンテージはありました。良い部分は伸ばして、残り2戦はより多くのポイントを獲得したいです」