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投稿日: 2024.10.25 17:27
更新日: 2024.10.25 17:36

apr GR86 GT 2024スーパーGT第7戦オートポリス レースレポート


スーパーGT | apr GR86 GT 2024スーパーGT第7戦オートポリス レースレポート

2024 AUTOBACS SUPER GT Round7
開催地:オートポリス(大分県)/4.674km
10月20日(予選)
天候:曇り コースコンディション:ウエット 観客数:1万5500人
10月20日(決勝)
天候:曇り コースコンディション:ドライ 観客数:1万5500人

相性が良いとは言えないオートポリスで、ノートラブル&ノータッチで走り切る

 第5戦鈴鹿大会が台風10号の影響で12月7〜8日に延期となったことで、6戦目として開催された第7戦オートポリス。オートポリスは国内のサーキットで最もタイヤに厳しいコースであり、気温が低い時期での開催となるためピックアップも付きやすい。タイヤが結果に付与する影響が大きいサーキットだが、30号車が履くヨコハマタイヤはオートポリスで苦戦が続いている。

 ヨコハマタイヤユーザーの優勝は第3戦として開催された2017年まで遡り、2019年の第6戦以来、表彰台に立てていない。なかでもGR86 GTを含むFR車両はオートポリスを苦手としている状況にある。条件としては厳しいと言わざるを得ないが、今回は2回の給油が義務付けられた3時間レース。長丁場での展開の変化に望みを託し、レギュラードライバーの永井宏明、小林利徠斗に加え、第3ドライバーに織戸学を登録した布陣で挑むことになった。

公式練習 10月19日(土)

悪天候のためキャンセル

公式予選/21位 10月20日(日)

 10月19日の土曜日は朝から雨が降り続き、雨量が弱まると今度は霧が濃くなって視界不良となる、山間部特有の天候に見舞われた。この日は終日天候の回復が見込めず、午前中に予定されていた公式練習、さらに午後に設定していた公式予選も含め、すべての走行がキャンセルとなってしまった。

 公式予選は10月20日日曜日の8時00分から8時30分に、30分間の計時予選方式に変更して行われた。雨は上がっていたが路面は濡れた場所も多く、ウエット宣言が出されるダンプコンディションでスタート。気温は12℃、路面温度は13℃と低く、天候は曇りで日差しはなく、30分間でどこまでドライアップしていくのかを予測するのは難しい状況にあった。

 30号車はウエットタイヤを装着し、小林がステアリングを握る。前戦SUGOも雨絡みの週末だったが、小林はそこで同じようなコンディションを経験し、好タイムを刻んでいた。小林はその期待に応え、アウトラップ後の計測2周目で1分52秒419をマーク。セッション開始から10分が経過した時点で11番手につけていた。

 小林は残り10分で2セット目のウエットタイヤに履き替えてコースへ。タイヤを温めて2回目のアタックに向かうが、そのタイミングで1台がクラッシュしたことにより赤旗が出される。その後、残り6分で再開されると、スリックタイヤを履くチームとウエットタイヤを履くチームで戦略が分かれた。

 30号車は前戦SUGOの公式練習とウォームアップ走行で二度のクラッシュを喫していたこともあり、リスクをおかさないためにウエットタイヤをチョイス。今回は午前中に公式予選、午後に決勝となる1デイ開催となったことで、ここで万が一があった場合に決勝までに修復できない可能性があるためだ。

 タイヤへの熱入れも考慮して2セット目のウエットタイヤでアタックするが、ピークグリップはなくなっていた。だが、その状況下で小林は1分51秒271にタイムを更新する。しかし、結果的には残り6分でスリックタイヤを投入したチームの伸び代が大きく、予選は21番手で終えることとなった。

永井宏明選手

「結果的にはスリックを最後に履くのが正解でしたが、ウエットタイヤの中では上位に食い込んでいましたし、今日はワンデーのレースなのでリスク回避も含め結果的には充分な内容と思います。決勝のドライ路面とタイヤのマッチングは全然読めていないので、無理のない確実な3等分作戦で挑みます」

小林利徠斗選手

「GTカーでオートポリスを走るのは初めてだったので不安はありましたけど、チームが走りやすいクルマを用意してくれて、すぐに問題なく走れました。1回目のアタックラップはフィーリングも良くて、そこそこ上位に着けることができました。でも、2回目のアタックに入ったところで赤旗が出てしまい、再開してそのタイヤのまま2回目のアタックにいったのですが、今回のウエットタイヤはピークが短く、あまりタイムアップできませんでした。結果的に21番手になりましたが、クルマも含めたポテンシャルはあったので、悔しさも残りますね」

小林利徠斗(apr GR86 GT)
2024スーパーGT第7戦オートポリス 小林利徠斗(apr GR86 GT)

織戸学選手

「予選はウエットタイヤを選んだなかでは悪くなかったと思います。2セット目は赤旗を心配して少し余力を持ってコースに出したのですが、そのタイミングで赤旗が出てアタックを阻まれてしまいました。前回のSUGOのこともあるし、僕たちはあえてスリックタイヤは使わず、終始ウエットタイヤで走りました。それでも、もうちょっとタイミングが合えばもっと上にいけたと思うので、ちょっと残念でしたね」

金曽裕人監督

「小林選手はGTカーでオートポリスを走るのは初めてでしたが、かわいい子には旅をさせよで、彼に任せました。ダンプコンディションもSUGOで経験がありましたからね。ウエットタイヤでのパフォーマンスは高かったと思います。早めにスリックを履いて時間をかけてタイヤを温めて、ドライアップする最後に賭ける作戦もありますが、SUGOでのクラッシュの反省を踏まえ、念には念を入れて安全策を採りました。結果的に順位を下げてしまいましたが、そこはもう時の運なので、クラッシュもトラブルもなく走り切れたことで良しとします」

決勝レース(88周)/19位 10月20日(日)13:26〜16:28

「通常、決勝前のウォームアップ走行は20分間だが、今回は公式練習がキャンセルされたこともあり40分間に変更となった。30号車は永井、小林、織戸が走り、それぞれが決勝の自身のスティントで使用するタイヤをスクラブした。

 スタートを担当したのは織戸。豊富な経験で確実にバトンをつなぎつつ、第2、第3スティントへのインフォメーションを託す。大分県警察の白バイとパトカー先導によるパレードラップ、そしてフォーメーションラップを経てのローリングスタート。このとき、スタートラインを目前に隊列を整えるため減速する車両があり、織戸はそこで加速するタイミングが遅れてしまった。

 オープニングラップで23番手までドロップするが、6周目には20番手にポジションを戻す。その後は後続車と1秒以内の差での周回が続くがポジションを守り、前車のピットタイミングで19番手走行中の27周でピットに入った。

 ここで給油とタイヤ4輪交換、永井に交代するフルサービスでコースに復帰。30号車は持ち込んだドライタイヤのハード側を選択していたが、それでもライバルに対してはソフト目で、3時間レースを3分割してピットに入る戦略を採るしかなかった。永井は55周でピットインし、給油とタイヤ4輪交換、小林に交代する。

 小林は24番手でコースに戻ると、オートポリスならではのタイヤの攻撃性とピックアップに直面する。ストレートスピードが速いとは言えないGR86 GTの場合、コーナーでタイムを稼ぐことになる。当然、タイヤの摩耗は進む方向だ。ピックアップも初めての経験。それでも小林は確実に走り切り、19位でチェッカーを受けた。

 チームは次戦もてぎにおいて、小林と織戸のドライバーラインアップで臨むことを発表。これは永井が自ら提案したことで、本来最終戦の位置付けであったもてぎラウンドにおいて、今季の集大成として当初から予定していたことだ。経験豊富なプロドライバー(織戸)と成長著しい育成ドライバー(小林)のコンビで、どのような化学反応が起きるのか。さらに冷え込むもてぎで、小林が今回経験したピックアップの対処法も活かされるはずだ。

apr GR86 GT
2024スーパーGT第7戦オートポリス apr GR86 GT(永井宏明/小林利徠斗/織戸学)

永井宏明選手

「ちょっとタイヤの摩耗とバランスは厳しかったです。特にスティントの中盤からはかなり頑張ってコントロールするような状況でした。今年から投入したフロントタイヤの680㎜とFR車両のGR86が欲しがっているタイヤを作り出す事がまだまだ大きなテーマと思います。残り2戦となりましたが、早くこの状況から脱出できるように、皆で、前向きに全力で開発を進めたいです」

小林利徠斗選手

「決勝が始まる前に懸念していたタイヤのライフというところで、やっぱり難しいところがありました。クルマのセットアップにおいても、ドライで走る時間が短かったことは結構響いたかなと思います。バトルになったとき、オーバーテイクするまでにこれまでより少ないラップでしとめることができるようになりましたが、そのぶんタイヤを使ってしまったことは、まだまだ勉強が必要です。でも、今回はピックアップも含めてタイヤの扱い方を学べたので、もてぎ戦に活かしたいと思います」

織戸学選手

「スタートで前車が減速したので僕も減速したら、そのタイミングで結構抜かれてしまいました。ポジションは戻せましたが、そこはちょっと悔しいですね。僕たちのタイヤはどちらかというとソフト目で、ピットのタイミングを3分割するしかなく、戦略は限られてしまいましたね。永井選手、小林選手、僕のすべてのスティントで後半はタイヤが厳しい状況でした。次戦のもてぎは僕を走らせてくれることになりました。クルマの特性としては得意とは言えないサーキットですが、これまでとは大幅に違うセッティングを試してみようという話もしているので楽しみです」

金曽裕人監督

「限られた戦略のなかで、安パイなレースでしたね(苦笑)。それでもノータッチ(接触なし)、ノートラブル、ピットミスもなく走り切れたことは収穫です。ドライバーは3名とも、現在与えられたタイヤに対し最大限化して走ってくれました。次戦もてぎは永井選手の計らいで、ずっと乗れていなかった織戸選手に出場してもらうことになりました。当初予定していた最終戦での集大成ではなくなりましたが、織戸選手と小林選手を組ませたら、どんな化学反応が起きるのかを見てみたいですね」

apr GR86 GT
2024スーパーGT第7戦オートポリス apr GR86 GT(永井宏明/小林利徠斗/織戸学)


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