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投稿日: 2024.10.25 17:28
更新日: 2024.10.25 17:36

apr LC500h GT 2024スーパーGT第7戦オートポリス レースレポート


スーパーGT | apr LC500h GT 2024スーパーGT第7戦オートポリス レースレポート

2024 AUTOBACS SUPER GT Round7
開催地:オートポリス(大分県)/4.674km
10月20日(予選)
天候:曇り コースコンディション:ウエット 観客数:1万5500人
10月20日(決勝)
天候:曇り コースコンディション:ドライ 観客数:1万5500人

目の前に見えていた優勝。一度のコースアウトが響き、悔しい結果に

 第5戦鈴鹿大会が台風10号の影響で12月7〜8日に延期となったことで、6戦目として開催された第7戦オートポリス。通例では7戦目としてサクセスウエイトが半減されるが、今大会は“6戦目”となるためフルウエイト搭載となる。

 aprのエースカーである31号車は、オートポリスを得意としてきた。近年では、TOYOTA GR SPORT PRIUS PHVを駆った2021年に優勝。LEXUS LC500h GTデビューイヤーとなった2023年は3位表彰台を獲得している。今年は昨年のオートポリス戦に対してBoP(性能調整)を含めた車両重量が63kg重くなり、さらにサクセスウエイト上限の50kgを上積みするが、厳しい条件でも優勝を狙える一戦だ。

 オートポリスはタイヤに厳しく、気温が低い時期での開催となるためピックアップが付きやすいのも特徴。それでも、ブリヂストンはオートポリスとの相性がいい。今回は3時間レースでもあるため、レギュラードライバーの小高一斗と中村仁に加えて根本悠生を第3ドライバーに登録し、前戦SUGOで逃した勝利をつかむべく、リベンジに挑む。

公式練習 10月19日(土)

悪天候のためキャンセル

公式予選/11位 10月20日(日)

 10月19日の土曜日は朝から雨が降り続き、雨量が弱まると今度は霧が濃くなって視界不良となる、山間部特有の天候に見舞われた。午前中に予定されていた公式練習、さらに午後に設定していた公式予選も、天候の回復が見込めず、土曜日の走行はすべてがキャンセルとなってしまった。

 公式予選は10月20日日曜日の8時00分から8時30分に、30分間の計時予選方式に変更して行われた。雨は上がっていたが路面は濡れた場所も多く、ウエット宣言が出されるなかでスタート。気温は12℃、路面温度は13℃と予想以上に低く、天候は曇りで日差しはなく、30分間でどこまでドライアップしていくのかを予測するのは難しい状況にあった。

 31号車は小高がステアリングを握り、ウエットタイヤを装着してコースへ。アウトラップでセットアップ、タイヤをチェックしてピットに戻り、一度ガレージに入れて車両を確認する。その後、小高はウエットタイヤのままコースに戻り計測4周目にアタック。その時点でトップタイムとなる1分49秒441をマークした。

 小高はピットに戻り、残り15分ほどでスリックタイヤに履き替えてコースイン。路面はまだしっとりと濡れており、気温も低いことから慎重にタイヤを温めていく。ゆっくりと、しっかりと温めて最後の1周でのアタックに備えるが、残り6分のところで1台がクラッシュ。赤旗が出てしまった。

 この時点でも小高のタイムはタイミングモニターのトップにあった。残り6分でセッションが再開されると、スリックタイヤを履くチーム、ウエットタイヤを履くチームに分かれた。31号車は、残り時間でスリックタイヤに熱を入れるのは難しく、リスクをおかさないためにもウエットタイヤをチョイス。

 しかし、タイム更新はならず、さらにスリックタイヤを投入したチームが最後にタイムアップしたことで、11番手タイムで予選を終えることになった。優勝を目標とするうえで望んだポジションではなかったが、決勝は3時間という長丁場。戦略も含めた逆転劇を狙う。

小高一斗選手

「難しいコンディションのなかで赤旗が出ることも予測して、まずは保険としてウエットタイヤでアタックしました。クリアなところでしっかりと走れたし、そのときはトップタイムを出せました。その後はスリックタイヤに履き替えて、でもなかなか温まらなくて、最後の1周にかけていたんですが、赤旗が出てしまったことで僕たちにとっては厳しくなってしまいました。赤旗が出なければ自信はあったので残念ですね」

中村仁選手

「予選は30分間、小高選手に走ってもらいました。同じブリヂストン勢のなかでも、スリックタイヤを履くチームがあって、僕たちのウエットタイヤとどちらが吉と出るかという感じでしたけど、まずは小高選手がすごく良いタイムを出してくれました。その後はスリックタイヤに履き替えて、やっとタイヤが温まってきたかなというところで赤旗が出てしまいました。赤旗は痛かったですが、僕たちの予選の組み立てとしては良かったので、そこはポジティブなところだと思います」

根本悠生選手

「いつもとは違う30分間の計時予選だったし、コンディション的にも難しい環境でしたが、まずはウエットタイヤでタイムを出して、保険を作ってからスリックタイヤでアタックにいくという戦略は間違えていなかったと思います。ただ、赤旗が出てしまった。レースにタラレバはありませんが、赤旗が出なかったらたぶんポールを獲れていただろうなという戦略だったので、チームとしては正しいストラテジーを選べていたと思います」

金曽裕人監督

「ウエットタイヤのなかではぶっちぎりのトップタイムで、ひさしぶりにポールだと思っていたんですけどね(苦笑)。最後に11番手まで落ちたのは、前の10番手までみんなスリックタイヤで最後にタイムアップしたチーム。結果的にはスリックタイヤを選択することが正解だったことになるけど、そこで時の運に賭けるのはリスクが大きい。ワンデー開催になって、そこでクラッシュしたら決勝に出られないかもしれないですからね。最後はジタバタせず、安全策に振りました」

apr LC500h GT
2024スーパーGT第7戦オートポリス apr LC500h GT(小高一斗/中村仁/根本悠生)

決勝レース(88周)/14位 10月20日(日)13:26〜16:28

 通常、決勝前のウォーアップ走行は20分間だが、今回は公式練習がキャンセルされたこともあり40分間に変更となった。31号車は、まだGTカーでオートポリスを走れていない中村に練習させる。2種類持ち込んだスリックタイヤの新品での乗り比べも任せた。しかし、中村はハード側のタイヤでアタックに入ろうとした1コーナーで止まり切れずスピン。グラベルに入ってしまうが、ピットに戻ることができた。

 車両はアンダーパネルに損傷はあったものの最小限の時間で修復し、小高がコースへ。チームは逆転優勝を目指した作戦に向けてハード側のタイヤを決勝で使うことにし、小高は決勝用のタイヤ2セットを皮むきしつつ、セットアップのバランスを確認した。

 決勝に向け、31号車はセットアップをアジャスト。スタートドライバーは小高が担当した。ハード側のタイヤということもあり、ピークタイムは上位陣から落ちるが、タイヤが温まってからのアベレージは高く、速いタイムをコンスタントに刻んでポジションを上げていく。4周目に9番手、7周目に8番手、8周目に7番手、9周目には5番手まで浮上。その後も数周ごとに順位を上げていく。

 20周目にはGT500車両がトラブルによってグラベルにクルマを止めたことでFCY(フルコースイエロー)、さらにSC(セーフティカー)が出された。このとき、小高はトップのK-tunes RC F GT3(96号車)から30秒後方にいたが2番手までポジションを上げていた。そしてSC導入により、トップとの差を詰めることもできた。

 3時間レースでは2回の給油が義務付けられており、小高は2番手のまま、トップの96号車と同じタイミングとなる33周で1回目のピットに入る。チームはここでタイヤ無交換を敢行。ここで31号車は96号車を逆転し、小高はその後もオーバーテイクとピットのタイミングでポジションアップ、トップ走行中の49周で2回目のピットに入った。

 ここでは給油とタイヤを4輪交換し、ドライバーは中村に交代。チームは素早いピットワークで中村をコースに送り出した。しかし、中村はコースに戻ってすぐの1コーナーで止まり切れずグラベルへ。グリーンベルトまで行きコースに戻るが、タイムを大きくロス。小高のスティント終盤で抑え続け、そのときトップを走行していたSUBARU BRZ R&D SPORT(61号車)に抜かれて周回遅れになってしまう。

 さらに、57周目にはGT500車両のクラッシュを起因とするSCが導入されたことで、ラップダウンされたまま、15番手で隊列を整えることとなってしまった。中村のロングランは安定しており、前後を走る車両よりもラップタイムは速く、上位陣のピットによって同一周回まで追い上げたが、15番手は変わらず。残り15分のところで5番手を走行していた61号車がクラッシュしたことで、SC先導のまま3時間が経過してフィニッシュとなった。

 ピットとSCのタイミングによる運の作用もあったが、小高のスティント時にはポジションを争っていた車両が上位に並んでおり、優勝も見えていたなかで14位という悔しい結果になってしまった。

apr LC500h GT
2024スーパーGT第7戦オートポリス apr LC500h GT(小高一斗/中村仁/根本悠生)

小高一斗選手

「ウォームアップ走行からセットアップをアジャストして、それが良い方向にいきました。僕たちのタイヤはベストタイムはそんなに出ていないですけど、デグラデーションが少なくて、まわりのタイムが落ちてきたときに徐々にポジションを上げることができました。中村選手に代わって、1コーナーの飛び出しがなければ優勝できたレースだったので悔しいですね。前戦SUGOも勝てたレースを落としてしまった。中村選手にとっては練習時間が少なかった影響が出てしまったと思いますけど、『もうちょっと頑張ろうか』としか言えないですね(苦笑)。そのことは自分が一番分かっていると思います」

中村仁選手

「オートポリスはこれまで、FIA-F4とスーパーフォーミュラ・ライツで走った経験があって、国内のサーキットでは一番好きなトラックでした。でも、GTカーで走るのは初めてで、クルマの動かし方やブレーキングポイント、景色ももちろん違っていて、すごく戸惑いがありました。1コーナーで2回も飛び出してしまったのは、僕の判断ミスです。走らせ方を見つけるのに時間がかかってしまいました。ピックアップは初めての経験でしたが、小高選手のアドバイスもあって対処のしかたは学べたと思いますが、皆様すみません」

根本悠生選手

「小高選手のスティントは素晴らしかったですね。中村選手はGTカーでオートポリスを走るのが初めてで、練習時間も少なかったので難しい環境ではありました。実際、フォーミュラで走るのに比べてGTカーだとコース幅が狭く感じるので、そこでの戸惑いはあったと思います。でも、トヨタの育成ドライバーとして、しっかりと走ってもらいたかったというのが正直なところ。今回は自分の責任だと感じて、この経験をつぎにつなげてほしいですね」

金曽裕人監督

「ハード側のタイヤを選んで1回目のピットはタイヤ無交換、戦略はうまくいきました。タイヤも温まってしまえばすごくバランスが良かったですね。ただ、中村選手はウォームアップ走行でも飛び出して、決勝でも同じところで飛び出したのは、情状酌量の余地なし。今回に関しては『まだ18歳だから許してあげる』とは言えない。それまでは1位、2位を争っていたのに、そこでのタイムロスとSCのタイミングで優勝を逃してしまった。せめて1周遅れにならなければ、初優勝も有り得たので、悔しさしかないです。これでチャンピオン争いからも離脱、チームもドライバーも残り2戦に向け、ネバーギブアップで挑みます」

根本悠生/中村仁(apr LC500h GT)
2024スーパーGT第7戦オートポリス 根本悠生/中村仁(apr LC500h GT)


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