更新日: 2024.11.03 18:22
もはや連覇目前。最重量のau TOM’Sが独走優勝でタイトル争いのライバル撃沈【第8戦GT500決勝レポート】
レース距離3分の1となる“ミニマム”の周回数を前に、大集団と化した3番手争いでは、8号車ARTA松下が意地を見せ21周目のV字コーナーで64号車Moduloを捉え、ここでようやく3番手へ。すると23周目突入時点で続々とルーティン作業のタイミングが訪れ、まずは38号車KeePer、8号車ARTAらが先行し、続くラップで64号車Moduloや14号車ENEOS、そして25周目突入で王者36号車auも作業を終え、これで全車がミニマムの戦略を採用。残る3分の2をチームメイトに託す展開となる。
問題なく作業を終えた首位36号車auの山下健太は、2番手の38号車KeePer CERUMOの大湯都史樹に対し、直後の26周目時点で12秒971のセーフティマージンを維持。一方で64号車Moduloの大草りきはピット作業での遅れもあったか、ここでトップ10圏外まで下がる厳しい状況へと追い込まれる。
ここから30周を過ぎてギャップを15秒まで拡大した首位の36号車auに対し、2番手の38号車KeePer CERUMO大湯、3番手の8号車ARTA野尻智紀はテール・トゥ・ノーズへ。さらに4番手には16号車ARTAの佐藤蓮、そして39号車DENSO中山雄一のトップ5で推移していく。
さらに3分の2の距離を消化した45周目、GT300クラス車両が1コーナーでコースオフを喫したのと刻を同じくして、FCY発動前のタイミングで14号車ENEOS X PRIME福住仁嶺が、タイトル候補である100号車STANLEYの山本尚貴を90度アウト側からオーバーテイク。これで6番手に浮上し、かつての先輩でもあるライバル車両から貴重なポイントを奪い取る。
残すは10周となる53周目。ここで2番手以下のポジション争いが大きく動き、ペースの落ちた38号車KeePer大湯に対し、背後の8号車ARTA野尻が1コーナーから照準を合わせると、続く3コーナー進入でインを奪って2番手を奪還。
すると背後では、6番手を走行していた14号車ENEOS X PRIME福住が突如スローとなり敢えなくポジションダウン。
これがトリガーとなったか、トップ10圏内を争う17号車Astemo CIVIC TYPE R-GTの塚越広大と、3号車Niterra MOTUL Zの三宅淳詞がS字への進入でサイド・バイ・サイドの勝負から交錯。巻き添えとなったGT300クラス車両も跳ね飛ばすアクシデントとなり、ダメージを追った17号車はスロー走行の14号車とともにピットレーンへとステアリングを向ける(レーシングアクシデント判定)。
終盤はブレーキングのたびにホイールから大量のカーボンダストを巻き上げながら粘った38号車大湯は、背後の16号車佐藤を抑え切ることに成功。最後の表彰台スポットを死守し、最終戦に向けタイトル候補としての望みを繋ぐことに。
そして2位の8号車ARTAに19秒519もの大量リードを築いてファイナルラップに突入したチャンピオンの36号車auが、まさに横綱相撲ともいうべきレースで完勝を飾り、2年連続チャンピオン獲得に向け“視界良好”の『ノーウエイト』鈴鹿へ臨むこととなった。