LMcorsa 2024スーパーGT第8戦もてぎ 決勝レポート
S-GT2024 rd8 Motegi Final
LMcorsa REPORT
#60 Syntium LMcorsa GR Supra GT
20番グリッドからペースが落ちることなく2スティントとも走り切り、完璧なピット作業もプラスとなったが、ポイント圏内まで一歩足らず
<気象データ>
気温:22℃、路面温度:31℃(決勝レーススタート時)
AUTOBACS SUPER GT 2024 SERIES第8戦『MOTEGI GT 300km RACE』の決勝レースが11月3日(日)にモビリティリゾートもてぎで開催された。
コロナ禍を除くと11月のもてぎは、熾烈なチャンピオン争いが終演する最終戦として実施されてきた。今シーズンも同サーキットで幕を閉じる予定だったが、8月末の第5戦が順延となったため、最終戦は12月の鈴鹿サーキットへ持ち越された。
2日(土)には公式練習と予選が開催されたが、3戦連続で天候不良の影響を受けてしまう。公式練習と予選は定刻に開始したものの午前中は雨量が多く、走り出しとなった公式練習は5回のセッション中断によって、走行時間が大幅に短くなった。
難しいコンディションのなかでもLMcorsaは公式練習で5番手のタイムを記録し、予選に向けても期待が持てる内容だった。雨量はやや減ったがコース上には水が溜まるほどのウエットコンディションでスタートした予選は、Q1からハイドロプレーニングに悩まされタイムを伸ばすことができなかった。結果として第8戦の決勝レースは20番グリッドからスタートすることとなった。
決勝日となった3日(日)は、前日から一転して秋晴れという表現が相応しい天候となる。午前中から多くのスーパーGTファンがモビリティリゾートもてぎを訪れ、3万人が決勝レースを見届けた。8時台のサポートレースに続き、ピットウォークや自衛隊の戦闘機によるウェルカムフライトなどでサーキットが盛り上がると、11時30分からウォームアップ走行が始まる。Syntium LMcorsa GR Supra GTには吉本大樹選手が乗り込み5周を走ると、河野駿佑選手も最終のチェックを行ない300kmの決勝レースに備えた。
約1時間のスタート進行を挟み、第8戦の決勝レースは13時にスタートを切る。ファーストスティントを担当したのは吉本選手で、20番手からポイント圏内を目指した。オープニングラップはポジションを守るが、2周目には加速性能に勝る56号車のNISSAN GT-Rにパスされてしまう。
それでも、6周目と8周目に先行していたマシンにトラブルが発生し19番手で浮上。序盤はタイヤの内圧が上がらず苦労したというが、10周目を越えると単独となり、11周目には1分52秒091の自己ベストタイムを記録する。GR Supra GTはGT3勢との混走だと長所を活かしづらいが、単独だとライバル勢を上回るラップタイムで周回できる。16周目には先行していたマシンに追いつきテールトゥノーズの状況となる。
19周目になると義務となっているドライバー交代と給油を行うために数台のマシンがピットイン。吉本選手はペースが鈍ることなく周回をしていき、20周目には14番手、25周目には5番手まで順位を上げてピットロードへマシンを進めた。ピットでは4本のタイヤ交換と給油を実施し、後半のスティントは河野選手が担当した。チームはこのピット作業を敏速に済ませ、ピットイン前のポジションから4つ上げる15番手でコースに復帰させた。
河野選手はアウトラップで1台にパスされるが27周目、28周目に続けて自己ベストタイムを更新していき先行しているマシンとのギャップを縮めていった。30周目を越えてもペースは落ちず、トップ10圏内のマシンと遜色ないラップタイムを刻む。41周目にはGT300クラスのマシンがコースオフしたためにFCYが提示される。翌周にはFCYが解除されてレースが再開すると、45号車のFERRARI 296とのバトルとなり50周目の1コーナーでパスして13番手に浮上。
さらに55周目にはペースが鈍っていた2号車のGR86 GTを抜き12番手となり、ポイント圏内が見え始める。そして58周目には11番手の31号車 LEXUS LC500hにテールトゥノーズで迫るが、抜くまでにはいたらず12位でチェッカーを受けた。
予選では自信を持っていたウエットコンディションで想定外の失速となったが、決勝レースではチームとドライバーがミスなくゴールまでマシンを運んだ。心配されていたラップタイムの落ち込みもなかったが、20番手のスタートポジションからだと12位までの追い上げが精一杯となった。3戦連続でのポイント獲得は叶わなかったが、鈴鹿サーキットでの最終戦へ期待が持てる内容だったといえる。
飯田章監督
「予選が下位に沈んでしまったなかでの決勝レースとしては、良い内容でした。もてぎは抜きにくくブレーキにも厳しいコースとして知られています。ペースが良いだけでは前に出られないのですが、ピット作業もミスなく終えられ12位まで追い上げられました。ペースも悪くなかっただけに、やはりスタートポジションが悔やまれます。良い展開でしたが、表彰台に登っているチームとは差があるので、足りていない要素を埋めないといけません。最終戦となった鈴鹿サーキットまでは1ヶ月ほどあるので、もうワンステップ上のレベルまで引き上げていきたいです」
吉本大樹選手
「スタートを担当し、最初はタイヤの内圧が適正値まで上がらずペースアップができませんでした。ただ、去年までのもてぎでのレースは終盤に順位を落すことが多かったのですが、今回は最後までペースを維持できたことが収穫です。ペースは想定よりも良かったのですが、バトルになるとGT3車両に加速で負けてしまい抵抗できないこともありました。結果的には12位まで追い上げられたので、予選Q1での失速がなければポイントに届いたはずです。決勝レースは良い部分があったのですが、現実的にはポイントが獲れていないので改善していく必要があります」
河野駿佑選手
「後半のスティントを走ったのですが、短いピット作業時間のお陰もあり順位を上げられました。コースに出たタイミングもよく、多くの時間を単独で走れました。先行しているマシンがいないとGR Supra GTの長所が活かせ、追い上げられたと思います。終盤はタイヤのグリップが落ちてきたマシンを手間取ることなく抜け、持っている限界まで攻められました。予選は想定外の結果でしたが、決勝レースはポジティブなことが多かったです。最後の鈴鹿サーキットは、マシンとの相性は良いので有終の美を飾れるようにベストを尽くしていきます」